FC2ブログ

一兆年の夜 第七十一話 優央の記憶 躯央からの提示(六)

 五十日午前十一時一分四秒。
 真古式神武六影府連合軍は名無しが行方を晦ました場所に到着。
 そこでは優央が雄略大陸にて望遠砲の研修に向かわせると同時期に躯央が密かに攻め込み、既に奪還は完了。それから一の年より後に計画が開始され、現在も建設中。
「--既に知ってると思うが、今年までにこの防護提が完成する事はない。けれども我々は自らの目で判断し、改良点がないかも知る必要がある」
「だろうね、叔父さん。でも僕達はその方面では素者しろうのだよ」
「だからこそ現場指揮官と短い議論を交わすのだろうが……なあ」
 これはこれは躯央様ではありませんか--疑問文に成る訛りが特徴的な齢三十五にして十の月と五日目に成るラエルティオ山椒魚族の老年山一サンショウ二十にとは近付く。
「進捗状況はどうだろうか?」
「まだまだですね? 確率で言えば--」
「いやね、確率ってそれを言うなら進行度でしょうね」サンショウ二十の頭を手羽先に持つ葱で突くのは齢三十一にして八日目に成る藤原鴨族の藤原カモ斗。「すみませんね、躯央様に優央様ね。こいつは何時もこんなんだからね」
「葱は食べ物だよ? スベスベのあっし--」
「良いからさっさと進捗状況を説明しないか、サンショウ二十」
「わかりました? そうだなあ、確率……いえ進捗は凡そ四割を少し超えた程度だ?」
「オホンね……山椒魚族の分かり辛い訛りは仕方ないね。だから俺が話しますと銀河連合の奇襲が激しいね!」
 あ、言おうとしたのに--訛りが原因なのか、ムキに成ってるように聞こえないサンショウ二十の言葉。
(サンショウ二十をどうして現場指揮官にしたんだろう、叔父さんは?)
 サンショウ二十の訛りと呑気な部分に対して優央はこのように安心出来ない様子。そんな優央の様子に構わず躯央はサンショウ二十に説明を促す。
「銀河連合の襲撃は予想出来るが、どのようにして奴らは襲撃するのだ?」
「はい、実はですね? 原因はこの場所にあるんです?」
 何……まさかこの下からなのか--直ぐに原因を特定する躯央。
 その原因、優央は気付かない。
(この下? 僕には叔父さんが何に気付いたのかさっぱりわからない。もしかして草自体が銀河連合? それは流石に叔父さんは来るまでに気付いてる筈。あれ? 他に何が、何が、何が……わからないな。叔父さんは何を言ってるんだ?)
 直ぐ思い付かない者の思考とは常に壁にぶつかるかの如く、何度も言葉の無い壁に体を突っ込んでは言葉に成らない言葉で自問自答を繰り返す。しかも言葉の無い壁故に思考自体も言葉らしい言葉が出ない。言葉のある壁にぶつかるなら少しはぶつかった言葉を出す物……それだけに優央は思考が停止してる状態。
 彼が思考を再始動するまでに掛かった時間は五の分と四十一の秒……自力で言葉のある壁にぶつかる事で思考を再始動したのか? いや、実は--
「やはり藤原バッ戸が思考の議題も可能じゃない世界へと跳んだ主な原因であるこの扉」躯央が正規の手順を踏んで開かせた草で覆われた扉。「やはりこの下は銀河連合の通り道と成ってるのでしょうな!」
「え、あ、あああああ!」
 大声を出さないでくれるか、優央--思考が再始動して大声で叫ぶ優央の声に思わず両人差し指で両耳穴を塞ぐ躯央。
「そうゆう事だったんだ。下の扉は確か僕の名前すらわからない弟が居なくなった原因である神々が眠ると聞く地下道だったね」
「結局僕はそいつの名前が何だったのかを知る事が出来なかったがな。それだけに悔しい」瞬きより少し長く瞼を閉じた後、躯央は話を切り替える。「優央の可愛い弟を呑み込んだこの地下道だけは絶対に封じないといけない……どうして今頃に成ってそう考えるんだ、もっと前からやるべきだったのに!」
 もっと前から……それは誰もが考える事。だが、この言葉が口から洩れる時にこそあらゆる生命は準備を怠る。何故なら何処かに楽観視し過ぎた己を姿に気付かない。気付かない内に懸念していた事を頭の隅に置き、常に油を断つ。そしてその言葉が漏れた時にはもう手遅れ。
「叔父さん」
「優央、ここで立ち止まるのは全生命体の希望として相応しくない」そう言って、躯央は次のような事をこの場に居る者達の耳に伝える。「寧ろこれを糧に我々は新首都を中心に地下施設の建設を進めようではないか!」
 は……いきなり何を言い出すんだよ--これには優央でなくと議の常異なりの申し立てを謳う!
「何言ってるんですかね?」
「まさか躯央様がおかしな事を言い出すなんて?」
「おかしなこと……いや、これは必要な事だ。後二十二の年より後に降り注ぐ銀河連合を防ぐ方法が今しがたわかった。それが新首都を中心に一大地下施設の建設だ。その為には個々の調査を早急に進める必要がある!」
「それは今の話じゃないでしょ、叔父さん。今は奇襲する銀河連合をどう対処するかの話を--」
 た、大変でしょうに--そこへ齢二十三に成ったばかりのゼノン燕族のシュトラス・ベンデルウムが報を伝えに飛来!
「どうしたのだ、えっと名前は?」
「シュトラス・ベンデルウムでありましょう。出身とはゼノン市。普段はこの防護提の--」
「わかった、シュトラスだな。それで報告とは?」
「はえい、鳳凰堂山の方角より空系の銀河連合が凡そ万程……迫りましょう!」
「来たか……報告有難う。それとシュトラス」
「何でしょう?」
「今から硯と墨汁と筆、それから髪を一枚用意する」
「まさか私めにその役目を為さるのでしょうか?」
 ああ--躯央は危機が迫るというのにまるでそれよりも自分が思い付いた案の実行しか頭にない様子。
 それに対して優央達は用意しようとする躯央を避難させる事を優先。無論、躯央はそれについて怒りを表し、少しも避難に力を入れようとしない。そして--
「躯央様、お許シヲ」深夜に優央に頼まれたマンメリーは躯央の鳩尾に右足拳を当てる。「これで良イノデスネ?」
 有難う、マンメリー--礼を述べた優央はシュトラスに別の事を命じる。
(何を考えてるのかわからないけど、叔父さんはやるべき事の優先順位を見て失う。今はそれをしてる場合じゃない。只でさえ、僕達の戦力は少ない状況下でシュトラスという重要な戦力を使いに出す理由がわからない!)
 そう、優央達にとってどうして躯央はそんな事を提示するのかわかる筈もない。だが、この提示こそ真古式神武の運命を左右しようとは誰にもわかる訳がないのだった……
『--次で様々な提示を巡るお話は終わりと成る。様々というのは余りにも題名に
そぐわない気がするだろう。だが、あんな提示をした理由は今ならわかる。例えそれを
実行する事で僅かな者達が地下施設で長い間潜伏する事が出来れば外に居る
新天神武の者達と連携を取り、真古式神武の名前だけは残っていただろう。実際、僕と
躯伝あいつはまだ生きてる。生きてるからこそ真古式神武の名前は残る筈だった。だが、
僕は僕達は今しか見えておらず全生命体に必要な過去、現在、未来という三者三様の
均衡した視点を忘れてしまった。
 叔父さんが残り僅かである事に気が狂ったのかと僕達が思ってしまった為にそれを
出来ればシュトラスに送り届けて実行に移して要れば或は。最早て遅れな事を今更気に
しても仕方がない。死ぬ間際の叔父さんはこれを記す僕をそう叱っただろう。叔父さんは
言ってたね。た。これを糧にやるべき事を果たすべきだと。そうだ、僕がこれを記すのは
僕自身が真古式神武が喰われてしまった真実を世に知らしめてこう成らないように
新天神武に訴えないといけない。それが残り時間の少ない僕に課せられた使命。
 さて、まだまだ終わらない。次からは叔父さんの命の輝きをここに記さないと。でも、
僕の今の記憶力は正しいのかどうか。常に記憶は何処かで狂いは生じる。故にそんな
理由もあって歴史とは常に精確無比を謳わないといけない。果たして--』

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR