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一兆年の夜 第七十二話 優央の記憶 銀河連合に依る恐るべき展開(二)

『--僕達は一の月も掛けて銀河連合に依る予言の日が訪れる前に真古式神武を喰らい
尽す展開を研究。奴らがこのような展開をする事を叔父さんは既に気付く。改めて
叔父さんの頭脳明晰さには驚嘆の熟語が似合う。何でも御見通しとか言う段階じゃない。
叔父さんは死ぬ寸前でも僕達にあらゆる提示をしてくれた。まあどれも最後まで実現した
のはない。全て僕達は財政問題を盾に踏み込む事が出来ずに立ち消えした物ばかり。
先ずは生前に叔父さんが提示した事を述べ、次に銀河連合に依る展開について記述
する。
 先ずは叔父さんが提示したのは復習すると首都を中心に地下施設の建設、望遠砲の
小型化及び大量生産化、迷宮の洞窟を中心に要塞化、最後が全建物の要塞化。わかる
通りこれは真古式神武の財源が底を尽きてでも実行しようすれば必ず新天神武に借款の
要請を出して承諾させないと無理な話。叔父さんはそこまでにして予言の日を乗り
越えたかったんだろうな。
 さてそろそろ銀河連合の展開について僕達最高首脳陣が出した結論は次の通り。奴ら
は一刻も早く真古式神武を我が物にしたいという欲望が先に出る。その為に大中臣地方
から先の大陸藤原とタイガーフェスティを中心とした旧古式神武の領土に集結する戦力を
使って各地を襲撃するんだろう。その為の宣戦布告として叔父さんが死ぬきっかけに
成った迷宮の洞窟防護提を襲撃。そこを奪う事で僕達に脅しを掛ける訳だ。確かに有効
だろうな。だからって僕達が黙って指を咥える訳じゃない。しかも叔父さんは既に
銀河連合が奪った場所に戦力を一極集中する事も予測していた。一度、僕達に奪い
返されたのを経験しての事。
 けれども--』

 五月八十日午後一時四十三分四十三秒。
 場所は真古式神武首都六影府中央官邸。最高会議室。
 そこは広さは従来の会議室と左程変わらない。けれども横一面に壁画で埋め尽くす事で広さを演出。初めて訪れる者に広大さをその目で示す。
 そこには齢三十九に成ったばかりのラテス燕族の老年にして最高官を務めるフッソウ・メッサーシュミットは倒立しながら資料を読み上げる。
「成程だろう、これは面白い資料でろう……フン!」
「いい加減、筋肉鍛錬するん癖を直さんか」と最高官なのに未だ会議室で筋肉鍛錬を続けるフッソウに呆れるのは齢四十二にして三十日目に成るキュプロ栗鼠族の老年にして副最高官を務めるリアムスランダ・メデリエーコフ。「民主主義で選ばれるん以上はこれ以上の鍛錬よりも先ずは書物狩猟に明け暮れようん」
「ンァまあまあ、リアムスランダさんや」宥めるのは齢三十七にして八の月と二十八日目に成るアリスト蟻族の老年にして財務大臣を務めるドレイド・ジニン。「ズゥ書物を幾ら読んでもどうする事も出来ない問題は古来より家計簿にあると言いますしね」
「その家計簿をどうにかすのがドレイド爺さんの務だろうて!」と口煩いのは齢二十八にして九の月と二十九日目に成るアリスト鴎族の青年にして総括大臣の榊原カモよし。「全く保障の削減を訴てきてこの様でか」
「仕方ありませんでちゅ」全生命体のどうしようもない性分を語るのは齢三十七にして七の月と十七日目に成るタレス鼠族の老年にして生活大臣を務めるは田中チュウ五平。「生命は銀河連合とは異なり、情に流されやちゅい。故に幾ら削減した所で飢えた生命を見捨てる何てそんなの神様に対して申し訳が立たないではないでちゅか。だからこそ保証は総合的に上昇傾向にあるんでちゅ」
「それが結果として良くないと言えましょうな、優央様」そう語るのは齢二十五にして十一の月に成ったばかりの六影人族の青年にして摂政を務めるは一場雄三いちばゆうぞう。「躯央様の全ての提示を熟すには一名当たりの生命の保証を大幅に削って、更には新天神武から多額の借款を要求、そして公の仕事員の民間への大幅委託を推進する事をここに宣言したいが……異論は?」
「叔父さんの跡を継いだのが何よりも銀河連合への怒りが深いお前だから困るなあ」
「答えて頂きたい。俺は国の為ならどんな無茶な要求だって依頼する!」
「新天神武から多額の借款を要求する事には賛成だ」
 ンォや、優央様……それは流石に返済の都合が--異を唱えるのは財務大臣ドレイド。
「良いじゃなかろう。人生とは借りを受け続ける為にあるんだろう……フン!」
「いや、ドレイドの意見は最もだ。そもそも借りる側は返済出来ない者にお金を譲り渡すのは少々神様に対して礼儀が成ってない。さて、僕の持論が始まる前に各々の意見はあるか?」
 これに対して一名だけ意見を打診する……カモ好である。彼は総括大臣の立場からある事に苦言を口にする。
「どうして軍務大臣のミチナカノシレンデンを出席さないのですか?」
「ああ、彼は頭の痛くなる話が苦手だと言ってるんだ。だから僕が彼の代弁者として意見を述べても居るんだよ」
「では軍務大臣代理とての優央様の意見とは?」
 そんなの決まってる……あいつなら全軍挙げて玉砕してでも戦い続ける、と--そこで代弁して見せる優央。
「ならば何も意見はあません」
 では、そろそろ僕の持論を始めようか--と優央自身の持論が展開されてゆく。
 それは一の時も掛けた持論。故に書き記すのは流石にだらしがなくなる。依って比較的簡潔に纏めると次の優央の思考通り。
(新天神武から借り入れる時はやはり十六の年、そして十二の月……これを単純計算すると百九十二回に分けられる。要するに百九十二回掛けて借り入れる訳だ。そうすると一回毎の借り入れの重みを軽くする事で月払いし易さを追及する。無論、新天神武がそれを引き受けてくれる可能性は薄いけど)
 これを聞いて頷くのは雄三以外の会議に出席する幹部達。拍手を上げる中で雄三だけはどうしても納得しない様子。
(会議が終わり次第、奴に尋ねてみるか)

 午後三時五十五分十一秒。
 中央官邸最上階にある摂政室に優央は訪れる。
「どうぞ……何の用ですか?」
「恍けるな。どうして異論を出さない?」
「俺は摂政だが、最高官ではない。摂政は何処まで行こうとも優央様の政治的な補佐をするだけさ」
「だろうな。だけど、僕は象徴だ。最終的には最高官の決定を促すだけだ」
「それでも優央様の言葉はこの国を動かします。それだけは保障してくれよ」
「それじゃないだろう、話は。どうして異論を出さない?」
 異論を……俺は納得行かないだけだ、一場雄吉の無念の重さにな--そう言って記録上の最初の銀河連合の犠牲者の一名である彼の遠い先祖の親戚の無念を口にする。
「既に思い出せないな。一体どれくらい僕達は当時の祖先達よりも先の時代を進んでるんだろうか?」
「言っておくけど、優央様。俺を躯央様の代わりと思わない事ですなあ」
「わかってる。雄三は雄三だ」
 そうですよ、そうでなくては--と執務を続けながら笑みを浮かべる雄三。
「でもやっぱりお前の異論を聞きたいな。何か述べる事あっただろう?」
「まだ尋ねますか、しつこいですなあ。そんなに気に成りますか?」
「ああ」
「良いだろう。俺が満足しない点を挙げるなら……最終的にはどうやって返済するんですか?」
「先に言い出しておいてそれか……もしかすると真古式神武は無事でいられるかもしれないんだぞ。そんな事を今から考えるのは無茶な話だろう」
「それは安易な楽観ですね。今後の借款で展開は大きく変化するという時に安易な楽観は危険極まる話だな。どうするのですか? 真古式神武が喰われる場合はそれら全てがどうしようもない話と成る……返済させるにも返済が付かない。新天神武の為にも返済案を!」
 わかった……良くわかった--雄三の意気込みに圧されて優央は約束を取り付けてしまった。
『--確かに軽率な答えだろう。しかし、雄三のお蔭で僕は新天神武が真古式神武から
多額の債務不履行をどうにかする為にもそれを果たせる方法が可能に成った。それが
真古式神武が喰われても僕が生前に残しておいたこの日記と数々の発明を以ってすれば
返済は可能だろう。最も躯伝がこれを届けてくれたら、の話だが。
 さて、銀河連合に依る展開は当時としては確実に外側から攻めてゆく物だと僕達は判断
していた。だが、それは後々改めざる負えない。そこは叔父さんも見誤っていた。
銀河連合は其処までしてまで僕達を苦しめるのか。これがこの後の物語で語られる
悍ましい話だとは当時思わなかったな。銀河連合に依る展開が如何に悍ましく、そして
当時の僕達にそう思い込ませていったのかを考えたら。
 ああ、この後の話? 奪われては別の場所を攻め込んで奪還し、奪われてはまた別の
場所を奪還する。しかも銀河連合の思い通りに少しでも成らないように緩急を更には思惑
を読み合いながら奪還してゆく。しかも突然、さっき奪われたばかりの場所に急に攻め
込むという変化球も兼ねてね。
 そして束の間の時間に--』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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