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一兆年の夜 第十二話 天同生子 激動篇(零)

 ICイマジナリーセンチュリー三十五年七月六十九日午前十時三十分二秒。

 場所は秘境神武狼の御陵。見晴らしの良い舞台があり、そこへ飛び降りれば
高確率で助かると言われる社。その為、ここでは年毎の成者式で通過儀礼として
飛び降りる。
 そこへ齢二八にして二日目になる赤子を抱えた者とその後ろに齢三にして五日目
になる二名が立っていた。
「この子も一五の年になればここから飛び降りるのね。でも万が一に死んでしまうか
も知れないと思って心配だわ」
 赤子を抱えた者は腰まで伸びる黒髪を風に受けながら、心配そうな声で言った。
「けど、ははうえ。それがここのおきてではありませんか?」
「わかってるわ、読四。私はここに嫁いできた雌。 夕焼ゆうやけの姓から天同の姓を受け
入れた雌。生涯骨を埋める覚悟はあるわ。
 でもどこかで夕焼への未練が残っている自分に心を痛めるわ」
「心、を? 母上。みれんは無理なさらずにのこしてもいいのです」
 齢三で黒髪が肩まで伸びる少女は年に見合わない事を言った。
「相変わらずね、生子。あなたはどんどん成長していくのね。
 でもね、ここは未練を必ず断ち切るべきと言うものよ!
 でないと子供でなくなってしまうのよ」
 彼女は生子と呼ばれる少女に子供であるように勧めた。それに対して生子は--
「わからないわ。よくわからないわ、私には」
「あねうえ。べ、べつにむずかしくかんがえなくていいのよ。ぼくだってわからないし」
「わからなくていいわ。それが子供心よ!
 子供はわからないからがむしゃらに立ち向かえるのよ! 多分この子はそうゆう風
に育つわ! これは私の予報よ!」
「よほう? つまり私たちみこがするてんきよほう?」
「ちょっと違うわ。言ってしまえば勘という思いつきの先にある予報。それは天候以外
を正確に当てるために用いられるわ! ってわかりにくかった?」
「うん、ぼくはぜんぜんわからないよ」
「なるほど、私はわかりました! つまり神さまの声をちょくせつ聞くこういね!」
 生子の解答は二名を驚かせた!
「そ、そうなの? で、でもてんきよほうもそれじゃないの?」
「違うわ、読四。天気予報における予報はただ、大気の神々に直接聞くもの。
 でも生子が言おうとしてるのは全ての自然に住む神々の声を聞くのよ!
 でも、外れよ生子。それは大袈裟というものよ!
 しかし、そんな解答はこの頃からしないでね。もっと大きくなったらいくらでもして
良いのよ!」
 赤子をあやしながらも彼女は生子を注意した!
「じゃあほんとうのこたえはなんなの? ぼくにはさっぱりわからないよ」
「そうね、答えの種はここにあるわ!」
 彼女の言った事に読四は頭を抱えた。生子の場合は左眼を瞑りながら考えた。
「あら? 瞑想する時は両眼を瞑るのよ、生子」
「いえ、あえて左だけつむったわ。この方がまぼろしをつかまなくてすみますから」
「はあ、もう少し年相応に育てるべきだったわ」
 生子の振る舞いを見た彼女は赤子を見ながらため息をついた。ため息つく内に
生子の左眼は開いていた。
「答えはこのぶたいから飛びおりることよね?」
「な、なにいってるのよあねうえ! どうしてそうなるの!」
 読四は見当違いだと思った。
 しかし、彼女だけはその答えを聞き、上下唇を揺らした。
「生子。じゃあ聞くけど、何故そんな答えになったの?」
 彼女は生子に問いただす。
「だってここを飛びおりたら死んじゃうことあるわ。だから、ふだんはみんなここを飛ば
ない。
 でも飛んで九の死の内に一つでもえたら生きるじっかんがわくわ。
 それと同じようにただの思いつきで言ったこともかおを上げきったままになるわ。
 でも九のこしくだけに一つでもえたらかおがきいてくる。たとえがよくないかな?」
「う、うーん。あってるのかな、それ?」
 読四はますます頭を抱え、まともに生子の顔を見ることも辛そうだ。
 一方で彼女は生子の答えに自信満々の笑みを浮かべて--
「正解よ! ま、まあちょっと問題が難しかったわね。勘はそうゆう危うい物なのよ!
 だから、私はこの子がこの舞台を飛び降り続けてその度に一生を得る。皆に迷惑を
かける。でも私も生子も読四も四門さんやその他大勢はこの子を心配する。この子
は愛されていくわ! それは私の勘……いえ予報よ!」
「母上のよほう。でもしんぱいしてるのね、零のことを」
 生子の問いに彼女は戸惑う。それを心配したのか、零と呼ばれる赤子は泣き出し
た!
「ふぎゃあああ!」
「ああ、ぜろがないてる! なきやまさないと--」
「その心配は無用じゃ」
「あら、四門さん! でもこの子は、よーちよーちいいこだからねんね、ねんね!
 ってまだ泣くわ!」
 齢三十七にして二の月と五日目になる生子、読四、零の父四門は三名の母である
彼女に髭を奮わせながらこう言う。
「それだけ元気ならきっと大物になるぞ、零は!」
「なるかな? ぜろっていっつもなくからぼくはこもりしたくないよ」
「どうなの、母上?」
 ようやく泣き止んだ零を見て、顔全体の筋肉が弛んだ彼女はこう予言する
「この子はきっと全生命の全てに希まれし望みを託しながら命を燃やすわ!
 この舞台の下が何もない真っ暗闇であろうともね。
 そう、飛んでいくのよ! 遠すぎる過去に向かって……」
「子季! 君が言うのなら本当に叶うぞ!」
 四門は子季と呼ばれる三名の母の言ったことを信じる。
 一方の読四は信じなかったが、生子は子季の言葉に運命を感じた。
(母上はみことをはこぶのね。
 それはみずからがこの目で見れないことをさとるように!
 いやよ! 母上はぜったいに死なないわ!
 そんなかんがえをするじぶんが罪ぶかい!)



 私達三名の母天同子季は予言をして六の年の後、おぞましきモノの襲来に遭い、
命を落とす。
 死の原因。それは齢六になる零を護る為。その事が零に一生ものの後遺症を
残す形になる。
 そう言えばあの子はもうすぐ二十二になるわ。もう傷は癒えたのかしら?
 私は言えていることを願う……そんな傷で命運びを決めないで欲しいから!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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