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一兆年の夜 第七十二話 優央の記憶 銀河連合に依る恐るべき展開(三)

 八月七十七日午後三時四十四分十一秒。
 場所は新天神武首都ボルティーニ府中央地区新中央官邸。
 ICイマジナリーセンチュリー百七十年九月九日に当時の最高官だったカゲヤマノイタドノカに依って再築が始まり、ICイマジナリーセンチュリー百七十一年九月九日に完成する予定が一の年も大幅に遅れて同年十二月十日に完成した。その官邸の六階にある最高官第二執務室と呼ばれる来客用の執務室。
 そこで齢二十七にして二の月と十九日目に成る神武人族の青年天同優央は齢二十八にして一の月と二十七日目に成るルギアスカンガルー族の青年マンメリー・レヴィルビーと齢三十八にして八の月と二十八日目に成るアリスト蟻族の老年にして今年副最高官に成ったばかりのアリスト蟻族の老年ドレイド・ジニンは入ってゆく。
「ようこーそ、遥ー々新天神武までー」歓迎するのは齢二十九に成ったばかりの最高官筆頭秘書官を務める物部犬族の青年。「私はー最高官ー筆頭秘書官を務めまーす物部フルふたと申しまーす」
「ドウモ、こちらは真古式神武ノ象徴ヲ務める天同優央。俺の反対側ニ居リマスノハ副最高官のドレイド・ジニン。そして俺は象徴ノ付キ者ヲ担当するマンメリー・レヴィルビー……どうぞ宜シクオ願いします」
「あー、最高官はー皆様が席に就かーれる時に--」
 コラコラ、フル双……礼を失するぞぞ--と位からして席に座らせてから姿を現すのは良くないと考えたのか、第一執務室に通じる扉から出て来るのは齢四十一にして四日目に成る蘇我獅子族の老年蘇我シシ蔵。
「中々強そうな御方ですね、シシ蔵さん」
「呼び捨てで構わんわん」
 いえ、そうはいきません--と敢えて謙る事も辞さないのが優央なりの礼儀。
「ハッハッハッハ、一本取られましいたなな。ではではお掛けにい成られてくださいなな!」
 マンメリーとドレイドは優央を先に掛けさせた後、ドレイド、マンメリーの純に椅子に腰掛けた。そして新天神武最高官シシ蔵はフル双に勧められるように先に腰掛けた後、フル双は椅子に腰掛けずに獅子像の左側に立つ……四本足で。
(改めて思うのは普段僕達が首都で来客をお迎えする時はマンメリーはずっと立ったままだ。万が一の事を踏まえてだろうな。だが、来客は必ず座らせる。しかも位の高い方から順に。それは即ち、位の高い方を先に休ませる事は話を進めるのに重要だから。しかも付き者にも座らせるという話だが、これは水の惑星以外ではどう成るのかな?)
 だが、優央を始めとしてそれについて考える生命は何処まで行こうとも二陣営以上の付き者が話し合いの中でずっと立たされるという事実に到達する事はない。それは遠過ぎる過去に於いては銀河連合以外の倒すべき相手は存在しない以上は。
 さて、首脳同士の会談の主な内容はお金の貸し借りについての話し合いが中心。真古式神武が生き残る為には新天神武から多額の借款を要求しないと維持出来ない程に切迫する。だが、空から国を覆う程の流れ星が降り注げば結局は喰われるのが運命。どの道、助かる道がない以上は借りた物が確実に返却される保証がない。借りる側は貸す側に必ず返却する事を約束して実行するのだからそれが返らないようではどうしようもない。約一の年も交渉を重ねるも新天神武最高官シシ蔵を始めとした最高幹部達は借款について反対の意向を示す。
「返らない物を貸すのは我々としいては余りいにいも対価に見合わない物だだ」
「そこを何とかお願いします。このままでは予言の日である後十七の年より後が来る前に銀河連合に依る拙速な展開に依って真古式神武は喰われてしまう」
「それそれでも納得しかねないない。金を貸すのは結局返せるからだろうだろう。なのにいなのにい返せない事柄にどうしいて我々は応じいないといけないのかか!」
「だったら差し押さえ対象として我々真古式神武全ての国民というのは如何ですか!」
 何だとと--そんな要求を出されて思わず立ち上がるシシ蔵。
「ズィや、優央様。ズゥそんな要求を国民の知らない所で為さったら怒りの声が上がりますよ!」
「僕が話してるんだ。少し口を噤むのだ、ドレイド!」
「わかっておられますかか、優央様様。国民は貴方を慕っておられるる。そのその為なら国と共にい運命を共にする事だって辞さないのですぞぞ!」
「それでもみんなを巻き添えにして死ぬのは御免だ。それが為政者のやる事か。為政者は先ず、彼らの命を何よりも大事に扱うべきだろう。その為に僕は返済案として国民全てを新天神武に明け渡すつもりであります!」
「そこそこまでしいてお金を借りいたいのですかか!」
「ええ、それと」優央は懐から日記を取り出す。「もしも己が生還する時があったら僕は日記全てを献上するつもりであります!」
「日記?」
 ええ、日記です--それは後に優央が書き記す事に成る五冊の日記。
「……わかったわかった。月一回貸付で計十六の年分……約束を取りい付けようではないかか!」
 有難う御座います--優央だけじゃなく、両手側に座る二名も深々と頭を下げた。
「但しい、今年中に法案が成立する保証はない。何しろ、民主的に最高官が選ばれる政体故に次の政権で反故されないように引継ぎをさせておかねばな」
 尚、この約束は新天神武国民は大いに怒った模様。その為に次の選挙でシシ蔵率いる自由党は新興政党である剛力党に得票数で敗れて捻じれを引き起こす事と成った。それでも最終的には真古式神武に貸し付ける法案は成立し、ICイマジナリーセンチュリーニ百十二年三月十五日に無事施行され、晴れて真古式神武が喰われるまで月に一回支払われる形で刈りつけるという名目の上での支援が果たせた。
『--全国民を新天神武差し押さえ対象とする。僕も無茶苦茶な事を要求した物だな。
けれどもそのお蔭で生き残った真古式神武の国民は今も生きて生活を果たす。それだけで
十分だ。僕は彼らが生きてる事こそ一番の宝物だ。僕がようやく自信を持てるように
成ったのも彼らのお蔭でもある。今更過ぎるだろうし、結局何も取り返せない。けれども
彼らが生きて新天神武の国民として真古式神武の魂を受け継いでくれるのならば繰り返し
は防げるだろうし、また繰り返しの中に佇むのだろう。
 さて、貸し付けが始まるのは向こうの都合が絡んで二の年より後に縺れ込む。全く民主
主義ってのは中々に大変な政体だな。僕はつくづく思う。国民大多数の考えはその時々に
依って様々であり、尚且つ下手をすると国民自身が自ら選んだ責任を負わないと
いけない。僕にはそんな政体はしたくないな。僕自身が責任を取る今の政体の方が余程
良いと思うな。まあその民主主義の問題点を踏まえて優越の制度があるんだな。お蔭で
国同士の約束事は綺麗に果たせる訳だ。
 新天神武の貸し付けが始まって一の年より後。とうとう彼女は僕の前に姿を現した。
彼女は--』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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