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一兆年の夜 第七十四話 優央の記憶 真古式神武の終焉(五)

 午後四時二分一秒。
 場所は第九地下通路。
 タイガーフェスティに今も銀河連合は降り注ぐ。その雨はより完成が遠い通路に成れば成る程に数十回の衝撃を受けただけで崩壊する。
 故に優央、マンメリーは急いで第九通路を抜け出そうと走る!
(クウウウウ、ここに来て胸の痛みが襲って来るかああ。思わず、膝が、膝が!)
 優央様ア--マンメリーは優央の両脇に右前足を通して静かに立たせる。
「有難う、ウウウウ、ハアハアハアハア」表情が今にも死と直面するような優央。「薬はまだ飲めない。食事を摂るまで薬は使わん!」
「何於してる……崩落牙急いでる時似喋ってる場合など出端ない!」
 済まないな--と優央は会話を止めてマンメリーに助けられるように走ってゆく。
『--この時は死ぬかと思った。その理由は何かって? それは余りにも急な発作と手助け
してるとはいえ、その走りが何とも硬い物でね。僕のせいでマンメリーが巻き添えに成る
かと思った。けれども助かった。どうやら僕は益々みんなに感謝するように成ったな。僕
の為に己の命さえ投げ出す彼らの意気込みとそして僕自身の無力さを。
 だが、そんな彼らにも別れは訪れる。別れが訪れる最初の生命は--』

 午後四時十二分十秒。
 場所は第十通路南南北側出入り口。
 銀河連合の雨がビーダ目掛けて降って来た--それはどれだけ動きが遅いビーダでも体感速度を以ってすれば安全圏に移動する事は容易い。
 躱す事に成功するも階段は崩れ落ち、第十通路への侵入は困難を極める。寧ろ恐ろしいのは会談に落下し、更には上下にはねながらも転がり落ちる銀河連合がそれから一の分より後に翼を広げて目の前に姿を披露するではないか!
「狙いはおらだけじゃないって?」
「ここ端俺似任せろ、ビーダ。お前端引き続き液状型牙体内似侵入する科如何科乃確認於知ろ!」
 全く爺さんは者使いが荒いのだからッテ--と文句を言いつつも部下への指示、そして己自身に厳しいビーダに抜かりはない!
「うわっつ……ビーダさん端俺っち乃所まで気於使っちゃって」齢十一にして一日目に成る神武鬼族の少年にしてシレンデンの孫シドウシンは感謝しながら祖父譲りの反応と怪力を披露。「トウ、タア……何時科俺っち端躯伝様乃付き者似成るぞおおう!」
 指導神の言葉を聞いて少し長文で考える優央。
一兆年の神々がもしも躯伝の明日を教えてくれるのならきっとシドウシンだけじゃないだろう。彼と共に新天神武を変革させようとするのは。まあ変革は史烈の望みであり、銀河連合に依って齎される望み絶たれる未来を打破する為の一つではある。まあ躯伝や何処で何をしてるかわからない名の知らぬ弟はきっと……いや、今は第十通路を潰された状況をどうやって打破するか、だな)
「危ナイ、優央様!」マンメリーは突然、優央に向けて襲い掛かった蝙蝠型の顔面を右前脚の一撃で仕留める。「フウ、今ノハ少シ危うかった」
「まさかマンメリー、お前--」
「何、心配ハ無用でありますよ」マンメリーは右前足を隠すように振り向く。「今はビーダ率イル班ノ報告が先でしょうな」
(もしや……いや、その時は僕の手であいつを楽にしてやりたい!)
 優央は自らの手でマンメリーを楽にさせようと決意。既に迷いの霧は大分晴れ、そして己の弱さが何の為にあるのかを理解し出す優央。だが、まだそれを断言するまで時間を要する。
 さて、ビーダの報告では既に液状型に依る奇襲は対処したとの事。そしてシレンデンは蝙蝠型を瞬殺。後は第十通路以外の道を進むべきか如何かである。優央の決断は……「例え階段が崩れようともどちらが依り安全にタイガーフェスティを抜け出せるか……それ以外を模索する時間は残されてない!」例え足場の問題があろうとも突き進むのみ--最早優央は以前とは違うのである!
(とはいえ、ビーダが最後まで奇襲があるかどうかを見張ってて良かった。お蔭で僕達は安全に降りる事が出来た。出来たのは良いが、ビーダはそこで自身よりも巨大な百獣型の襲撃を受けてしまった!
 僕達は階下より成人体型二十の高さがあるとはいえ、必死にビーダに呼び掛けた。だが、ビーダは利がないとわかっていながらもその小柄な体躯で百獣型に挑んだ。自分には蠍族と同じように毒を持ち、それを血液に注入すれば百獣型を倒せると信じて!
 幾ら百獣型も血液を動力にしても小柄が巨体に勝てるのは空想話だけだ。現実は……だからこそ僕達は悔しかった!)

 午後四時三十分零秒。
 場所は第十通路。
 度々、通路は揺れる。銀河連合の小雨は衝撃が大きい。雨水がもしも自分達のような質量で降り注げばそれは通常の雹とは比べ物に成らない。雨水一粒一粒の質量に改めて感謝の意を表す優央達。神々は雲に出来る限り雨で生命が押し潰さんよう計算した事を心から祈る。
 と同時に背後よりビーダが姿を現す。
「ヘヘヘッチ、遂に、倒しましたッテ」そして砂利の多い床に落下するビーダ。「アレッテ? 何か感覚が--」
 ビーダ--優央はビーダの姿を見て唖然とする……と言うのも左羽一枚だけでここまで来たなんて生命としては有り得ない光景なのだから!
 ビーダの亡骸の先に百獣型が来る。既に百獣型はビーダの毒が回って右前足が上手く動かない状態まで追い詰められる。
「ここ端--」
「俺が出ル、ビーダノ仇ハ俺が討つ」
 マンメリーが名乗り出る。そして、シレンデン以外には目にも止まらぬ速度で百獣型の顎に一撃、そして眉間に一撃浴びせて仕留めて見せた!
「フウ、マダ戦える」
「まさか……いや、今端抑えてるな」
 百獣型を倒してもビーダの魂は返らない。わかっていても仇討ちを止めないのは魂の救済がそこにあると優央なりに考える。
『--僕の場合は仇討とは死んでいった生命の魂を救済する事にある。あるにはある
けど、自分自身でそれを決断した場合は如何成るか?
 ビーダの死から二の時より後、僕達は遂にタイガーフェスティを抜けて残すは国境
を越えて新天神武へと辿り着くだけ。その道のりでは様々に困難を極める。僕も主な原因
でもある。そして--』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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