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一兆年の夜 第七十九話 天草は生贄として担ぎ出された(五)

 午後七時十九分四十二秒。
 議論は更に白熱する。特に必要のない百獣型、参謀型、混合型の存在。如何して銀河連合は食べる為にそこまでやるのか。其処である事に気付くフクロン。それが次の通り。
「もしかして銀河連合は俺達に近付いてるんじゃないかちゅ?」
「え?」
「如何ゆう事だああい、フクロン!」
「近づいてちゅ? それって距離の事?」
「別に近くまで接近は--」
 その時、天井が崩れて用意された青銅缶が倒れる。しかも倒れた影響で火を灯していた巻の一部が建物の壁紙に燃え移り、周囲に混乱が広がる。幸い、この建物には五名しか居ない為に避難に困る事はなかった。特に司会を務める小柄なビーリは陣頭指揮を執り、医者のネズ高も思わず安心してしまう程に。そうして僅か二の分の後に全員建物から脱出するのに成功。すると建物は倒壊し、噴煙が撒き散らされる。幸いにも足やとある生命の巨大な体で鼻や口を塞いだお陰でそれを吸い込むという二次被りを受けずに済んだ。
 さて、何故建物が崩壊したのか? その因果を齎すモノが一体……そう、銀河連合。しかも参謀型が巨大な肉体を駆使して五名を睨み付ける。その異形の姿に恐怖する者は四名。四名共参謀型には自力では勝てずに助けを呼ぶのが適切だと口々で叫ぶ。
 では残り一名は如何なのか?
「こんな時の為の馬族でええん。さあ、参謀型の奇怪な行動何か如何という事はなあああいんじゃ!」
 そう、梅沢ウメッ禽。彼は助けを呼ぶのは間に合わないと判断して身体能力差にも恐怖せずに参謀型に突進。当然、参謀型は乙に依る調子を逸らせる攻撃を仕掛けては動きが止まったその隙を狙って巨大な肉体による締め技で潰しに来る。だが、跳ねる事に関しては上位格に位置する馬族の生命。ウメッ禽は四本すべての足で少しずつ浮かせて隙間を作り、余裕が出来ると一気に地面を蹴って脱出。絞め倒される前に参謀型と距離を取って四名に今の己の状況をこう語った。
「ヒイヒヒイイイン、風呂入らない事が後々役に立つんだああね」
「それよりもやられてるyじゃないでちゅか。本当に倒せるのかちゅ?」
 任せておけええん--とウメッ禽は再び突進してゆく。
 やはり参謀型は再び音に依る攻撃を仕掛ける。けれども一度通じた攻撃は二度も通じるとは限らない。ウメッ禽は乙が出るとそのまま大声を上げて逆に参謀型の動きを止める。まさかそんな対処をするとは思わない参謀型は混乱したのか、ウメッ禽に眉間を右前足の蹄で蹴り込まれてそのまま意識を飛ばす。それは同時にウメッ禽に依る止めの一撃を加える好機……だが、ウメッ禽はそこで背を向ける。
「どちゅ、如何したんだ。今が好機なのにちゅ!」
「それじゃあ銀河連合と大して変わらなああい。ここで止めを刺す事は果たして俺達は正しいと思ってるのかあああん」
 あちゅ、そうでちゅ--とフクロンは気付く。
 それでもフクロンは参謀型が隙を窺ってると感じて一旦、その疑問を考えるのを止めて距離を置きながらも様子を確認する。
(今は其れよりもちゅ、銀河連合は決して許してはいけない存在。一般生命とは掛け離れる大地を穢す存在。どれだけこっちが話し合いをしようとも結局あいつらは百の年掛けても応じなかった。そんな奴らを俺達は許してやるつもりはないでちゅ!
 でもちゅ、でも俺達は一般生命として決してお前らを認めたい心が何処かにある。これだけお前達の同胞を死なせ続けた俺達生命が如何してわかり合おうとする心を遺すのか……それが俺達の中にある他者を思いやる心だよちゅ!)
 他にも言いたい事を思い浮かべるフクロンだったが、意識が戻り始めると見ていてわかると直ぐにウメッ禽を振り向かせた。意識が戻ったと同時に留めの一撃を与えるウメッ禽。それを見てフクロンの中である種の何かが浮かぶ。其処に近付くのはチュンニーナ。
「どうした? まさか何か思いちゅくことでもあちゅのか?」
「ああちゅ、俺達は如何して銀河連合の命を取って来たんだろうかちゅ?」
「それは生命が生命を守ちゅ為に必要な事じゃないちゅか?」
 そうだけどちゅ、だけど俺達は銀河連合の命に対してまだまだ償いをしてない気がすちゅ--それから外で野次者達が集まる程の最後の議論が始まった。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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