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一兆年の夜 第七十三話 優央の記憶 悲劇の再現(三)

 午後六時二十八分十二秒。
 神武聖堂の旧天同七弓の間のちょうど全長成人体型一とコンマ二と三の間はある人族の彫像の真下に作られ、そこを通って中央地区で五番目に小さな建物へと進む事が可能。
 そこは神武聖堂と最寄りであるが故に距離にして短い。精々、走って十一の分で辿り着く。。そして、そこから外へ出るのは予め置いてある瓦礫をどかさない限りは難しい。何しろ、旧古式神武の最後の指導者であった十五とごは敢えて喰われたままの状態で浄化させた。そして、天同烈闘が大陸藤原で命を落とした後に優央が政に参加出来る年齢と教養を身に付けるまで摂政を務めた躯央くおうは首都移転の際に神武聖堂を建設すると同時に七弓の間の地下にこのような地下通路を新設。今に成って機能し、こうして優央、史烈、躯伝、マンメリーやメリーナ、マリエラ、メランコリーナ、エリフィルズ、エリフェレス、エリフィスト、エリフィリーネ、エリフィオリーナ、キュー草等を避難させる事に成功する。
「助かったわ、みんな」齢三十六にして二の月と十九日目に成る神武人族の天同史烈は煤だらけの顔で喜びの表情を示す。「これで助かるわ」
「ダケドモコノガレキヲテッキョシナイトイケマセンネ」
「貴方、ヤレル?」齢三十にして十一の月に成ったばかりの婚約前はタゴラスカンガルー族で旧名メリーナ・メレルボラスは袋の中に齢二にして一の月と一日目に成る双子の女児マリエラとメランコリーナをあやしながら夫であるマンメリーを心配する。「最近は腰痛ニ悩ンデルト聞くから」
「オイ、勝手に俺の悩ミヲ優央様ノ聞こえる所で言うな!」
 そうだったのか、済まないな--と優央は無理ばかりさせるマンメリーに謝る。
「まあまあ、人生長ければこうゆう事ハ何度ダッテ起こるんですからね!」
「まあまあぜえい、マンメリーぜよう」と無理をさせないようにマンメリーよりも瓦礫除去に熱心なのは齢二十八にして十八日目に成る武内山羊族の青年エリフィルズ。「ここは私にお任せぜえい」
「そうねフィルズぜよう、三児の父なんだからちゃんと格好の良い所を見せてねえい!」齢二十八にして二十四日目に成る武内山羊族の女性エリフェレスは齢五にして二日目に成る男児エリフィストと齢二にして十一の月と三十日目に成る女児エリフィリーネと齢零にして二の月と二日目に成る女児エリフィオリーナをぶら下げて夫を応援する逞しい母親。「全くあたしの子供達は元気が良いんだからぜえい」
「僕も手伝おうか?」
「いえ、優央は僕と一緒に安全な所で推移を見守りましょう」
 史烈--己の力なきを自覚し、目をやや瞑って歯を食い縛る優央。
(僕に父さんや母さんみたいな力があれば、僕に叔父さんみたいな頭脳があったらこんな事には成らなかった。僕に--)
 ねえ、どうしたの--幼い躯伝だからこそ優央のちょっとした部分を心配する。
「あ、何でもない。只まあ父さんは少しだけ後ろ向きに成っただけだよ」
「でもうしろむいてないよ」
「そうゆう意味じゃないからね、後ろ向きってのは」
 瓦礫除去まで後一の分……それが完了すると優央達は無事、避難を完了する。最も銀河連合がそこを見越して道非ずな行いをしていなければの話ではあるが--
「ウウウ、クウウ!」突然、メリーナは呻き声をあげる。「生理カナ?」
「それは大変ダネ。俺には一生懸ケテモ味ワエナイ事だが、メリーナにとっては深刻ナ事態だろう」マンメリーはメリーナを気遣って作業の足を止めて近付こうとする。「ドレ、少しメランコリーナでも抱イテ重荷ヲ軽くしなければな--」
 いけないよ、マリエラもかかえないと--突然、躯伝の両眼は青く輝く!
『--僕が躯伝の特別性に気付いた出来事。と同時に僕にとって銀河連合に対して今以上
に怒りを覚えた瞬間でもあった出来事。奴らが行った事とはした怒り甚だしい行いとは次の
ような物だ。
 それは--』
 瓦礫の除去が終わると同時にメリーナは未だ袋の中に居たマリエラ諸共呑み込んで液状カンガルー型に姿を変えてしまった!
「あれ、ア、レ……メリーナ、ソレニマリエラは?」マンメリーはメランコリーナを抱えたまま放心状態と成る。「如何カシテルヨナ、コレッテ?」
 液状カンガルー型の体内で二つの何かが聞こえる。
 --アナタ、アナタ、タスケテ、タスケテ--
 --パパ、ママ、パパ、パパ、メラ、メラ--
 聞こえる、聞コエルゾ--マンメリーはメランコリーナを抱えたまま、液状カンガルー型に近付こうとした時、突然キュー草が飛び出す!
「イケナイ、マンメリイイイイイイ!」キュー草は小さな肉体でマンメリーをコンマにまで後ろへと押し出す。「コノママデハアナタモ--」
 それがキュー草の最後に成ろうとは--彼女はそのまま液状型に呑まれて一瞬で死ぬ事もなく、叫び声だけが聞こえる存在と成った!
 --クルシイ、クルシイクリシイ--
「何だよ、何なんだよ!」
「優央様に史烈様や躯伝様だけでなく、マンメリーとメランコリーナも下がってぜよう。液状型は私が倒すぜえい!」四足歩行用雄略包丁を両前足に取り付けるとマンメリーと躯伝の真ん前に立って構えるエリフィルズ。「恐いぜえい、恐いぜえい。けどぜよう、ここで私がやらなければ更に多くの生命が命を落としてしまうぜえい!」
 エリフィルズの口にする恐いとは銀河連合に対してではない。銀河連合の身体の中で今も生かされ続ける三名の事を指す。三名諸共倒す事への恐怖からエリフィルズは恐怖で震える。震えるが、その恐怖に対して彼は逃げようとせずに向き合う!
「フィルズぜえい、まさか--」
 済まないぜえい、フェレスぜように……フィストぜえい、フィリーネぜえい、フィオリーナぜおう--エリフィルスは最愛の者達に別れの言葉を投げるのだった!
 そして彼は全身に致死量の触手を受けながらも液状カンガルー型の首を刎ねた!
「ガフウ……ハハ、ゼエ、い。こ、れで、ちょう、け、し、ぜお、ぅ……」
 フィルズぜおおおおおう--フェレスは最愛の夫の元へ駆け込もうとするもそれを力付くで止める史烈!
「近付かないで、フェレス。フィルズは命を賭して穢れを決算したの。穢れを、ウウウ、穢れをおおお!」
 溢れんばかりの涙を流すのは最愛の夫を亡くしたフェレスや史烈だけじゃない。一瞬にして妻と娘一名を亡くしたマンメリーや史烈に共感して涙を流す優央。彼は次のように死んでいった者達を哀悼する。
(楽に成っただろう、メリーナ、マリエラ、それにキュー草。そして自らの命を賭して三名を楽にしてやったエリフィルズよ……済まない。お前にそんな事をさせてしまった事を申し訳なく思う。銀河連合が生命を取り込んだまま襲い掛かってくれば……誰かが命を賭してそれを倒さないといけないなんて。生命の命を絶つ事は自らの命を絶つ事でしか払えないなんて……僕はこれ以外の方法なんて知らない。出来れば三名を助けたかった。だが……ああ成ってしまってはそれ以外の方法がわからない!
 わからない事にどうしたら良いんだよおおおお!)
『--これは身近なる悲劇。この悲劇は真古式神武各地で起こる。エリフィルズと同じ
ように各地でこのような死ぬに死ねない生命を助ける為に各軍者は自らの命を捨ててでも
助けようと敢行。但し、エリフィルズのように上手く行く保証はない。中には却って多く
の犠牲を出した例もある。それだけに生命に手を掛ける事は自らの命を賭してでもしか
穢れを払えない。でもそれ以外の方法を僕達は知らない。
 そんな迷いを抱えたまま四の年が過ぎた。僕は齢にして三十八に成るかな? 僕達
首脳陣は真古式神武内に潜伏する銀河連合を処理する事に追われて、外から徐々に
奪われてゆく土地に精を出す余裕もない。一応は新天神武にも応援を出すけど、彼らは
一国優先を政策の主軸にするが故に中々協力してくれない。
 だから僕は--』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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