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一兆年の夜 第七十三話 優央の記憶 悲劇の再現(二)

 五月百日午後三時七分四十三秒。
 場所は真古式神武首都六影府中央地区神武聖堂。天同優央の間にて。
 優央は齢三にして二日目に成る第一子躯伝くでんは仙者抜きで楽しむばかり。運動神経に関しては父親同様に秀でていない模様。
「ねえ、ねえ。ほかにあそぶことない?」
「それじゃあ外で走ろうか?」
「いやだよ、いたいし」
 躯伝は体が弱いのか、余り活動的ではない様子。そんな彼を何とか動かそうと試みる優央だったが--
「いやだいやだいやだあああ!」
 躯伝は大泣きする羽目に。しかも若干ながらに史烈のれあに似るのか自分のやりたい事を済ませないと言う事が聞かないという困った物。その為、史烈に籠りを押し付けられた優央は死付けるのに苦労する模様。しかも叱るという最低限の事でさえ躊躇うが故に益々、躯伝は我を押し通してしまう。
(こんなに子育てが大変だとは……これ何百回目に突入してるような。ったく史烈はこうゆう時に僕に慣れさせろとか……只でさえ国内では潜伏する銀河連合を駆除するのに苦労してる状況下で今度は自分の子供を躾けるという難題を強いられる訳だ。史烈には本当に困った物だよ。こんな--)
「アノウ、シツレイシマスガオキャクサマデス」齢二十八にして十の月と六日目に成るアデス九官族の女性臨兵キューそうは自らが案内させたキンデヅと共に戸の前に姿を現す。「コヨミケンキュウシャノキンデヅ・キシェールガオコシニナリマシタ」
「何だよ、毎度言ってるけどお客様を入れる時は先にお前が姿を現してから要件を言ってからお客様を入れるように忠告してるじゃないか」
「ドウセコモリデイソガシイノデスカラネ、サイキンノチチオヤトイウノハイツカラメスニシテヤラレルヨウニナッタノデショウネエ」
 そんな事を呟いた後に立ち去るキュー草。これには……「優央様、完全に甘く見られ益っせるな」とキンデヅが呟く程に。
「あ、さそりのせいめいだあ」
「あ、躯伝。蠍族の生命は尻尾だけは触れたらいけないからな……触れるなよ、尻尾だけは!」
「だいじょうぶだよ」躯伝が尻尾を恐れずに小さな右手で勇猛に掴む姿を見て微笑む。「なにかおかしい?」
「いや、僕は勘を違えたみたいだな」
「この子が躯伝様でっさ。この方は将来大物に成りまっぞ!」
 そうゆう訳だ、あのキンデヅの御墨が付いたみたいだ--とキンデヅから躯伝を離すと泣き出す彼を外でカンガルー拳法の訓練ばかりするマンメリーに任せてしまった。
(躯伝に足りない物は師だ。僕じゃああいつには天同の魂しか教えられない。それ以外はマンメリーやシレンデンに任せれば良い)
 そう考えながら戸を閉め、キンデヅと二名きりに成る。
「では何から始めまっせか?」
「何分割で説明するのだ?」
「基本的なのは三分割及び四分割……要するに序論本論結論と呼ばっる別名序破急の構成。こちらは--」
「話が長いから簡潔にしてくれないか?」
「あ、いけなっとあ。俺としっど事が。要するに序破急の三分割と起承転結の四分割が基本ど。優央様はどちらにすっさ?」
「短く収めたいが、ここは詳しく知りたいので起承転結の方でお願いする」
「わかりまった。では起の部分から始めたいと思っぞ。起ではICイマジナリーセンチュリーとは何なのかを語る前に太陽暦及び太陰暦について簡単に説明しどかと思っぜ。承では--」
 いや、その説明は後にしてくれ--とキンデヅに先に進めるよう再三に亘って注意してゆく優央。
 その為にキンデヅから語られる事は非常に長く、眠気を起こす。優央は何度も多忙に依る疲れと格闘しながらも話の進まないキンデヅに注意をしていき、何とか三の時に亘る説明を聞き取った。但し、肝心な部分を何度も聞き逃す為に優央自身は核心が何処なのかを日記を書く時だってわからず仕舞いだったと述懐。
『--キンデヅの話は長過ぎる上に端話が多い。その為に何処が重要であるかを僕は
何度聞き逃したか。そう言えば昔おじさんから聞かされたことがあるな。文章を習う際は
必ず全文の内の一部を抜き出してそれが如何してなのかを説明する事があったな。ところ
が叔父さんはこれに関しては別に知らなくて良いと再三に亘って言ったそうだな。理由は
叔父さん自身が文章題が大の苦手で文章題は出題する生命によって答えが大きく変わる
為に仮に作者の意図を理解しても出題した生命の意図が食い違えると間違った答えとして
採点される。なのでそうゆうのは職に就いて自力で勉学に励むように成れば間違った答え
こそ正しいと証明されるそうな。まあ叔父さんは文学の事よりも理数の事が世の中に
とって重要であり、文学なんてのは勉強した所で詩に酔い痴れるしかなくなる、と。全く
ここだけは大人げないと今でも思う限り。僕は文学が出来ない事への反動をそれこそが
真実だと説くのは余り良い事じゃないと今でも考えるが。
 下らない事を長々と記してしまった。恐らく明日以降に出されるであろうこの日記では
こうゆう部分を叔父さんみたいな捻くれた生命は読み飛ばすだろう。それだけにさっきの
のは
僕も大人げないと考える。
 それじゃあICイマジナリーセンチュリーについて思い出す限りの事を記すと起承転結の起の部分は暦
とは何故存在するのかをキンデヅが熱弁した通りだ。太陰暦は全部で三百五十五日と
成る。ところが、太陽暦は全部で三百六十五日と成る。どちらも完全に一の年を図るには
十分ではないとキンデヅを始めとした歴代の暦学者は主張する。太陽暦は四の年に
一度、閏日を入れないとずれが深刻に成る。太陰暦の場合は太陽暦と比較すれば三の
年に一度は閏月と呼ばれる三十或は三十一の日もある。これを入れないと太陰暦の
場合はずれを解消出来ないとされ、太陽暦以上に操縦が難しい。これが恐らく起の部分
だろう。
 次が承の部分だな。こちらはICイマジナリーセンチュリーの問題点を太陰暦の問題点と照らし
合わせれば見えるそうだ。実際、太陰暦は年の終わりから始まる。ここはICイマジナリーセンチュリー
同じで何れはICイマジナリーセンチュリー八百年を機に一月一日で年初めにしないといけないそうだ。
その為にキンデヅはACアウターセンチュリーを用意し、更には蘇我フク兵衛を探し出して彼から
地質学的な極意を学んで真古式神武に帰還。ACアウターセンチュリーをより前衛的にしようと試みる。
試みるもここで彼はACアウターセンチュリーを用いれば一月目を三十日にした上で更には三の年毎に
三十の日或は三十一の日加わる閏月を採用した全く新しい暦は更に飛躍するだろうと
踏んだ。
 ところがこの試みが思わぬ方向に転がる。それがICイマジナリーセンチュリーさ。ACアウターセンチュリーには
大きな問題点が浮上。太陰暦を用いた為に三の年毎に一突きは閏月を用いないとずれ
が発生。何故太陰暦の方を採用したのかは未だにそれらしい事をキンデヅは言ってたが
ちゃんと記憶に留める事が出来ずに流した。なのでその事については僕の記憶を幾ら
探ろうとも見つかる事はない。
 それよりもACアウターセンチュリーを採用した事でより高度にICイマジナリーセンチュリーは変形してゆく。それが
四の年に一度からICイマジナリーセンチュリー八百年を機に十二月三百六十日の時点から年が終わって
一月の一日から始まるように調整。そこから月がほぼ終わりかけた頃に一の年が過ぎる
という物に切り替わる。一体どうゆう風に半端だった今までの状態から無理矢理一月一日
で始まるようにしたのかは多分、それは太陽暦のような都合良く一月一日から始められる
暦が関係してるだろう。だが、その部分はちゃんと聞かなかった為に幾ら記憶を辿っても
書き留める事は出来ない。
 それじゃあ転も説明した訳だから結の方も説明しよう。ICイマジナリーセンチュリーを過去の暦にする
というキンデヅの試みはACアウターセンチュリーがぶち当たる三の年毎に発生する閏月の調整に依って
見事に崩れ去った。彼は高齢という事もあってICイマジナリーセンチュリーに屈したとして後世の
暦学者達に希望を託した訳だ。とはいえ、キシェール家の右に出る暦学者は今のところ
出て来ない中でそれを託されても無理な話だと僕は考えるが。
 さて、先祖キッジェの理想とするICイマジナリーセンチュリー八百年を機に変形するという試みは
ICイマジナリーセンチュリーからの脱却を図ったキンデヅに依って果たされた。何とも神様は意地が
良くないようだ。それじゃあ話の続きでも始めよう。キンデヅとの話が終わった頃合
かな。夕食の為に移動しようかと考える時だった--』

 午後六時零分一秒。
 マンメリーが駆け込む音が耳に届いた優央は螺子時計を確認。ちょうど六時を回ろうとしてるのを確認!
「いけない、そこで話を止めよう!」
「--何だってここからがちょうど面白っぞ--」
 大変デス、優央様あ--ところが駆け付けたマンメリーは夕食の為に駆け付けたのではなかった!
「どうした、躯伝が大泣きしてるじゃないか。ちゃんと--」
「そうじゃなくて……銀河連合ガ侵入しました!」
 何だと--そう叫ぶ優央だけじゃなく、キンデヅも驚きを隠せない!
(狙いは僕か躯伝……又は史烈だな。そうはさせる物かああ!)
 僕は飾ってあった神武包丁に右手を差し伸べようと--
「イエ、優央様。今は躯伝様ト共ニ史烈様ガ居られる場所まで避難して下さい!」
「で、でも--」
「いや、マンメリーは正した判断をする。銀河連合が内側から攻めど場合は外側に適しど優央様は却って身の危険を晒す事に成っぞ」
「頭脳労働に優れようともそれは机上の--」
 いえ、キンデヅの言ウ事ハ最もですよ--とマンメリーも彼の持論に頷いた。
「……わかったよ。但し、神武包丁は持たせてくれ」
 優央はそれだけは譲れず、それ腰に掛けると泣き止まない躯伝を抱きかかえながらマンメリーに先導されてゆく。
(一体如何ゆう事だ。神武聖堂の警備は孫女装子らの銀河連合が侵入出来る程に甘くはない筈……まさか、な!)
 優央の良からぬ考えは……後に的中する事に成ろうとは!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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