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一兆年の夜 第七十一話 優央の記憶 躯央からの提示(二)

 午後四時二十九分五十九秒。
 優央と史烈が抱き合う所に突如としてやって来るキュー姫。彼女は来客をお招きした。その来客の名前はキンデヅ・キシェール。父キンキッズに反抗する少々安定しない精神を持つ少年。彼を見て優央の第一印象は次の通り。
(顔つきは険しい。代々の蠍族の雄は雌に比べて穏やかだって聞くんだけどね。何時も体内の毒は雌が回し、雄は何時も雌の尻に敷かれるような者達ばかり……それ真実じゃありませんね、叔父さん。キンデヅは雌みたいに顔が険しいな。今の時代は厭戦気分で懐古主義の到来かと思ったら……ここにも雌みたいな事をしそうな生命が居たんだ)
 何か付着してまど--キンデヅからしたらやや長い時間自分の素顔を見るのだから変な物が付着してるかと優央に尋ねる。
「いや、今時珍しい考えをするんだなあ……そう思ったんだ」
「ああ、親父は古い考えに凝り固まる生命でからな。言っておくが、あんな古いどけのICイマジナリーセンチュリー研究なんどするキシェールは親父の代で終わりだ。これからは暦の尻ばっかり追い掛けない新時代の到来ぢ」
「へえ、本当にそうなの?」
「ああ、俺はこんな物を考案してえだ」
 キンデヅは吊るされた三枚の石板の内、ど真ん中を引っ張り出してそれを優央達の前まで滑らせる。
(何々、キンデヅはICイマジナリーセンチュリーから簡易的な暦であるA・Dを?)
「今更ICイマジナリーセンチュリー以外の暦なんて意味あるの?」
「君は何ぜ?」
「君とは礼を失するよ、年下の癖に」史烈は代々の春風家の雌らしく少しの事にも突っかかる。「春風家の雌に対してもう少し言葉を選んで」
「俺が話をしてるのは優央様ぜ。何で天同の雌でもない春風家のお嬢さんがのうのうと優央様の傍に居で?」
「言ったわね。それは--」
 まあまあ、二名共落ち着いて--と優央は高まるのを何とか抑える。
(けれどもキンデヅの言う事も最もだ。史烈は少々急ぎ過ぎだと僕は思うが)
 思ってても口に出来ない所に優央の弱さが垣間見る。そこについてキンデヅはこう指摘する。
「優央様は恐がる必要はありまぞ」
「何の話?」
「気付きませど。ならば別の話でもしましょうぞ」
 キンデヅは語り出す。その語りの途中で賢い史烈は何かと言いたい事を口にするだろう。そう成らない為に「あ、史烈は話が終わるまで考えを纏めて貰えるかな?」と助言する。
 そう言ってくれると助かります、優央様--と己の意見をはっきり述べた優央を褒める史烈。
 さて、キンデヅが語ったのは次の通り。
 彼は暦に関する歴史が浅い事を指摘。誰もがICイマジナリーセンチュリーに座を譲って少しも別の道を探ろうとしない。結果としてICイマジナリーセンチュリーを中心とした物の考えが根付き、暦研究は殻に閉じ籠る。そう成ると柳の木のような柔らかく、しなやかな議論が形成されずに暦は滅びる事だろう……キンデヅはそう主張する。
「言われてみれば確かね。少し反対の論理をするのを留めてしまう程に納得されるわ」
「俺はキシェールが何時まどもICイマジナリーセンチュリーに拘る事に疑念を感じた。だからこそ蘇我フク兵衛を一生懸けて探し出しど地学を併せた暦の完成を急がせっぜ。俺が考案したA・Dアウター・センチュリーが次の時代を築き上げる時ぞ」
「アウター?」
「それぞ次の通り」<
 キンデヅ曰く補完世紀と呼称。ICイマジナリーセンチュリーを補完しつつ何れはICイマジナリーセンチュリーその物を過去の暦にする全く新しい暦。こちらの場合は何れ来る統一神武を元年として生命が一歳年を摂る毎に年月を経る制度。それだけではなく、春夏秋冬を明確にさせる。そう、ICイマジナリーセンチュリーには問題点があって一年過ぎる時とこちらの四の年毎のずれがどうしても引っ掛かりを覚える。それ故に活用が難しく、余計に体内時計を曖昧にさせる。A・Dアウター・センチュリーが採用されれば最早ICイマジナリーセンチュリーは過去の物と化するだろう。キンデヅはそう主張する。
(僕達の一の年が一年として計算されるんだったら歓迎しない訳にはゆかないな。けれども問題点は誰かが気付くとして僕が気に成るのは--)
 ところでキンデヅよ、統一神武とは何時頃だ--キュー姫と入れ替わるように入るのは齢三十二にして五の月と七日目に成る神武人族の中年天同躯央くおうが入る。
「これはこれは摂政を務める躯央様ですぞ」
「また来たな、史烈。史天が何を言うか--」
「パパは関係ないから」父親の話をされると割り込んでまで己の主張を展開しながら妨げる史烈。「僕は僕の赴くままに進むの、親は何れ子供を何時までも見続けられないのだからね」
「ああ、わかったわかった。はあ」史烈の主張を一々崩すのは骨が折れると考える躯央は彼女に何か言うのを諦める。「史天の事は後にするか」
「叔父さんは何の用でこちらに?」
「実は優央に伝えなければいけない事があってここへ赴いた」
 その顔は真剣その物。刃の様に本気の表情の前には優央は史烈を抱く手が緩む。そして転がる史烈。
「力が抜けたよ、優央様?」
「もしかして叔父さんの死期が近いのか?」
「いや、僕の死期はまだ遠い。これを言っただけで僕が死ぬなんて有り得ないな。何、提示をしにここに来たんだ」
「で、では俺は退出--」
「いや、キンデヅも残ってくれるか」
 つまり僕も--と史烈は尋ねる。
「ああ、勿論だとも」
 本当は優央の身に伝える筈だった。だが、史烈が侵入した事。更にはキンデヅの話が予想よりも長く成った事を受けて二名にも伝えざる負えなくなった。
『--内容はそれほど目新しい物じゃない。何時もの叔父さんの些細な提案。提示にして
はそれ程、深刻に成らなくて済んだ。普通に望遠砲の小型化に乗り出したと雄略大陸に
住むある鍛冶師は報告したそうだ。それが実用化すれば望遠砲の小型化が実現されて誰
にでも扱えるように成る。そう、えっとそれでも望遠砲が小型化して更には費用対効果の
観点からして大量生産が可能な場合にね。それが本当に出来るかどうかを確認させる為
に雄略大陸を渡るよう提案するんだ。何でも遠方まで飛んで少しでも己の地図を広げる
為だってさ。
 でもその提案のお蔭で僕は叔父さんの死後、様々な作戦を立案する事が出来た。良い
経験だよさ。因みに望遠砲の小型化はあ念が残るようだけど二十の年も早いってそこの
職者は主張したな。
 まだまだだったなんてね。あ、僕が遠方まで行く前に史烈とキンデヅはどう成ったかに
ついて記すよ。確か--』
 雄略大陸まで遥々往く事が決定したのか、史烈は頑なに同行を嘆願。だが、躯央は史天との関係を重視する。
「それは無理な話だ。済まないが、大人しく家に帰りたまえ」
「それは--」
 俺も同じ意見でえぜ--とキンデヅも同調。
「蠍の雄は大人しく暦研究でも明け暮れて--」
「そうじゃなくて一緒に蘇我フク兵衛の所へ行こぜど……誘ってだあ!」
 蘇我フク兵衛の所に--意外な提案に思わず口を開いたまま反対の論理を出せない史烈。
「一本取られたね、史烈」
「もう、優央様ったら!」
「一つの道を行くのではなく、それぞれがそれぞれの道を進むのは良い話だ。僕や兄さん、それに姉さんがそれぞれ異なる道を進んだように……それはもう止まらない」
(だろうね。まあそれでも外で様子を見るマンメリーは僕と同じ道を進まざる負えないだろうが)
 と齢十九にして十一日目に成るルギアスカンガルー族の少年マンメリー・レヴィルビーは複雑な心持で中の様子を見届ける。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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