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一兆年の夜 第七十六話 道真は藤原氏に復讐する(着)

『--俺達はとうとうこの地下通路の最奥に到達。其処に待つのは金銀財宝と生活に
とって欠かせない野菜や果物の種子が冷凍保存され、更にはあらゆる文献が用意されて
いた。それらは全て俺達生き残りの三名が命を懸けて取って来た数々の品。如何ゆう
原理でここにあるのかを俺達は知る由もない。何しろ文献自体が何の文字で記されている
のかがわからない。だからこそ驚くしかない。誰かが存命していて
 俺達はそれを慎重に袋の中に詰め込む。但し、全て運ぶ訳ではない。種子という少し
でも時間を置くと使い物に成らない物達や今後の学問の発展に繋がる文献といった
物達だけを袋の中に詰める。金銀財宝に関しては神様の一部だと考え、そこにそのまま
の状態で備える。金銀とは生命にとってみればお金に変換出来るという意味合いだけ
ではない。金銀とは生命の心の模様を描き、金とは何時までも輝く心の模様であり、銀は
少しでも疚しい事があれば直ぐに変色する罪深い心の模様。それは本来ならば貨幣に
変えるべきではない。直ぐに神々に返上し、未来永劫星の一部として眠るべきなのだ。
それが心の財宝である金銀銅のあるべき姿なのだからな。と上手くない詩的表現は
このくらいにしよう。
 袋に詰め終わった俺達は灯りが保つ時間までにここから脱出しようとした。その時、
出入り口を塞ぐように最強の銀河連合が聳え立つ。これには誰の心にも死という一文字
が浮かんだな。あの指揮官型を相手にだ。背伸びしたって自力じゃあ如何にも成らない
相手を前にだぞ。誰だって死を連想する。但し、覚悟なら既に据えていたので自然と恐怖
は感じなかったな。
 そして奴が動き出す時、真っ先に笹久間兄弟のトラーマが狙われたな。その斬撃を
読んであろう事かトラーダは胸に受けてしまった。背中ならば両断を避けられたのに
トラーマは悲しみ、そして命懸けの羽交い絞め。それはトラーマ自身が二度とこの仕事に
就けない程の傷を負いながらも俺とホーシーズが神々に礼を失する覚悟で金銀で何度
も殴って何とか指揮官型を倒した。それは辛勝であり、寧ろ最後の犠牲者としてトラーダ
の亡骸は二つに分かたれてが指揮官型の頭が向く方に倒れるのが見える。トラーダは
命を懸けて最愛の弟を生かした。だが、当のトラーマは半身を失った。ずっと一緒に行動
して来た半身を失い、包帯を巻く事も忘れる程慟哭。勿論、俺とホーシーズが巻いた。
トラーマを死なせないとにきつく、そして死んでいった十二名の為に丁寧に。
 指揮官型を倒した後、俺達はトラーダの死体を運び始める。トラーダだけじゃない。
通路に置かれてあるアリゲッダールとマモパオの遺体も一緒に。その作業は灯りが
続く限り繰り返した。それだけじゃなく、何時又銀河連合が襲撃するか、と震えながら
実行された。
 でもそれは杞憂だった地下通路を空腹や今までの傷に悩まされながらも如何にか顔を
出してみたら何とそこに新天神武の遠征軍が千名以上で俺達を迎え入れた。これには
呆気を取られるだけでなく、如何して新天神武が俺達みたいな私設武装集団を救助しに
来たのかさえわからない。その理由は遠征軍の司令官本者から告げられた。マモパオの
夫マモレスルナ・アダラシナ(以下マモレナ)が妻の頼みを受けて勘当された筈の俺の
両親一家やホーシーズの兄夫婦、それだけじゃない。俺達遠征軍の他の身内等が俺達
の為に地方議員に働き掛けて早い段階で救出作戦が決まり、実行されたんだ。全く最後
まで俺は両親の保護下だったんだな。
 こうして俺達三名は生き残った。俺ラヴァン、劣友ホーシーズ、そしてこの戦いより
一の月より後に死んでしまったトラーマ。十二名は後に大陸藤原の最北端の菅原地方
にて眠りに就いた。勿論、トラーマは遺言で兄トラーダの眠る地に眠らせてくれと俺と
ホーシーズに頼んだそうだな。そして俺達も死んでいった仲間達の眠るこの菅原地方
で眠りに就く事を選択した。しかもただ眠るだけじゃない。
 俺達は死んでいった者達に報いる為にここへ移住する者達が来るまでに住みやすい
場所にし続けた。やがて恋をして結婚、子供を産んでいきながら今もこうして物書き
しながら耕してゆく。
 もう二十一の時も過ぎたな。今じゃあ劣友のホーシーズは去りし年に亡くなり、今じゃあ
俺だけに成った。しかも俺は病を患い、もう余命幾許もない。そこでこうして書き綴り、
書物だけでも残そうと決断する訳だ。
 そう、俺の名前は菅原ラヴァン。今ではホーシーズと共に最初の菅原族の菅原人族
としてこの菅原地方を良い所にするべく開拓し続ける物なり。
                            著者 菅原ラヴァンより』

 ICイマジナリーセンチュリー二百十七年一月十日午後三時五十四分十八秒。

 第七十六話 道真は藤原氏に復讐する 完

 第七十七話 赤松は何故足利に反旗を翻せたか に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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