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一兆年の夜 第七十三話 優央の記憶 悲劇の再現(一)

 ICイマジナリーセンチュリー二百十三年五月九十四日午後零時一分四十三秒。

 場所は真古式神武古都タイガーフェスティ。奪還して四の年が経つこの古都にて順調に土の入れ替えが進む。
(幾ら土を入れ替えてもこの寝てしまいたい程の臭いはそう簡単に消せないな。いや、違うか。そう簡単にマシに成らないというのが正解かも知れない)
 齢三十四にして三の月と三日目に成る神武人族の中年天同優央やさおは齢三十五にして二の月と二十五日目に成るメデス蠍族の中年キンデヅ・キシェールと話し合う。
「やっぱりキンデヅ。ここで話し合うのは健康を落としてしまう」
「それは良くなっざ。ここで話すからこそ俺自身の悩むを打ち明けせ……ゴホゴホ!」
 やっぱり無理を為さって--優央は齢三十五にして二の月と十三日目に成るルギアスカンガルー族のマンメリー・レヴィルビーに無理矢理空気の綺麗な場所まで連れてゆくように目で連絡を取る。
「済まなさ。俺が、意地を張っと--」
 だったらまだ浄化ノ終ワッテナイタイガーフェスティで話そうと試みるな--そう言いながらキンデヅの尻尾に気を付けながら背中に背負い上げるマンメリー。
(正直、僕もマンメリーもこの環境には一の時も耐えられない。キンデヅが突然、ここで長話しようと申し出たので彼の意思を尊重したんだが……結局は三十の分も耐え切れなかったな。実際、ここで作業する約六割が一の月作業するだけで病に倒れるんだからな。僕だってこれはきつい。当時の斬弥きるみ七弓なゆみはその空気を吸って意識保てたのが不思議だな。たった十六の年以上も銀河連合に支配されただけでこれだ物な。つくづく銀河連合は自然にとって宜しくない存在だ)
 そう考える優央を始めとした三名は旧第二北西外郭地区まで移動する。

 午後零時四十分十二秒。
 場所は旧第二北西外郭地区。そこには仮設民家が数百いや、千も建てられてある。既にタイガーフェスティの浄化作業は国家にとって一大事業と化す。
 その中で最もタイガーフェスティよりに建てられた仮設民家。そこは齢四十五にして十の月に成ったばかりの六影猪族を名乗るイノ無・ロッガドウという老年が四の年も使い続ける家代わり。彼は六影府に骨を埋めるだけじゃなく、タイガーフェスティの浄化に命を懸ける誇り高き雄。
「わしの仮設民家は棺桶代わりなのにイイ、全く最近の若い者はこれだから困るウウ」
「若い若い五月蠅いっさ、くたばり損!」
「何を偉そうに--」
「こらこら、次元ノ低イ争いをするんじゃない!」
 実はイノ無とキンデヅは犬族と猿族の関係。その為、少しの食い違いで誰かが止めに入るまで約二の時掛けて口論に成る事もしばしば。
「まあ一刻を争うと考えたんだ。だが、タイガーフェスティ近くの仮設民家はここしかない。だからイノ無に頼むしかなかったよ」
「困るなアア、優央様アア。関係を御存知ならもっと別の仮設民家に移動して欲しかったのですよオオ」
「何でもキンデヅはタイガーフェスティ内デナイト話ヲシナイト口五月蠅いので」
 まアア、喧嘩に成るから何を言うまいがアア--とイノ無は老年ならではの経験則で貸す事を許可。
「有難ぞ、イノ無の爺さん」
「礼を言うなアア」
 さて、キンデヅ自身が吐露する悩みとは何なのか? それは彼の口から説明すると約二の時も掛ける壮大な内容。故に簡潔に纏めると次のように優央が思考する通り。
(キンデヅはACアウターセンチュリーの採用で逃げていた筈のICイマジナリーセンチュリーに更なる一歩を踏み出してしまった。独自の暦を作る事でICイマジナリーセンチュリーの脱却を図るつもりが先祖ギッジェがICイマジナリーセンチュリー八百年以降の算出を解き明かしてしまった。本当ならば父の代で途絶える筈だったICイマジナリーセンチュリーはキンデヅがACアウターセンチュリーを使う事で更なる変化を見せてしまった。これについて彼は何度もそれは有り得ないという前提で研究を続けた。だが、研究が続けば続く程にACアウターセンチュリーICイマジナリーセンチュリーの補強暦に過ぎないと気付いてそれに依り去る年まで酒浸りの日毎を送ったそうだ。そして今の年に入って僕にこうして弱音を吐いた。一生命の悩みを一々聞く程、神武の象徴は軽くない。けれども学者の悩みはたった一つの数式如きと一般生命は呟くだろう。だが、学者にとっては完璧に近い数式に突如としてほんの僅かな穴が発見されただけでも心に大きな傷を残す程。修正すれば良い? たかが小さな穴で大袈裟? おじさんは生前に遺した紙に依るとそれだけでも学者に大打撃を与えるには十分さ。信じた物が大きく崩れる程に学者や研究者は学問への信仰は深い。信仰に少しでも疑いを持つとそれがしこりと成って再起も難しい程の傷跡を残してしまう……そうか、それでタイガーフェスティ内で語りたかったんだな。あの地もまた、銀河連合に依って傷付けられた場所。信仰心に深い爪痕を残す心を反映するには相応しい、か)
「全くお前さんはまだまだ若いんだアア。そんな事で下を向いちゃあこの先どうやって生き抜くんだアア?」
「学者ではない只の働き猪の分際で俺に簡単な意見を述べっざ」
 何だとオオ、折角励ましてやったのニニ--止せば良いのに直ぐ口論と成る二名。
「オイ、お前ラハ会話するな!」
「オホン……それでどんな改良案に成った?」
「それは後日改めて尋ねっさ。まだまだ俺の信仰は残りますっで」
 可愛クナイ蠍だな--と言った後、溜息を吐くマンメリー。
ICイマジナリーセンチュリーへの対抗心はまだまだ残るな。そこまでしてICイマジナリーセンチュリーから目を背けたいようだな。でもキンデヅ……何時かはお前は受け継いでくれると思うけどな。どんなに意地を張っても子は親の言う事に従ってしまう。誰かが言ったかな……あ、マンメリーの言葉だったよ)
『--そう考える当時の僕。だが、本当の事だった。当時は適当に考えたんだが。なのに
本当にキンデヅはICイマジナリーセンチュリーを受け継いでしまった。本当に反抗期の子供ってのは複雑
な気持ちだろうな。ACアウターセンチュリーを作り上げた当時のキンデヅは今の己を見たら如何
成るか? きっとそんな明日は訪れないように歴史を変えるだろう。普段は歴史を変える
と全生命体にとっては良くないと主張する学者や研究者はこうゆう場合に限って筋を
通さない。困った話だよ。
 さあ、まだまだキンデヅの話は続く。今度の話は次の通りだ。えっと--』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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