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一兆年の夜 第十一話 天同生子 建国篇(七)

「マウグスタ副官殿ス! 腰砕けた振る舞いと思いたいス」
 ジンドラウはマウグスタの死を認められなかった。
 その為、彼は動くのをやめた--背後から豚型に食われてもなお。
「ムシャリーニい! 何でこんなあ--いてえ!」
 ベロウ都はマウグスタとジンドラウの死を認めながらも身体を動かすが、途中でおぞましきモノの誰かから投げられた卵を右頬にぶつけられ、気を取られた!
「真島さん、危ない!」
 マウグスタに飛ばされたリモートは素早く枝を弾く事で、間一髪の処でベロウ都を助けた!
「ありりがとうう、お嬢うちゃん!」
「リモート・キングレイよ、真島さん!」
「何いちゃついてるか! おっさんが死んだんだぞ!
 お前はそのことを知ってるのか!」
 零は動きを止めていた--怒りと悲しみで!
 そのせいなのか羊型と猪型も動きを止めた!
「わかってるわ! 私のせいで--」
「誰がお前のせいにすると言ったああ!
 おっさんの死は俺のせいだよ! 俺のせいにすれば良かったんだよ!」
 零は自分の責任にしてでもベルッド・マウグスタの死を認めようとした!
 しかし--
「だからあなたは好きじゃないわ! そうやって自分だけで勝手に決めつける!」
 リモート・キングレイは認めなかった--彼女は歩くように零に近づいていく。物部刃が残り一本しかない筒を背負って。
「誰のせいにするのはあなたではないのよ!
 誰のせいにするかは皆で話し合えばいいのよ!
 それが国家神武の方向性じゃなかったの?
 それがあなた達が託された希望じゃないの?
 答えなさい、国防官天同零!」
 リモートが言い終えると、彼女の右耳めがけて卵が飛来してくる--それを零は潰さないように左手で弾きながら自らの右足近くに転がせた!
「答えてやるよ、こうゆう事だよ!」
 油を断ったと思い込んだであろう猪型と羊型は左右から零とリモートを挟み撃ちしようとした!
 それを零は--リモートの両肩に手を当てて、両足で円を描くように二体を両足の踵で蹴った!
「お、重かったわよ!」
「後は頼んだぞ、リモート!」
 リモートの後ろに着地した零は真っ直ぐ指揮官型へ走った!
「ってちょっと!
 全く私はもう戦えないというのに」
 そう言ってリモートは二体から上手く逃げていく!
「この大地は走るのに適さないわ!」
「俺は克服する! なんたって俺は戦うために産まれてきた雄、天同零だからな!」
 零は射程圏内に入るとすかさず指揮官型に右拳を振るう--だが、それは避けた!
「おっと! 両手を掴んだ! そのまま、ってうわ!」
 零は逆に投げ飛ばされた--右手の平で地面を叩いた反動で体勢を整えた!
「上右手が! 今度は下段中左手! それ今度は投げ飛ばすっと!」
 零は勢いを利用して指揮官型を投げ飛ばす--指揮官型は上右手の平を地面に叩いて、更に下段左手で地面を叩きつけて、零に近付き、最後は左足で大地を蹴った!
「蹴りも出来るか! しかし、今の俺はおっさんが死んでどうにもならない状態だ!」
 零は右手を握り、中指の第二関節を曲げた状態で指揮官型の眉間めがけて振るった!
「何! これを知ってるのか! ってうわっ!」
 零は掴まれた上に指揮官型の頭上まで持ち上げられた!
「これはおっさんがやられた両手か! 万事休すなのか!」
 そう思った瞬間、指揮官型の下段中左手に向かって足斧が飛来--肘の付け根に刃が当たり、切断!
「無理を押し通す! たあ!」
 右足で下段中右手の首部分を蹴り、痛みで弛んだところで掴まれた右手を強引に引き剥がした!
「いでっ! 痛てて、痛いって辛いだろ?」
 零はゆっくりと立ち上がる。気がつくと足斧は零の右足の斜め後ろにあった。
「そらよっと! ありがとな、真島ベロウ都! 足用で蹄口が面倒だが、今はそれで十分だ!」
 零と指揮官型との間に一分の静寂が流れる。そして両者は矛を出す!
「天同家は代々無理を強いる一族である事を知れ!」
 一瞬で決まった--高さ成人体型中まで生首が飛ぶ!
 生首の両眼は怪しく銀色に光った!

 午前八時五十九分二秒。
 場所は国家神武首都四門中央地区神武聖堂生子の間。
 報告を聞いた生子は安堵の表情をした。
(零は無事だったのね。よかったわ! でもまた多くの血が流れた……
 私は受け止めねばならないわ! 彼等の死の分まで多くの穢れを!
 それが国家神武の象徴の役目だから!)
「ピート! それで廃マンドロス村全土への塩蒔きは完了したの?」
 塩蒔きとはおぞましきモノによって穢れた大地や見ず、森林などに塩を蒔く事で
浄化作用をもたらす行為。これによって以前ほどではないが、万物の神々は目覚めていく。
 ただし、注意しなければならないのは塩は元来大地には良い影響をもたらさない。蒔く事で不毛の大地となる物である。それと塩を撒いたからといってすぐに効果が現われず、一の年から最長で百の年になるまで効力を発揮しない恐れもある。
 もう一つ付け加えるなら効果を発揮する塩は日の当たらないところで短くてにの年まで清めないとならない。それだけ塩蒔きは手間の掛かる作業である。
「いーえ、あまーりの嬉しさーに急いーでここーに駆けつけたーので!」
「まあいいわ! あの子の事だからきっと多めに蒔いてると思うわ!
 仲間を弔うという意味も含めて」

 午前八時五十五分零秒。
 場所は廃マンドロス村。塩は村とその周辺に全て蒔かれた。
「おっさん、ジンドラウ、そして……」
 零は仲間達全ての名前を言った。それを聞いたリモートは零に惹かれ始める。
「国防官……やはり私はあなたの妻に、なれません
なれません? 何だかなりたがってるように聞こえるが」
 リモートは赤面した!
「気のせいですわ! 国防官は勝手な妄想がお好きなようで!
 私はそんなあなたが好きではありませんわ!」
 顔を第四部隊の方に逸らしてでもリモートは零を真っ直ぐ見つめられなかった。
「うう! わしに向んけなうでくれうか、お嬢ちゃん!」
「ブルホルの爺さんはしばらくリモートの顔でも見てくれ! そいつはしばらく熱が下がらないそうだ!」
「風邪を引いてないわよ!」
「黴菌族は住みついいてないのおはわかあった! とにいかく今はあ死んんでいった仲間あ達を無事い神武まで担いいでいかないとお!」
「そうだな。先に兄貴への報告を済ませる。その後は姉貴にいろいろと叱られに行くか」
 零の表情は未だ悲しみに囚われていた。こっそり表情を見つめるリモートは余計に零に共感していく。この二名の関係がこの後どうなっていくのか?
 過程そのものを飛ばして結末だけが見えるのか?
 それとも結末の為に過程そのものが見えるのか?
 ただ一つの事実は彼等の結びつきはやがて一兆年に終止符を打つ切っ掛けを与えるという……

 ICイマジナリーセンチュリー四十年四月八十三日午前九時零分零秒。

 第十一話 天同生子 建国篇 完

 第十二話 天同生子 激動篇 に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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