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一兆年の夜 第七十一話 優央の記憶 躯央からの提示(三)

『--望遠砲の小型化は念を残すようだけど、後五十の年以上も掛かると誰かが
言った。それはもう思い出せない。けれども視察したお蔭で多少なりとも僕は僕の世界を
広げた。
 さて、それから四の年より後。ICイマジナリーセンチュリーに表せば一年が経過。僕は二十二歳。今が
本格的な年齢に入る。僕は叔父さんやマンメリー達に教わった数々の事柄を有効活用
し、新古式神武の希望として尽力する時だ。
 とはいう物のどうすれば良いかに悩む。それもまたこの時期の僕がしてしまう行動。さて、
何処から話せば良いかな? つまらない事そうだ、
 先ずはこの話から始めよう--』

 ICイマジナリーセンチュリー二百十年五月四十日午後六時七分十一秒。

 場所は真古式神武首都六影府中央地区新真正神武聖堂。その中で天同優央の間。
 部屋の中央で座禅を組むのは齢二十二にして一の月と七日目に成る神武人族の少年天同優央。彼は一兆年の神々から今後の事について尋ねる。
(--そうか……そう来てしまうのか)
 そのお告げに顔中汗で濡らす。焦りや隠し事を抑える為ではない。変え難い未来が直ぐ傍まで迫る事にどうしても己にとって都合の良い解釈をしようと必死の表情。
(神々に依ると大陸藤原にある大中臣地方のある場所で僕と叔父さん達は銀河連合を食い止める為の防護提建造中に予想外
の奇襲を受けて……嫌だ、そんなの!
 僕はそんな事実を認める訳にはゆかない。絶対に叔父さんを連れてゆく訳にはいかない。そうすれば--)
 再度瞑想に入る優央。一兆年の神々は<気まぐれ故に再度呼び出すには予想外の時間を要する。無理矢理ならば己の精神が巻き込まれかねない。故に優央は再度呼び出しを行おうとして僅か一の分手前で「ウワアアアアアアア!」と叫び、瞼を開きながら畳を見つめる事に。運動はそれほどしてないのに再度呼び出そうとした影響で心拍数は急上昇、成人体型一万を走り切った生命のように息が荒い!
 ど、ドウサレタンデスカアア……優央様--心配で駆け付けるのは齢二十三にして十八日目に成るルギアスカンガルー族の青年マンメリー・レヴィルビー。
「ゼハアゼハアア……ハアハア」余りの過呼吸に普段のように言葉を出せない。「ハアアアア、フアアアアア」
「まさか再度神々ヲ呼ビ出シタトカ……いけませんよ、優央様」楽な姿勢にさせるマンメリー。「躯央様が仰られたように代々の天同家では一度呼ビ出シタ一兆年の神々ハ気紛レ故ニ再度呼び出そうとすれば憑依者の人生の半分を差し出すつもりで迫るのです!」
「ああ、実際に僕、は心臓を、、を、鷲掴みさ、れる気分に、成っ、た、た!」
「やはりソウデスカ。なので優央様ハ無理シテ再度呼び出すのはお止め下さい。神々だってお忙シイ身であります!」
 そ、そうするよ--とようやく喋るには苦しくない段階まで回復する優央。
「まだ喋ルノハ苦しいのでしょうか?」
「いや、ゆっくりと喋ったら、大丈夫」
「ソウデスカ。ではお訊ネシマス」
「一応、何を知りたい?」
「俺がここまで飛び出シタノハヤハリ優央様ノ身を案じて、であります。どうして再度呼ビ出シテマデ確認為さいますか?」
「それはまだ言えない。言った所で多分、誰も止まらない。運命とは筋書き通りに示されなければいけない。そうでなければ--」
「待って下サイ。そこまで答エテ下サイトハ俺は言ってません」
 あ、御免--と自分の世界に入った事に少しだけ反省する優央。
 それから優央は自らを励ます為にマンメリーに協力させる。それは特別な事をするのではなく、他愛のない会話で夕食の時間に成るまで落ち着かせる事。優央がそれを始めるのは次の通り。
(運命の日まで忘れたいんだ。忘れなければ僕は、僕は立ち向かう事が出来はしない。叔父さんが如何ゆう末路を辿るかを知る僕だからこそ今は忘れたい。そう、忘れてしまった方がそれまでに……けれども僕達に残された時間は以って二十二の年……僕が四十四の時に奴らは総攻撃を掛け始める。総攻撃が始まると最早助かる見込みはない。今の時代の僕達の技術では空から降って来る銀河連合を迎撃する事は出来ない。悔しいがその現実は受け止めないと前に進めない。そうだ……良く考えたらまだ長くて二十二の年も猶予が残されるじゃないか。それまでに僕は……史烈と交わりを果たさないといけないな。だけども四の年より前に彼女がやってしまったから最早家から外に出る事も出来なくなってしまった。これが俗にいう……忘れた)
 そう、史烈は父親の許可を貰うまで家より外に出る事も出来ない。仮に出来てもカゲヤマノ家の鬼族生命が、チーター族の生命が、そして真鍋家の熊族生命等が彼女の付き者として傍に居る。眼を離した隙に逃げ切ろうとするのは困難を極める。
 その事実を知ってるが故に優央は彼女を恋しく感じる。出来れば自ら彼女を迎えに行きたい物の、それは果たせない。何故なら史天のあが何としても優央を近付かせない為……そうではない。優央自身が夕食後、忙殺される日々が続く。就寝に就くまで躯央から様々な事を学ばされる。明日の早朝四時には早めの朝食が摂られ、朝食後直ぐに様々な識者との会合が行われ、昼零時までに昼食が入るか入らないかの瀬戸際まで追い込まれる。昼食後もあらゆる事柄が待っており、とてもではないが史烈と再会する日程を決められる筈がない。
『--彼女との再会はそれから八の年まで待たされる事に。史天が死んだからか?
いや、そうではない。史天はこの時代より三の年より後に老衰の為に亡くなる。
だからって史烈と簡単に再会する訳でもない。彼女は父の遺志を受け継ぎ、様々な試みを
してゆく。それは彼女の父が求めた懐古主義と彼女自身の信念である革新主義の融合。
いや、それは彼女を深く読んでいない証拠だな。カノジョがそれから八の年もん僕と再会
しない主な理由はずばり天同の雌に相応しく成る為まだ明かさないでおこう。
 さて、少し蛇足だけど夕食後に新たな望遠砲の視察に僕は向かった。まあ中央官邸表門
にある。それは--』

 午後十時零分十四秒。
 場所は中央官邸第一棟前。中央官邸には三つの塔が並ぶ。それぞれ三角形に配置され、一つ一つが七階建てで一階当たりの高さはキリン族の生命が首を伸ばしても天井にぶつからない程。その噂を聞き付けてキリン族の生命は採用試験の望み、三棟合わせて四名ほど勤務する。
 そんな巨大な三棟の建築物の内の中央の塔の真ん前の広場に煙突の付いた望遠砲がある。その左手側に立つのは齢三十四にして十一の月に成ったばかりのタゴラスキリン族の中年が首を伸ばして優央とマンメリーを待つ。
「やっと来られましーたーか、優央様にマンメリーの生意気ー坊ー主!」
「その訛リハ本当ニキリン族の特徴か?」
 んだとーお--と小商短気なキリン族の中年。
「まあまあ、キリッラ。マンメリー達代々のレヴィルビー家はタゴラスから離れて百以上も経過してるんだ。疑問に思うのも無理はないしね」
「だとしても誇りが傷ー付ーく」
「それよりもキリッラ・モンジャネーラ」
「キリッラと呼ばんーか、坊ー主!」
「この望遠砲ノ特徴ハ何だ?」
 良くぞ聞いてくれーた、この望遠砲はーな--キリッラは最新鋭の望遠砲について一の時も解説し、二名に疲労感を与える事に!
『--以来、僕はキリッラに長話させないように心掛けた。彼は話し出すと幾ら割り込んでも
止まらないからな。本当に困った。それで内容はと言えば--』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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