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一兆年の夜 第七十二話 優央の記憶 銀河連合に依る恐るべき展開(八)

 八月五十八日午前二時四十四分三十七秒。
 場所は真古式神武プロタゴラス大陸ソフィス地方タゴラス市北西部。
 未だ市から県へと格上げされない街で静かに、そしてうねるようにタゴラスは喰われようとしていた。その異変に気付く者はこの時点で誰も居ない。目利きの良い軍者でさえもそれに気付かない。いや、気付く事が出来ない。何故なら--
「ナア、林原?」タゴラス市に配属するは齢三十一にして十七日目に成るタゴラス熊族の中年にして足利きの軍者ベアスト・ドナルザ。「銀河連合を区別する方法をもう一度確認してみないカア?」
「ああ、良いですともじゃあ」齢三十にして十一の月と二十八日目に成るタゴラス駱駝族の中年にしてベアストの同僚にして相棒の軍者林原コブくん。「確かお喋りしないじぇえ。一部でも剥き出しているじゃあ。それから全生命にない碌でもない行動の数々……じゃあ」
「碌でもない行動の数々カア。これは真正面から向かってゆくのが俺達生命の特徴なら銀河連合は反対に曲がりくねるように向かってユクウ。例えば正面ならば奴らは背後からカア」
「そうそうじぇえ、だから奴らを……じゃあ?」
「如何しタァ、林原アァ?」
 あの生命じぃ、路地裏に隠れて何をしようとしてるじゅう--とコブ薫は剥き出していないがこの地域にしては妙に服を着込み過ぎるとある鶏族の少年が路地裏の方へと潜り込む事に長年の勘が囁く。
「林原が言うんだから間違いないナア」
「ちょっと尋問して来るじゃあ」
 アァ--とベアストは応じて異なる様相の鳥族の生命を尋ねにコブ薫と共に後を追う。
 四の分より後……二名は件の鶏族の少年を捕える。
「サア、吐いて貰オウ」
「あ、あ、あっか、かあっか、いやだああああ!」
 逃がすかじゃあ--全力で逃げようとする少年を拾い上げるコブ薫!
「良くないっか、よっかないっか、だってだってだってだてって……ぎゃあああヒイイイ--」
 ナ、ナン……ギュアバアア--鶏族の少年の腹から銀河連合の触手が襲来し、ベアストの太い首を突き刺して……絶命させる!
「何だってじぇえ、ベアスト……ウグああああああ!」
 そして少年を背中のコブに乗せていたコブ薫は触手型と成った銀河連合の串刺しにされた!

 午前七時十一分十三秒。
 場所は応神諸島南西応神小島。そこにはカバダーノ村がある。それは村から町に昇格しようとしていた。
 そんな村で勤務する軍者が二名。齢二十八にして三十日目に成る応神鰐族の青年ヤマビコノアリゲーダスと齢十八にして二日目に成る応神河馬族の新米のカバダーツ・ジョンソン。アリゲーダスは先輩としてカバダーツを牽引。
「良いっざあ、カバダーツっがん」アリゲーダスは時として先輩風を吹かせ過ぎて感情を反ってしまう場合もあるが、いざという時は後輩の為に尽力する軍者。「俺ぐらいに成ればどれが銀河連合でどれが一般生命なのかを瞬時に判断出来っざ!」
「またまたグバア。それ気分を良くなくさせるグバア」とカバダーツはアリゲーダスの先輩風を吹かす部分を好まない模様。「やる気を削がせる態度グバア」
「コラっざ、そうゆう所がまだまだヒヨッコだと言ってるっざ」
「何をおう……ってグバア」
「どうしたっざ、カバダーツっがん?」
「見て下さいグバア」カバダーツは短い右前足を突き出して何かを指す。「あの蜘蛛族の綺麗な者が何だか様子がおかしいグバア」
「どう見たって一般生命じゃねえのっがん?」と言いつつも後輩思いのアリゲーダスは蜘蛛族の女性の作業する様子を観察した結果、異様と感じ取る。「と思ったけどっぞ、何だかこちらを見るなり逃げ始めたぞっどん!」
「追いましょうグバア、先輩グバア?」
 そんなの一択しかないだろうっがん--と共に経験の浅い二名は仲間に連絡せずにその蜘蛛族の女性を尋問しに用意なしに近付く!
 二の分より後……二名はその女性の尋問に成功。
「どうして余所余所しいグバア?」
「いやです。いやです。いやです--」
 何を……グバアあああああ--蜘蛛族の女性の腹から突然指揮官型が顔を出してカバダーツの頭部に包丁のようなモノで一突き!
「カバダーツうううううううッが……指揮官型が、そん--」
 アリゲーダスは為す術もなく、縦一文字に!

 午後一時二分四十八秒。
 場所は応神海付近仁徳島西仁徳市第三東地区六番地。その中で二番目に大きな建物の五階。
 ある五名の頭脳労働に優れた生命が学派を起ち上げる。
「いやあよの、これでキンデヅに対抗する暦研究の学派が誕生したやわ」
「そうでっすなあ、キンデヅはACアウターセンチュリーを起ち上っげていい気に成ってられるのも今の内だぞ」
「あいつの自分っ勝手さには困る者があぶ」
「確か似確か似、幾らキシェール乃血出模それ於脱却して新たな道於開くだなんて……そう思うだろう、コケラット君?」
「あっぐ、あっぐ、あががががっが!」
 突然、コケラットと呼ばれる鶏族の研究家が震え出す。その様子を確認した四名は何かが起こると判断するも……肉体の反応は既に恐怖で命令を受け付けなかった!
 そしてコケラットは突然、全身の皮膚を削ぎ落して鶏型……いや、植物鶏型として四名を蜂の巣にしてしまった!
『--これ以外にも報告はあるが、挙げたらキリがない。これが銀河連合が採った
恐るべき展開の真実。僕達は医者型をもう少し研究していたらこのやり方に気付けた。
けれども叔父さんだってこの戦法に気付いていないだろう。居たら死ぬ間際にそれらしい
警告もする。それくらいに銀河連合の手は年を追い毎に巧妙化する。まさか一般生命を
捕えては体内に銀河連合の卵を仕込んで機が熟したら僕達一般生命を襲撃するなんて
気付ける筈もない。気が付けば僕達自身が僕達の安全を脅かすだなんて。
 この報告を受けて最高幹部達はやっと僕の主張した全国民を早期に移住する意味を
理解。こうゆうのは後に成らないと気付かないという。全く僕達は何処までも明日の世界
が見えない物だね。
 あんまり暗い場面で今回の物語を終わらす訳にはゆかないな。次の幸せな場面で
銀河連合の行う恐ろしい展開の数々が中心のお話は幕を閉じる。次からは取り返しの
つかない悲劇の再現
を描き、最後に真古式神武の終焉を綴ったお話を紹介してゆく。
 それでは今回のお話の幕を閉じるある場面を紹介しよう。それは僕と史烈の子供が
産まれて凡そ二の月より後だったかな? もう忘れたが、確か--』

 八月五十九日午前六時七分四十三秒。
 場所は真古式神武首都六影府中央地区神武聖堂。
 天同優央の間にて起きて二十の分経ったばかりの齢三十一にして三の月に成ったばかりの優央と齢三十三にして二の月と十一日目に成る神武人族に帰化したばかりの天同史烈、彼女が必死に泣き止まそうとするのは二の月と一日目に成る天同躯伝くでん
「良しよーし良し良し」
「うわああんわああん!」
「大変だよな。外では銀河連合、中では躯伝の世話か」
「貴方も少しは子育てに協力してよ」
「その為にキュー草やメリーナが居るじゃないか。二名に頼んで楽をするのも天同の妻の役割だぞ」
「いえ、他にも居るわ。エリフィルズ、フェレス夫妻も。あの二名はもう直ぐ第二子目を産むわ」
「盛んだよな。あんなの二度とやりたくないのに」
 本当に貴方は楽しみのない雄ね--と史烈は優央の性欲の浅さに溜息を吐く。
「別にそうゆう訳で避けてるんじゃない。刻一刻と予言の日が近付いてるから僕はその体力をそこで消耗するといざという時に役立てないと思って……だよ」
 貴方……そこまで無理して--と史烈は愛する夫が一杯一杯である事を理解し、その右手を優しく掴む。
「な、史烈?」
「そんな事じゃあ躯伝君も安心出来ない。それも泣き止まない理由よ」
「そ、そうか」優央はここで己が象徴である前に父親である事を自覚する。「僕とした事が優先順位を付けてしまった……父親の格じゃないな!」
「コラ、そうしてすぐ落ち込むのが良くないって結婚する前から言ってるでしょ!」
 あ、有難う--と優央は照れ隠しに史烈から目を背ける。
「キャアキャア」
「まあ」史烈は先程まで泣いてた躯伝が今度はお日様の様に満面の笑みで自分達を見つめる事に気付き、再び抱く。「まあお前は誰に似たやら」
「多分……僕が決めた名前の半分である叔父さんだろうね」
 躯伝……それは優央が決めた名前。名前の由来は一つに亡き尊敬する叔父躯央、もう一つが伝承を意味する文字。彼は後に新天神武を大きく変革させてゆくが……それはまた別の物語で時間を掛けて語ろう。
『--こうして銀河連合の行う恐ろしい展開の数々を中心とした物語は幕を閉じる。
四冊目は取り返しのつかない悲劇の再現を扱った希み望まれた物は全て絶たれる望みと
化す気分が暗く落ち込むお話さ。
                        銀河連合に依る恐るべき展開 完』

 ICイマジナリーセンチュリー二百十二年八月五十九日午前六時十八分五秒。

 第七十二話 優央の記憶 銀河連合に依る恐るべき展開 完

 第七十三話 優央の記憶 悲劇の再現 に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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