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一兆年の夜 第七十五話 最高官のお仕事(終)

 未明。
 地面に叩き付けられたのか、或は噛み付かれた箇所からの出血量の多さから意識を保つ為に必要な血液が回らなかったのか……烏丸カラッ佐の意識はまだ見ぬ桃色の空間に飛ばしていた。
『国庫は何処だ? なっ何故俺がこんな所に居るんだ?』
 カラッ佐は必死に体を動かそうと思考する。けれどもその空間では手羽先どころか足一つ、そして声を発する方法さえわからない。それ以前にカラッ佐は言葉すら知らない状態に居る。自ら言葉を紡げるのに体の一部一部を知らないとは。
『かっ烏丸カラッ佐は、しっ死んだ?』
『心配は要らん、カラッ佐の坊主』
 カラッ佐にとって誰よりも師だと仰ぐ生命の声を聞く。彼はまだ魂の形を変質しない模様。そんな彼が何かを伝える。
『娘達を悲しませたくんない。だからわしは命に代えてもリリーエを救ってみせるん!』
『ちょっちょっと何を言い出すんですか、えっとリリーゼさん!』
『そうゆう訳だからお前さんは命を投げ出すん必要はない。罪はこのわしが全て受け持つん。このわしが銀河連合と共に果てて魂ごと燃やし尽くすんぞうん!』
『待ってくれ、リリーゼさあああああん!』
 それから光がカラッ佐を覆い尽くし--



























 午後二時五十分四十三秒。
 場所は新天神武首都ボルティーニ中央地区。中央官邸表門出入り口とは反対側に八の年より前に新設された病院。
 そこにある一階最奥にある重要患者専用の病室の空中種族専用の寝具にてカラッ佐の瞼が開く。
(あっれ? こっこは何処? さっきまで……さっきまで何処に居たんだろう?)
 カラッ佐はさっきまでどんな目に遭ったのかを思い出してゆく。それと同時に桃色の世界に跳ばされた時の記憶を失いつつある。
(そっそうだ。俺は命を賭してリリーエを喰らった銀河連合と共に執務室の窓から落下して……じゃあ何で俺は生きてるんだ?)
「目覚めましたね、最高官」背後から声がする。「大丈夫ですん、みんな助かりました」
 振り返るとそこにはリリーナルや包帯で巻かれた状態のイタドウヨだけじゃない。向こう側にリリーエも寝具で寝てるのが見える。
「リリーエ?」
「ええ、奇跡が起こったのですん。助かるん見込みがないと言われていたリリーエが銀河連合から切り離され……懐かしい生命が私達を助けました」
「まさか前乃最高官だったあの方牙突然降臨してリリーエ於助ける何て那」
「そのリリーエは大丈夫なのか?」
「壊さず検査の結果は何処にも銀河連合と思しき存在の確認はされなかったわ。でも油は断たないの。暫く感染源の可能性を考慮して私達はここで入院するん事に成ったの」
 隔離か、引継ぎ乃為似来た乃似こんな扱い於受ける何て那--とイタドウヨは二の年より前に成立し、去りし年に施行した隔離法に対して少し文句を口にした。
「どっ如何だ。おっ俺も少しは役に立っただろ?」
「ああ、格好良かったな。だがそれだけじゃあ国民乃信頼乃回復似端繋がらん」
 ウッウググ--と歯を食い縛るカラッ佐だった。
(でっも良かった。りっリリーゼさんのお蔭で俺達はこうして生きてる。ひっ一つの悲劇は食い止められた。どっ如何ですか、りっリリーゼさん? おっ俺だって立派に最高官の仕事を果たしたと思いますよ!)
 今回だけは奇跡が起こった。けれども奇跡は二度三度と起きない。その為にカラッ佐は引継ぎの際にはより厳重に銀河連合対策をするようイタドウヨに申し入れた。今回みたいな事がまた起これば確実に体を奪われた生命は助からない。その為、生命が助かる方法として未然に防ぐ為の対策として雨漏り対策、井戸水の対策など液体型銀河連合に依る体内への侵入経路をより厳重に心掛けないといけない。これだけでも全ての銀河連合を未然に防げる保証はない。けれども悲劇を減らす事に繋がる。死んでいった者達の無念を少しでも晴らす事に繋がる。そう、カラッ佐は自身が最高官として最後の役目を全うするべく必死に話し合った。
(おっ俺がやれるのはここまでかも知れない。ふっ古き者達がやれる事はここまでかも知れない。そっれでもやれる事はやって手綱を羽渡ししないといけない。そっれが活かされる俺達のするべき事だ!)
 悔いる事に足を止める暇があるならそれを糧に前進するように助かった命に価値を持たせるべく全力で前進する事。そうしてほんの僅かではあるが全生命は運命の日が来るまで前に進む……

 ICイマジナリーセンチュリー二百十七年一月三日午後三時零分零秒。

 第七十五話 最高官のお仕事 完

 第七十六話 道真は藤原氏に復讐する に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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