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一兆年の夜 第七十四話 優央の記憶 真古式神武の終焉(三)

 午後一時零分四十八秒。
 場所は真古式神武首都六影府第三南東地区。
 そこにある第一新地下通路。全部で十七もある地下通路。距離はそれ程ではない。だが、銀河連合の雨を凌ぐには十分過ぎる程の深さは確保。そして何よりもこれこそが三十の年より前に亡くなったルケラオス虎族の佐々木家最後の虎タイガードライバーを称えて開通する予定だった避難壕。勿論、銀河連合の嵐を凌ぐ為だけが目的ではない。この地下通路に眠る穢れを纏わない土を回収してそれを穢れの多い土をある程度掘り進めてから被せる事で大地の浄化を推進するという力業が可能と成る。正に国家神武が誕生する前の凡そ七百の年より前から始まった穢れた大地をどうすれば浄化する事が出来るかという課題の解決に向けて一歩前進する……最も真古式神武が喰われる日と成ってはそれは更に明日の課題と成ってしまったが!
 ここを通ッテユクノデスネ、優央様--とマンメリーは未完の地下通路を通る事に些か賭け事をするかのように警戒。
「仕方がない、マンメリー。僕達は最早安全な選択肢がない。常に時間が僕達に決断を迫り、そして焦りが冷ややかな静けさを熱する。まあ頭の良さそうな言い回しを試みて頭の良くない言い回しに成ったけど」
「確カニソウデスネ、ハハ」苦笑いするしかないマンメリー。「歳ヲ考えましょう、もう良い大人ナノデスカラ」
 優央も釣られて苦笑いしてる中で、突然笑いは消えた--大地を震わす雨が未完成で耐震性も十分じゃない第一地下通路を揺らした!
 その勢いは二名の中で恐怖を与え続ける。地下通路の至る所に罅割れが加速。砂の弱々しい雨が二名の服を通過して肌にまで浸透。益々、二名の心を揺さぶる。
(安心も自信もなくすなあ。まあ何時もの事だな。でも僕はここで死ぬとは思えない。なんだか最近は恐怖こそ感じても死を感じなく成って来た。たまに来る胸の痛みのせいか? だろうな……それにしても腹が減ったなあ。おお、そろそろ昼食の時間かな。さあ逃げ切るまで僕達は空腹のまま過ごせるかな?)
 そして、揺れが止む時……二名は一安心。但し、マンメリーは付き者として一の秒の後に構える--一瞬のスキが命取りを理解しての行動だった!
「有難う、マンメリー」
「アア、俺はサーバ十二世ノ死ヲキッカケニ鍛え直したさ。でも話の続きハ安心出来ル所ニ着くまでお預かりですな」
 だよね、お喋りする程に僕達は若くない--口を動かすよりも体を動かせ……誰が最初か存知ないがそれを忠実に守って二名は先を急ぐ。
(その後は大変だったな。第一通路を抜けだした時に突如として胸の痛みが起こったな。薬を服用しようかと考えたが……僕達は僕達だけで完結する為に意見を述べる者が一名も居なかった。一錠口に入れる前に医者の言葉を思い出したんだ。実は服用する場合は食事を摂ることを前提にしないといけないという事を。胃の虫が鳴く状態で薬を飲むと却って気管を痛める場合が起こる。咳込みやすくなる。なので服用する時は食べ物を胃の中に放り込み、消化が十分な時に一錠ずつ丁寧に喉を通すしかないんだな。
 さて、薬の話はそこまでにして説明する事は即ち第二通路には銀河連合が五体も潜んでいた。幸いな事にどれも飛蝗型、蝶型、蚊型、蠅型、兎型とそれ程の強さじゃない為にマンメリーは少し力を抜いて仕留める事が出来た。にしてもマンメリーは鍛え直した事だけあって五体全て一撃で仕留めおって。全く羨ましいな、僕では一生懸けても掴めない極意をあいつは……いや悔いても仕方がない。マンメリーのお蔭で第二通路に入れた僕達はそこを十七の分掛けて通過。通過した先で待ち受けるのは--)

 午後二時一分零秒。
 場所は第二通路北側出口。
「やっぱりここ似居た科」そこへカゲヤマノシレンデンが二小隊を引き連れて優央とマンメリーを出迎える。「どうぞ、安心して俺達似頼りなさい那!」
 気遣い感謝する、シレンデン--と利き手でシレンデンの巨大な右手を強く握る優央。
「オヤ?」
「何か気似成る乃科、マンメリー?」
「ギャスー太トイタトロウ、それにサルタビト十八代ハ?」
「逸れてしまった。大丈夫だろう牙、命まで端保障出来ない那」
 命までは……優央にとって真古式神武が喰われる事は無事に生き残れる保証はどんな軍者でも難しい事を改めて認識させる。
(ギャスー太の跳ね技は正に馬族の背中は簡単に乗りこなせない事を証明する程の高い完成度を誇るまでに至るが……それでも物量の前には圧し切られる。
 イタトロウの理の業は確かに肉体の疲労を最小限まで抑えられるけど、精神はどんなに頑張っても皆平等。肉体と違ってそこに上とか下はない。少しでも揺れ過ぎればあっという間に終わる。
 サルタビトの斬撃は正に神様の如き物。かつては僕の先祖の一名でもある天同八弥やつみも刃毀れを起こさずに斬撃する技を持っていたが、サルタビトのそれは更に上を行く。何と何を持っても斬撃が可能な程に刃を極めた雄だよ、あいつは。けれどもあいつはどれ程に強くとも都合には逆らえない。世界観補正の前ではサルタビトの斬撃は突如として一般生命並みに落ちるだろう。
 シレンデンの言う事はそれで説き得て妙だろう)
 最後の一文は流石に思い付いて直ぐに周りから顔を背けるほど恥ずかしがる優央。さて、そんな恥ずかしがる優央を見て近付く軍者が一名。齢三十三にして四の月と二十三日目に成る雄略蜂族の中年ビーダ五世。彼は何かを呟く。
「大丈夫ですッス。おらを含めてここに居る全ての軍者に液状型は居りませんッテ」
「そうか、それは良かった」
「鶏量が小柄なビーダノ坊ヤダカラ出来る芸当だな、有難ウナ」
 坊や言うなッテ--とマンメリーの頭上を飛び回りながら子供扱いするマンメリーに当たり散らすビーダ。
(ビーダみたいに小柄な分だけ細かい点まで見られる生命は寧ろ有り難い。僕達は戦いに於いてどうしても力ある者ばかりを求めやすい。その点、ビーダみたいに僅かな点まで覗き込める軍者はこの状況を生き延びる為にも重要だろうな。もしも彼が死んだら僕は……いや、僕が最優先に心配するのは先に行かせた史烈、そして躯伝。あの二名は無事だろうか……無事じゃないなら僕は--)
 肩の力を抜いて下さい、優央様--とマンメリーは心情を察して優央の右肩に左前足を乗せる。
「でもマンメリー。親が妻や子を--」
「それは俺モ同じだよ……あいつが俺ヨリモ死んだりしてないか、あいつが亡きメリーナや姉であるマリエルの下ニ向カウヨウナ無茶をしてないか? そしてレヴィルビーのカンガルーとして責務ヲ全うしてるか……山程アルンダヨ、心配事が!」
 済まない、お前の心を乱して--と謝罪する優央。
「まあまあ、今ハ前ヲ向きましょう……今は亡キ躯央様ノ御言葉ですよ」
 叔父さんはそんな事を……ま、いっか--と口よりも体を動かす事を優先する優央。
(第三通路、そして第四通路は僅か三十の分で突破。これと言って困難な事態は発生しなかったな。前方或は地面より銀河連合が現れるもシレンデンらによって鍛え抜かれた二小隊は一名も死者を出さずにこれを討伐。それとビーダを始めとした小柄な軍者の見回りに依って液状型の付け入る隙も与えない。
 ここまでは上手く行く。だが、銀河連合も何時までも同じやり方をするとは思えないな。今までの経緯を踏まえれば僕じゃなくともある程度は想像も付く。そうゆう想像はな……)
『--そろそろここから先は僕自身の事よりも躯伝の話を中心に持って行こう。彼は
その後、サルタビト十八代が率いる小隊と合流する。サルタビト十八代は装備こそ
それぞれ後一本使えばもう素手素足素羽で銀河連合を仕留める寸前。それでも躯伝の話
に依るとサルタビトの雄略包丁は一切血糊が付着してないと聞く。流石だな、サルタビト
は。

 躯伝の話を更に続ける。度々、激しい雨が降り注ぐ。それに対してサルタビトは無茶な
行動をせずに耐久性の高そうな建物に潜伏させて何とか犠牲者を零に留めたそうな。その
方法は今回も功を奏して何とか乗り切る事に成功。
 実はこの案はサルタビトの案ではない。既に戦死した参謀で勝手に
タイガーフェスティ蝙蝠族を名乗る水原コウモ郎の発案らしい。それに付いて納得の
ゆかない僕が居たが、
息子の懸命な訴えもあって彼の発案を高く評価したがな。
 コウモ郎のお陰で自らの力量を過信せずに済んだサルタビトは戦う士族としても既に
高い領域に踏み込んでると言えよう。しかし--』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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