FC2ブログ

一兆年の夜 第十一話 天同生子 建国篇(三)

  ICイマジナリーセンチュリー四十年四月七十五日午後十一時一分二秒。

 場所は国家神武東アリスト町第二地区二番地。その中で二番目に小さな民家。
 齢二十三にして二の月と十五日目になる青年が望遠鏡を使って天体観測をして
いた。
「今日も北極星が輝いてあられますね。当たり前でありましょうか」
 彼の名前は板垣ツル夫。アリスト鶴族で唯一の天体観測家だ。彼は国家神武
いう名称を大いに喜んだ記念として天体観測を楽しそうにしていた。
「北斗七星だ! あの連星はどうしてあんな風に連なられるかが気になりましょうぞ!
 頭の部分から尻尾まで蛇族の様な形をしていられるでしょうが、恐らく七つの星
全てが今の我々神武の者達のようであられます! 勿論僕みたいに満たし足りうる
者達ばかりじゃないのはわかりましょう! でもそれが国家だと僕は勝手に考えて
おりましょう!」
 よくわからない考えをツル夫は独り言に出した。
「いけなかろう、いけなかろう! 僕は官僚であろうはずないからそんな事言ってどう
なさるか! 僕は只楽しくて星を眺めなされば良かろうこと! ん?
 これは……一体?」
 ツル夫はどうやら何かを見つけたようだ。
「えっと、確か空の歪みは百六十を上る年より前であろうか?
 一昨日起こられました空の歪みもそんな昔と同じでありましょうか?」
 彼がそんな独り言をする理由。それはある集合体を発見したからだ。
「この望遠鏡は銀河と呼ばれうる星々の集合だって見られましょうが、これ……は
銀河なのであろうことは?」

 五月三十三日午後三時零分五十秒。
 場所は国家神武首都四門中央地区神武聖堂生子の間。
 天同生子は座禅を組み、頭はややうつむいた状態で両眼を閉じ、両手を開けた
状態で左手を下にしながら掌の上に右手の甲を乗せて瞑想している。
(私が出した名称は反対意見があったものの僅か一の時を経たずして全会一致で
採用されたわ。もっと時を掛けて論を出し合うと思ったけど、皆は皆で忙しいかも
知れないわね。
 そして僅か二の月の間に国家神武の閣僚が決まったわ。
 どうやら私は国家の象徴として君臨するみたいだわ。
 でも余り嬉しい事ではないわ!)
 生子が嬉しくないと考える理由。それは神々の事が関係する。
(神々と同じ扱い……
 私はそんな事で良いのかしら? 何もしないなんて果たして私にできるかしら?
 自ら有り余る力を祀り事のみに集中。御子よりも大変難い役割はできるかしら?)
 そうして生子は象徴となったその日から座禅を組むようになった。食事も一日一食。
 風呂は一週に一回。主に穢れを祓う為の儀式。
 日毎は必ず今後の予報。これは御子達が行う天気予報とは趣が違う。これは国家
の命運を占う為の予報だ。
 後あるとするならば官僚の任命権。決めるのは国家最高官であるが、任命するの
は象徴である彼女だ。それ以外の役は演じる予定はない。
(飾り物だわ。結局私は秘境神武を捨てても仙者としての自分まで捨てられない命
運びのようね。けれども、これで良いわ。象徴として国民の希望になれるのなら私
は飾り物になって構わな--)
「た、た、大ー変だ! 生子ー様!」
 突然裏側よりピートが茶色の体毛を逆立てながらやって来た!
「何事?」
「目をー瞑りながーら聞かなーいで下さい! 第三東ー門より得ー体の知れないー
モノが侵ー入してきたのでーすよ!」
 その報告を聞き、生子は両眼を全開まで広げた!
「と言うことはその報告を聞いた頃には既に--」
「大変でありますだ!」
「何かしら? 今度はアルジェミィから聞くなんて」
 ピートとは反対方向から来たアルジェミィは三本足を踊るように動かしながら報告
する。
「東門全てだから生子様風だに言うならおぞましきモノだが侵入してきましただ!
 現在第二、第五、第十の部隊だが交戦中との事ですだ!」
「ヒエー! そこまでー来るなんて予想出来ないよ-!」
「腰砕けがだ! 朝早くに生子様だは予報していたであろうだ!
 最も良くない想定だをすれば容易に--」
「あなたもそんな想定をしたかしら?」
「うっだ!」
 生子は冷静にアルジェミィに苦言した--アルジェミィは目立ちこそしないが、毛根
の隅々まで汗を出していた。
「とにかく、三部隊だけではおぞましきモノ達は全て倒せないわ! 彼等の知性は
私達とは方向性が一致しない。彼等のような許し難いことは出来ないわ」
「わ、わかーってますけどでーも何だかー得体の知れーないモノのせーいで一ー体
どれほどの生命ーが死なれたーと思うとおらは怒りーで胸が締めー付けられるー
気分でありまーす!」
 ピートは両前足を握り拳ができるくらい曲げていた!
「怒りだは私もわかるぞだ! でも怒りだだけでは彼等だを倒せないだ!
 今は協力だこそ全てだ! そうでしょう生子様だ!」
 生子が返事する間もなく、生子の向いている方向より右から齢十六にして二の月と
七日目になるアリスト人族の少女が駆けつけた!
「報告します! 第十部隊が全滅! 隊長シマット・ベルグン以下全員の死亡を確認
しました!」
 その報告を聞いた二名の雄は落胆の表情を浮かべた。
「報告通りなの、リムーバ」
「ええ、報告通りです! それと私の姉であるリモートが天同国防官が本体を連れて
第五部隊に加勢するとの報告もお伝えします!」
「零が来たのね」
 生子がそう言ってる間にピートは状況を確認するために第二部隊のいる第三東門
に戻っていく!
「ところでリモートは零と一緒なの?」
「はい? えっと国防官率いる--」
「私はこう予測するわ。零は本隊と離れて第二部隊に加勢しに行ったわ!
 勿論リモートは零の支援に回っているわ!」
 生子の予測にリムーバはため息が出た。
「お姉様は国防官の事はお好きではありません。ですのでそれは有り得ない光景
だと私は思います」

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR