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一兆年の夜 第七十二話 優央の記憶 銀河連合に依る恐るべき展開(七)

 九十一日午前十時二分七秒。
 場所は真古式神武首都六影第七南地区。
 そこで奪還の報が知れ渡り、誰もがお祭りの状態であった。流れ星の大群によって一方的に喰われた旧古式神武首都であるタイガーフェスティの奪還。誰もが酒を飲み合い、茶を飲み合い、そして水を飲み合う。とても保障の過剰な充実化に依って財政が逼迫する真古式神武とは思えないお祭り状態。彼らは一瞬でも勝利の美酒に酔い痴れたいのである。
 だが、その酔い痴れさえも阻むモノが一体。それは国民の中に密かに紛れ込む。しかもお祭り騒ぎの中で信じる事さ出来ない動きを見せながら。
 んんス--齢十九にして九日目に成るメデス蟷螂族の少年ジンロウ・ムシャリーニ。
 彼は者塵から離れてゆく生命を発見。その形、動き、そして身に付ける衣服からそれを飛蝗族と判断。直ぐ様、追い始める。そう、たった一名だけで。
 ジンロウは謎の生命を追い始めて十四の分より後、下水道へと下り行く。彼はそれでも同僚或は上司に応援要請も掛けずにたった一名でその生命を追ってゆく。全ては亡き父の背中を追って!
 下水道の中に下りて四の分より後……瞬き一つで追跡対象を見逃してしまう!
「ど、何処だス。何処に消えてしまったんだス!」
 若さ故に一瞬でも至らない所があると直ぐに声を上げる……それが仇と成り、脊髄に向けて一撃が入った--激痛に耐え切れず叫び声を上げたまま両膝から屈し、両刃を大地に付けたまま地面に勢い良く口付け……そのまま動く事は無くなる。
「ハアハアハアス」お喋りだけは可能でもそれ以外の行動がもう取れないジンロウ。「目がス、目が左右にス、動けない、ス」
 それから自らの肉体が浮き始める事に気付いた時、真っ先に飛び込むのは剥き出された飛蝗族の姿……いや、飛蝗型の姿が直接飛び込んだ!
「ウワアアアアアああス--」
『--これが始まりなのかわからない。この話はある生存者から直接聞いたお話。ある
程度は脚に色を付けて語られるジンディーの第八十二子であるジンロウの悲しい劇場。
ジンロウ以外にも彼と同じように潜入した銀河連合の犠牲と成った軍者、一般生命は存在
する。その中でもジンロウは職務に生真面目な上に父ジンディーが最後に僕達の為にその
場に残った事が大きく影響してしまった為に彼の本当の姿も知る事なく格好付けて
しまった。もっと他者を頼っていればこんな悲しい物語を送る事なく平凡でやや波乱では
あっても長生きする事が出来たのに。
 さて、これは銀河連合が小出しに僕達の領地を奪っていった本当の理由ではない。本当
の理由とは既に僕は記してある。それを得意とするあの銀河連合を知ってさえいれば
銀河連合が今までタイガーフェスティとは反対の方角に戦力を展開していった訳がわかる
筈だ。
 それはあくまで次の物語の序章に過ぎない。余り今回の物語ではそれで終わらせる訳には
ゆかない。今回の物語を締め括るのは僕と史烈のお話。それは次のように甘く、
そして--』

 九十四日午後六時七分四秒。
 場所は真古式神武首都六影府中央地区神武聖堂表門前。
「お帰り、優央様」優央とマンメリーの二名を迎え入れるのは齢二十四にして十の月に成ったばかりのアデス九官族の女性臨兵キューそうとその他二名だけじゃない。「それにマンメリーも遥々御疲れ様」
「待ってたんだ、史烈」
「ええ、夫の帰りを待つのは妻の務めです」
「オイ、史烈。まだ結婚式マデ早い--」
 まあまあ、マンメリー……僕も恋しく思ってたんだ--既に優央は史烈との間合いを詰めると盛大に抱き寄せる!
「まあ、優央様ったら」
「もう僕に敬うような言い方は止めてくれ。これからは対等の立場に成った」
「それでもまだ……僕は--」
「それとその一名称も改めて貰う……ぞ、史烈」
 まあ、意地の良くない事を--史烈は胸に包まれるように瞼を閉じ、優央の温もりに呑み込まれてゆく。
「優央様、続きは御自身の間にて」
「そうだったね、じゃあ案内してくれ……史烈はもう僕に歩かせようとしてるしな」
「マッタクアツイッタラアリャアシナイノ!」とようやく口を開くキュー草。「ハハウエハコンナカンジデミセツケラレタノデショウカネエ!」
「まあまあ、俺だって去ル年ニ出来タ嫁さんとこんな感じだったぜ」
 マンメリー……それは今だって傷付く話だよ--と結婚時のマンメリーとメリーナとの熱狂振りに酷く頭痛を抱えた模様。
(ではそろそろ僕達の育む間に向かうとしようか)

 午後八時零分一秒。
 場所は天同優央の間。既に一枚の布団と毛布が敷かれる。
 そこには優央と史烈が互いに見つめ合い、それから一の分もしない内に口付けが始まり、それから抱き締め合い、そして蝋燭の火は静かに消されてゆく……
(そこから先は全生命体が良く行われる命を作る儀式。その行いに遊びは一つもない。正直、二度としたくないと思える程に激しく、そして熱が籠るように僕達は我を忘れたな。僕は最初の方こそ史烈を気にしてこれ以上やるのを止めようかと思った。けれども史烈は既に我を忘れ、僕自身をそのまま続けるよう促した。それは彼女の意志、いや全生命体の雌に良くある誘い惑わす香り。その香りを嗅いでしまうと僕はもう何が何だかわからなくなる。とても意識を保つ事なんか出来なくなる。あれは銀河連合とはまた違った立ちはだかる壁として聳え立つ。もうこのままのまれてしまう方が楽だって思った瞬間には僕達は布団の中で激しく躍動する。こうして僕は彼女に次世代の種を蒔いた!
 正直、二度とこんな儀式を行いたくない。何故ならまたこれをやりたいという欲求が僕達の中で芽生えるんだから。これが叔父さんの言ってた最古の遊びなんだな。全生命体は銀河連合が襲来するずっと前よりこれ以外の遊びを見出せずに用意なくして子供を作り続けた。やがて食糧危機が訪れるとこの遊びとは別の遊びを模索し始める。そうして球遊びを始めとした遊戯が誕生。これに依り、性遊びで生まれる子供の増加に歯止めを掛けて食糧危機を乗り切ったと古代の石板及び資料には記されてある。
 とは言っても僕達がやるのは遊びじゃない。次世代に繋げる大切な儀式だ。その儀式に一切の遊びを持ち込むのは先祖代々に対して、それから神々に対して礼儀が成ってない証拠だろう。僕達はこうして儀式を遂行した)
「ねえ、そろそろ眠く成って来たよ……優央」
「やっと、だね。やっとそう呼んでくれたんだね」
 僕は史烈を抱き締めながら深い眠りに落ちてゆく……
『--それから一の週より後に結婚。それは盛大に行われ、財政も気にせずに国民全員は
僕達の結婚を心から歓迎。一時は雄三やドレイズにどれだけ叱られたか思い出したくも
ないな。
 結婚より三の週より後に史烈の体内に子供が宿る事が判明。そこでも盛大に国民は僕達
を祭ったな。またしても雄三やドレイズに叱られたな。どんなに僕達が自制を求めても
自分達が一度ひとたび発表すれば騒動に成るのはわかり切ってる事だって雄三は口煩く言った
な。
 さて、と儀式を始めて九の月より後に--』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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