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一兆年の夜 第七十二話 優央の記憶 銀河連合に依る恐るべき展開(一)

『--そのきっかけは弟が行方知れずと成ったあの地下道がある防護提での出来事--』

 ICイマジナリーセンチュリー二百十一年五月五十日午前一時二分十一秒。

 場所は真古式神武大陸藤原大中臣地方。そこにある迷宮の洞窟出入り口前にて三交代で軍者が周辺の警備をする。
 全くどうして俺みたいな駱駝族の雄があ、体内時計を変えてまでやらなくちゃあいけないじゃあ--と愚痴を漏らすのは齢二十二して一日目に成る武内駱駝族の青年ラークダラス。
「まあまあ良いじゃないかアアス。軍者という職業は無料残業の多い過酷な物だからナアアス」と軍者の過酷さを口にするのは齢二十三にして一日目に成る武内虎族のタイガン。「それでも貰う時の量や保証は折り紙を付けてまでの価値があるぜエエス」
「だろう。そうだろうなあとわいは思われるなあ」と話が長く成りそうなのは齢二十四にして二日目に成るタレス燕族の陽孫簇ようそんぞく。「ほら、何て言われるかなあ。こうも保証が充実されておられるとまだまだ保証が欲しかろうと思われるのが生命の欲張りな性と呼ばれよう。何と言われようともここまで保証が充実為さられると本気で財政問題というのに発展されるそうだろうなあ。なので--」
 なのでお前は少し黙ってろうい--とラークダラスは孫簇を跳ね上げて黙らせる。
 三名は呑気に会話を楽しむ。その中で浮かび上がるのは真古式神武の保障の充実とそれに伴う高い税率、そして財政問題。何も当時の象徴だった天同烈闘れっとうの時代から始まった訳ではない。実は真古式神武の初期からこの問題は度々最高幹部との話し合いで議論され続ける。代々の最高官達に依って保障の削減及び拡充は異なる。だが、世代を追う内に徐々に保障費は増大の一途を辿る。そして現在に成って国を逼迫する程の保障費にまで膨れ上がる事に。これには何も戦いばかりで増大する物ではない。戦いなき時代は平和を満喫する時代。それは時として今ある生活の充実を生命は求めてゆく。即ち、孫簇が口にするように今の保証だけでは満足出来ない程に真古式神武国民はもっと保証の拡充を求める。気が付けば戦いなくして真古式神武の明日を分ける程の問題にまで発展する事に!
 だが、後に示すように真古式神武が喰われるのは充実した保障の為ではない。それは今から始まるこの出来事がきっかけ--
「たいへんだ、たいへんだ!」そこへもう一名、深夜担当の軍者にして齢二十一にして四日目に成る藤原鶯族の青年藤原ウグ造が飛んで来た。「そらを、そらを!」
「ど、どうしたんだアアス」
「空だってじい?」
 あああ、あれらはなんだかさあと--鶯族の訛りに成る程に孫簇は銀河連合が空を覆う程、展開している事に望み絶つ思いで見つめてしまう程!
「何何なんじゃあ!」
 これは終わりの日……良くない夢カアアス」
 そして銀河連合の大群は一気に降下せずに徐々に高度を下げてゆき、なおも四名を始めとした防護提で恐怖で顔を引き攣る軍者達に圧力を掛け続ける。一瞬だけならあっという間に想念の海に旅立てるのにそれをせずに最も苦しい方法で彼らの心臓、血流、そして精神の全てを恐怖で占めさせ続け……最後は数で時間を掛けて食べてゆく!
『--一報が届いたのは早い事に六の日より後。しかも僕が眠りに深く就こうという時に
いきなり叩き起こされる。全く困ったもんだ。だが、これで僕は銀河連合がわざわざ
宣戦布告してくれたと思って感謝もしたさ。喰われていった仲間達の仇を取る為にも僕は
叔父さんの遺言書に記された事を実施してゆく。おっと尚、叔父さんの遺言が発見された
のは四の年より前の話だ。まあそこは詳細に記さないが簡潔に纏めると次の通りだな。
叔父さんの試算ではこの後、銀河連合は真古式神武を喰らう為に予言の日が訪れる前に
始めなくちゃいけない。そこで必ず奴らは各個撃破を狙うだろう。その為に僕達
真古式神武がやるべきなのは各個撃破されたら無理して奪還するのではなく以前
奪われた土地を奪還する事。しかも少数の箇所を一気阿世で攻め込むように。そう、今
の真古式神武は僕が書き足したように保障の巨大な充実化に依って莫大な財政赤字に
見舞われる。そして真古式神武の国民はかつてのような挑戦的な精神はもう持たない。
常に何時死ぬかもわからない状況に脅えて前に向かえない。だからこそ僕達真古式神武
は予言の日が訪れるまで奴らに何度も泡を吹かせないといけない。
 只で滅ぶのは誰だって御免だ。そして僕は未だに死を恐れる。そう未だに--』

 五月六十四日午前六時二分四秒。
 場所は真古式神武首都六影府中央地区真正神武聖堂。そこにある天同優央やさおうの間にて。
 今日も目覚めはイマイチ--そう呟きながら欠伸をするのは齢二十六にして二の月と三日目に成る神武人族の青年にして真古式神武の象徴を務める天同優央。
(叔父さんのやり方は最高幹部達は余り納得しない。やるなら全軍挙げてやれ、と五月蠅い。だが、知っての通り全軍挙げる程の軍者の数もそれから各地に展開された兵の収集、そして何よりもそれを支える財源も最早難しい。斯くなる上は新天神武から借款してでも資金力を充実させたい考えでもあるが)
 優央は躯央くおうの遺言と生前躯央が書き残した勉学の為に必要な資料計百冊超を何とか読み上げた。それに依り、大体を把握する事に成功。しかし、各部門一つ一つで見るとやはり秀でてるとは認められない模様。
「まだ安心出来ナイノデスカ、優央様」そこへ齢二十七にして一の月と十一日目に成るルギアスカンガルー族の青年マンメリー・レヴィルビーが励ましの言葉を送る。「確かに優央様ノヤリ方ハ生温いと俺は思いますが……だからって銀河連合共の手に引っ掛かってまで死を受け入れるのは御免被ルノガ生キタイ生命の思いですよ!」
「有難う、マンメリー」
「それにしても銀河連合ハ最初イキナリ迷宮の洞窟防護提を襲撃したか。だとすると次ハ何処カラ来るのでしょうか?」
「次は恐らく旧首都タイガーフェスティから来るだろうよ。だったらそこだけ大きく手薄にしてから……いや、あそこを手薄にするのは銀河連合の思う壺かな?」
 優央はマンメリーに手伝われるように服に着替えてゆく。それから何時でも出陣出来るように鎧を装着。
「優央様、優央様ダカラコソ重タイ鎧ヲ着用する事を押し付けます。けれども俺ハ--」
 わかってる……が僕は誰よりも物覚えの良くない性分でね--と優央は誰よりも努力が必要である事を自覚するように答えた!
「ですが無理ナ時ハ無理ト言って下さいよ」
「心配ないよ、マンメリー。僕は父さんや伯母さん、それに叔父さんみたいに一芸や他芸に秀でた生命じゃないからね。だから諦める時は見極められるから」
 フフ、少し逞シクナリマシタネ--とマンメリーは笑みを浮かべながら言う。
(それでも僕は心が痛い。仇討ちに本気じゃない上、やりやすい部分にだけ一極集中させるという叔父さんのやり方を遂行する。僕だって他のみんなの意見を取り入れたいさ。だけど……)
 未だ優央は己に自信を持てない。彼自身は未だ弱い。弱い故に守るべき物も守れない。それを理解しながらも尚も強く成るにはどうすべきかをまだ知らない。簡単な話なのに彼は簡単な話にすら見つからない。
 そんな迷いを抱えたまま優央はマンメリーと共に会議室へと向かう……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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