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一兆年の夜 第七十五話 最高官のお仕事(始)

 午後零時二十三分四十八秒。
 今の年で後六十八の日の後に鶴翼党の党首である齢三十六にして三十日目に成る神武鬼族の老年カゲヤマノイタドウヨに政権を移行させる。その為、カラッ佐は引継ぎを完了しないといけない。だが--
「入るぞ」そこへ戸を叩かずにやって来る身長成人体型一とコンマ五程もあるイタドウヨが首を曲げて入って来た。「全く先祖代々科羅もう少し天井高く改修工事しろ斗言って来た乃似那!」
「こっこら、イッタドウヨよ。戸っを叩いてからは入れとあれほど言われてるだろうが!」
「五月蠅い、人気なし乃烏乃分際出!」
 なっ何て事を言うんだあああ--実際は有権者のほぼ六割程が『反対或はどちらかと言えば反対』の烙印を押されただけに泣き出すカラッ佐。
 実際には冒頭でカラッ佐がようやくいう事を聞き始めた頃合いとは即ち最高官が一期限りだと決定して誰もが最後に花を持たせようとカラッ佐に協力しただけである。なのでカラッ佐自身に全面的に強力な部下は殆ど居ない。勿論、庶務を務めるリリーナル及びリリーエ姉妹もそうである。それだけにカラッ佐の者望は薄い。
「まあまあ、最高官。で、でもようんやく政策の是非を理解してくれて職場で働く正装組もおりますんので最後くらいは成層圏を突破するん勢いで政務及び引継ぎを行いましょうんね……はい、これ!」
 目っの前に百枚束のみならず石板まで……リリーナルは冷たいですなあ--とカラッ佐は最近目立ち始めた白髪を左手羽先で擦りながら右手羽先で器用に筆を握りながら記してゆく。
「オイオイ、最高官乃仕事って乃端判子だけじゃなく直筆模あるんかい?」
「おっお前も手伝え!」
 へいよ、仕事似慣れねえ斗那--そこはどんな競い相手でも政務では共に働く仲間だという認識。
(クッソウ、あっあの図体で手際良いなああ!
 もっもう自棄だあ。こっう成れば仕事終わらせる為に政務とは何たるかを手羽先なり翼なりで示してやらあですなあ!)
 最高官はあくまで施政方針演説で方向を示す。示すのは構わない。実際、選挙戦で訴えた事と施政方針で語った事に寸分の狂いもないかも示さないといけない。遠すぎる過去ではこれが重要であり、選挙戦での示す事と施政方針演説のそれが違えば国民の信頼を得られない。当然、次の最高官選挙の際の信認問題にも繋がるのだから。そこがかつてあった真正神武、古式神武、そしてそれらを合わせた真古式神武との大きな違いである。それでも任期途中で不測の事態が発生した場合は一々選挙或は施政方針にはない事を遂行しないのは神々に申し訳が立たない。故に最高官は常に国民の民意に左右されやすい。仮に本音が口に出来なくとも最高官は本音にない事を遂行する義務を負う。それでも国民の意見ばかりに左右され過ぎるのは却って方向が定まらないとして個性なしと断言される。故に最高官たるものは方向を示す。選挙で民意に訴える時も、それから最高官に就任した際に施政方針演説を以ってまでして個を!
 次に最高官は方向を示すは良いが任命する大臣も慎重に執り行う。大臣がもしも不足な心掛けをしたり、態を失う事がある場合は任命責任は最高官に帰結する。だからと言って無難な大臣ばかり任命するのは自分のしたい事を本当の意味でやってくれるとは限らない。どの道、大臣とは自らの方向を忠実に果たす為の存在であって安易な道具ではない。彼らも生身の生命である以上はどんな態を失う事が起ころうとも最高官は全責任を負う覚悟で任命しないといけない。それ故に最高官は大臣の任命を慎重に執り行う。
 最後に最高官は毅然としなくてはいけない。確かに誰も反対出来ないような強過ぎる最高官は却って国民の信を得られない。けれども頼りない最高官を部下は望まない。国民だって望まない。最高官が弱々しいと誰も従いたいと願わない。故に最高官は毅然とした生命でないと務まらない。
 三つの観点からカラッ佐は任期中に度重なる問題を起こした。にも拘らず彼は全く省みなかった。これが剛力党の支持率を大きく低下させて鶴翼党の再台頭を許した。
「お前こんな乃判子押してどうするんだよ!」
「喧っしいわい、口っ煩く成ら子供でも出来るのですぞ!」
「まあまあ喧嘩は止めて……戸を叩く音がするんわ」
 リリーナルの言葉を聞いた二名は一旦手と手羽先を止めて扉の方に耳を傾ける。すると齢二十一にして後の月と十八日目に成るリリーナルの妹のリリーエが姉と異なり……「お食事が出来ましたわ」と可愛らしい声色で報せる。
 どっどうぞ--と返事するカラッ佐。
「失礼しますん」と可愛らしい尻尾を振るいながらリリーエは扉を開ける。「ではそろそろ食卓の方に向かいましょうん」
「そっんじゃあそろそろ--」
 待て、カラッ佐……その子似近付く那亜--と何かに反応してカラッ佐の襟首を右人差し指と中指で強く抓む!
 するとカラッ佐が飛ぶべき方角に向けて液体のような物が飛び出す--と同時にリリーエが獅子型に様変わりした!
「リ、リリーエえええ!」
「な、ぎっ銀河連合が……あわ、あわ、あっわ!」
「如何やら……俺牙最高官似就任する日端永遠似訪れない那」
 一名は恐怖の余り、もう一名はたった一名の妹を銀河連合にされた衝撃で痙攣を起こす中……次期最高官のイタドウヨは覚悟を決めて全身の筋肉を膨張させてゆく!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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