FC2ブログ

一兆年の夜 第七十四話 優央の記憶 真古式神武の終焉(七)

 午後八時三十二分零秒。
 ちょうど月がマンメリーと液状鬼型を照らす時、大地を蹴り割る音が周囲半径成人体型八十まで響き渡る!
 ん、アレ--メランコリーナは余りの轟音に再び目を覚ます。
(戦いは始まった。やはり力の勝負ではマンメリーはあらゆる型で猛攻を食い止める以外の手は、いや足はない。何故ならシレンデン自体の身体能力は死して尚も指揮官型を葬る程の執念を見せる。その執念に応える以上は自然と死後硬直と同じような動きを披露して見せる。それを想定して銀河連合は、或は予想外の事態であっても結局は銀河連合はシレンデンの肉体を乗っ取って更なる戦闘力を身に付けるに至ったか。最早圧倒的過ぎる力の前では小足先の技なんて意味がない。だからこそああゆう風にマンメリーは防戦一方だよ。本当にあそこから勝機があるのか、マンメリー?)
 優央の思う通りマンメリーも戦う前から既に力の差を理解する。実際にそれを両前足で感じ取り、そして全身にその痺れが伝ってゆくのを感じ取る。それだけじゃない、マンメリーにとって苦戦する理由とは--そう、体のあちこちから液体のような何かが飛び出すのを誰の眼にも飛び込む。
「ああ、パパあああ!」メランコリーナはマンメリーを思って尻尾を道路に突き刺し、無理矢理上体を起こす。「ウウウ、待ッテテ。今から私ガパパヲ--」
 ウグ……思わず尻尾を突き刺して踏ん張ってしまったじゃねえか--マンメリーはとうとう顔面に右拳打を浴びる!
 花、両眼、そして口から赤い液体を噴き出しながらマンメリーが採るのはカンガルー拳法一の絶対反撃の型である三点立ち。それは尻尾を突き刺し、更に両後ろ足を道路に根を張るようしっかり踏みしめながら胴体を晒し、両前足は膝を曲げて脛を見せるように構え、最後に首を絶対に見せないよう顎で覆い隠す。
 それを見たメランコリーナは足を止め、父の勇姿を見届ける。
「やっと理解……ブフウウ!」それでも液状鬼型の打撃は一撃一撃は通常の生命にとっては気絶してしまいたい程に重たい。「ハアハア、ハグ……何テ重さだ!」
(マンメリーは打つべき所を見据えた。父としての維持もあるんだろうが、それ以上に彼が武芸者だからこそ次で全霊を懸けて打ち込むんだろう!)
 このように優央は断定。外せば待つのは死……ではなく、内部に潜む銀河連合に全身を乗っ取られる。それだけにマンメリーの心の中に雑念も浮かぶ。けれどもその雑念以上に父親としての維持が彼を突き動かす!
「済まない、済マナイ。父親らしい事ヲ四ノ年もせずに、申し訳ナイ」一発打たれるたびに流す涙が血の色であってもマンメリーは謝罪の言葉を述べ続ける。「ずっとお前ノ育児ヲエリフェレス達に譲った事を、亡きサーバ十二世ニ譲ッタ事ヲ心より謝罪するよ……メラン!」
 最後の一撃となる鋭く長い爪を延ばした右人差し指と中指がマンメリーの両瞼が大きく晴れた両眼に向けて突き出される。受ければ目潰しどころかその奥にある脳にまで達するほど鋭く長い爪……それが目を潰した瞬間、マンメリーの右前足から繰り出される正足突きが液状鬼型の緩んだ鳩尾に向けて真っ直ぐそして鋭く貫いた!
「決まった……決まったが」優央は目撃する……液状鬼型を巻き込んでマンメリーに向かう物部刃のようなモノが数百も来る事を。「最後は僕が……僕が命に代えても果たして見せるからなあああ!」
 優央は神武包丁を抜く--胸の痛みが又しても優央を襲っても彼は動きを止める事なく、今……全生命体の希望と成って突っ走り、乗っ取られそうなマンメリーごと二体の液状型を真っ二つに斬った!
 優央は斬り放つ時--アリガトウ--という言葉を耳にする!
(有難う……だと、それは僕の台詞だよ。ここまで僕を守ってくれて感謝で一杯だ。お前が居なかったら僕は、僕はずっと迷いの中に居ただろう。そして僕は、僕はこの時までずっと生き続ける事が出来た。共を切った以上はもう僕に遺された道は……その刃のような何かを代わって浴びる以外に道はな--)
 いいえ、優央は……そんな事をしなくて--だが、運命とは誠に酷い事を遺すのか!
『--済まないが、この話を紹介する前に如何して彼女がそこに居たのかを説明しない
とな。僕達は先に新天神武に避難してる筈の史烈、躯伝達が銀河連合に囚われてるの
ではないかと踏んでシドウシンを始めとしたたった五名だけの救出班を結成させて
銀河連合の眼が届かない道を見付けて彼らを先行させた。
 確かその時間帯はこの時が来るちょうど二十の分より前だったな。一応、生還した躯伝、
サルタビロウ、そしてイタトラノから聞いた話だ。だからどこまで聞いていたのかは定か
じゃない。なのでそこから先は躯伝に記させる。
 それはな--』

 ニ十分前。時間にして八時二十二分四十三秒。
 場所は仮設民家。
 最初に探る仮設民家で運良く史烈を発見したシドウシン達。そこで行われるのは最早鬼族も畜生もない所業。銀河連合の数は二体。首を鉄縄のようなモノで縛る史烈の残り時間が少ないと奴らは知ってか知らずか、既に両腕を切断した状態まで彼女を追い詰める。その所業に五名が怒りのまま突撃し、あっという間に仕留めたのは語るまでもない。シドウシン自体の身体能力もあるだろうが、数の有利が働いたのも事実。さて、銀河連合に体を地で染めた後に冷ややかな感情に戻りつつあった五名は直ぐ様史烈を縛る鉄縄のようなモノを外してそれから自らの衣服を破いて切断面を何とか止血する。
 けれども……「もう、僕は……フウウ」既に病と流れた血もあって自他共に助からない事に気付かされる--特に自分の事を知る史烈としては十分に痛感する!
 その前に、えっと鬼族、の坊、や--とシドウシンを指名する史烈。
「その体出何於するんです科、史烈様!」
「決まってるわ。優央を助けるの。それに高々このくらいの出血じゃあ簡単に死なないの、生命って。ウップ……ハアハア」既に風前の灯火の史烈は躯tから出る赤い液体を見下ろした後、見上げてこう言った。「我が子であり、新仙者である、躯伝に、見せられ、ないけど、僕だって、僕、だって、革仙者を、名乗って、も、良いの!」
「良くわかりません。何於言って--」
 連れて、行きなさい……優央の所、に--シドウシンに思わず従わせる程の圧を掛けた史烈。

 そうして今の時間帯にして優央は自らを守らんと両腕がない史烈が刃のような数百ものそれを全身に浴びて!
「の、の、れ、あ、の、れ、あ?」
「見て、や、さ、お、ぼ、く、は--」
 優央は虫の息である彼女の両眼が赤く輝くのを瞳の奥に収めてゆく……

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR