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一兆年の夜 第七十九話 天草は生贄として担ぎ出された(三)

 昼食時間中に一名がやって来た。齢三十にして十の月と一日目に成るルケラオス馬族にして梅沢ウメッ取の弟に当たる梅沢ウメッとりが入る。彼はフクロンの友者であり、困った時に差し入れする程の仲。そんなウメッ禽が出て来た事を受けてチュンニーナはあの医者を呼ぶ事を決める。その為に一旦チュンニーナは席を外して議論は昼の二の時と十六の分まで始まらない様子。つまり数が等しくないと議論は一方的に成り、数の少ない側にとっては多い方の口数の差で圧倒されやすい。それだけじゃない、司会を務めるビーリは本来であれば働く側の立場の生命。しかし、三名しか居ない状態では働かない側に立つのは公平性に欠ける為に仕方なく、司会を務めて互いの意見が等しくぶつかるよう調整する。そんなビーリだからこそウメッ禽抜きで議論を再開させる訳にはゆかない。司会の己が働く側に転向するという事をしてはならない。司会は終わるまで司会を務めないといけない。それがこの場での常識。

 午後二時十二分五十三秒。
 齢二十九にして十の月と十二日目に成る六影鼠族の青年宮林ネズ高が目の隈を目立たせつつも切れない縁に悩みを見せるような表情をしてやって来る。
「今直ぐにでも終わらしちゅさっさと働いて貰ちゅぞ、フクロン」
「そうはさせないちゅ。残飯処理の有難みを忘れたかちゅ!」
「そうだそうだああん。忙しい中で医者を味方に付けようだなんてどうか知れるだろおおん、チュンニーナ!」
「それじゃあ公平じゃなちゅから僕はわざわざ先生のお時間を確認し、幸運にも来て下さったんぢゅ。本当だったら銀河連合に依ちゅこうむちゅ大きさで緊急事態でどうしよちゅもないんだちゅ!」
「先生を出して来たかちゅ、其れだけ本気でちゅか!」
「そろそろ始めるぞッチ」
 さて、始まった仕事の議論。其処で約一の時掛けて働かない理由を述べ、働く理由を述べ返す……という面白みがありそうでそうではない、深そうでそうではない、浅そうでそうではない述べ合いは聞いている側としても欠伸が出てしまう話。依ってビーリはそこで話題を大きく切り替える。そう、次のように。
「じゃあ軍者、医者、消防者、それから捜査関係者と言った喫緊の職業にみんなが付いたとしますッチ。この場合は横から何か出て来ると何時も『忙しい』と口にするのか、そうでないのかッテ?」
「医者の身だから言えちゅが、医者の仕事は生命を助けちゅ仕事だ。そんな時に忙しいのを避けちゅいたら助かちゅ命も助からないのは当たり前じゃないか!」
「いいこと言ってまちゅね。これが現場の医者の言葉でちゅ、フクロン!」
 うぬぬちゅ--うねり声をあげるフクロンは次のように悩む。
(そんな事を出されたら何も言い返せなちゅ。誰だって者助けは当たり前。それを出された日には如何する事も出来ない。だって目の前で困ってる生命が居たら誰だって助けるだろう。助けないのは銀河連合だけ。あいつらは歴史を振り返っても助けた事なんて一度もない。助けるにしても自分達に都合が良い時だけ。昨日まで騒がせた一連の連続襲撃事件だってそうだ。あいつらが助けるような存在だったら……じゃなくてちゅ!
 うぬぬちゅ、如何やってここは過ごそうかちゅ!)
 過ごすとは乗り切るという意味。つまりフクロンは反論出来ない状況に追い込まれる。最優先事項に於いて忙しいも暇もない。それに仕事をするなんて辛い事ばかりだなんて口にするのはそれこそ罪深い。なので如何にか再び話を逸らす隙を窺うフクロン。だが、フクロンとは裏腹に議論は仕事は義務であり、価値を求める物ではない方向へと傾く。その為にフクロンは仕事の話を諦めて突然銀河連合の目的について話し始めた。
「今はその話をしに来ちゅんじゃない。お前を働かせちゅ為の議論が終わちゅまで銀河連合の話は他所に置け」
「いいやちゅ、置けん。銀河連合の目的を知らないと俺達は大変悔いる事に成るんでちゅ!」
「銀河連合の目的は僕達を食べちゅこと」
「果たしてそれだけなのかちゅ?」
 如何ゆちゅ意味だ、フクロン--ネズ高が反応を示す。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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