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一兆年の夜 第七十一話 優央の記憶 躯央からの提示(一)

『--もしもICイマジナリーセンチュリーが全ての解を持つのなら果たして全生命は本当に全てを知る事
が可能なのか? 僕にはわからない。けれども僕は彼と出会い、その事について話し
合った。
 そうだなあ、あれはタイガーフェスティが喰われてから首都を六影府に移してから四の
年より後だったな。ICイマジナリーセンチュリーならちょうど一年が経過する年月。僕達生命にとっては
まだまだICイマジナリーセンチュリーの一年は長い。そうだなあ、その話は誰とやったのか。中々思い
出せない。でも思い出さないと具体的な内容に辿り着かない。その内容に近付けるには
先ずは、何にしよう?
 何時も墨で字を記すと下手な言葉が出ないな。書き違えたら綺麗に消す事が可能な
物があれば多少は便利に成る。だが、それは神様がお叱りを始めるであろう我儘と言う物。
せめて後の時代に便利なき部分が解消されれば良い話。
 さて、思い出すには先ずは彼女について話を合わせよう。それは--』

 ICイマジナリーセンチュリー二百九年五月三十三日午後四時七分十八秒。

 場所は真古式神武新首都六影府中央地区新真正神武聖堂。首都移転に伴って三の年より前に改築工事が始まり、僅か一の年より後に完成。現在は天同家の者達は全てここに暮らす。
 全ては誇張ではない。既に天同の血を引く物は摂政の躯央くおうと象徴を務める優央やさおしか居ない。他の者達は婿或は嫁に嫁いだのか或は既に他界したかのどちらか。特に今の時代では新天神武を含めて捜索しても二名以外の天同家を他の生命は知る由もない。
 さて、たったの二名しか居ない天同家で象徴を務めるは齢十八にして一の月に成ったばかりの神武人族の少年天同優央。この物語の主人公を務める気が強くない少年。彼は自分の名前と同じ間にて座禅を組んで来客が来るのを待つ。
(今日は僕が余り好きじゃない学者肌の生命が来るそうだ。何でも--)
『--書いてる途中で思い出した。思い出したぞ。メデス蠍族のキンデヅ・キシェール
だ。僕は彼と会って様々な話をするんだったな。だが、その前にこの話を終わらせに
掛からないと。
 えっと--』
(--そうだ。何でもICイマジナリーセンチュリー研究の第一名社を自称するキシェール家の跡取り、キンデヅ・キシェールだったな。本名は父キンキッズの後を継ぐのが好ましくないのか蘇我フク兵衛の弟子に成ろうとしてるんだった。全く僕には理解に能わない。どうして親の後を継ぐのがそんなに--)
 あ、居た--勢い良く襖を開けて優央の瞼を開けさせたのは齢二十歳にして十一日目に成るプラトー人族の女性。
「な、史烈のれあ!」
「何が『な、のれあ』よ」史烈と呼ばれた女性は助走も付けずに飛んで一回で優央を抱き締めてみせる。「会いたかったよ、優央様!」
「また親に内緒で僕の所まで来たの?」
「だってパパは懐古主義を信奉していて全然僕達の関係を認めてくれないのよ」
「それも仕方ない話だよ、史烈。父さんが大陸藤原を我が物にしていたら今頃は真古式神武並びに新天神武国内に懐古主義又は原点主義が広まる事もなかったんだ。全ては僕達が至らないせいだ。幾らここを守ったとしても何時までも足止めしていられる事もあるまい」
「どうして先祖の罪を自分で背負い込むの? 僕達今の時代の生命はそんなの背負っても意味ないでしょう?」
「それは良くない。何時だって神様は見ておられるんですよ。先祖の罪を見て見ぬふりしているのは同時に歴史から学ぶ事を忘れ、現実逃避へと繋げてしまうんだよ」
「それは少し違うよ、優央様」
 何か反対の論理でもあるの、史烈--と訊く優央。
 それに対して史烈は次のような論理展開を披露する。
『--それについて後述する。史烈は僕と違って文武に長けた雌だった。あらゆる事柄を
呑み込む才は能い、それを応用する事にも迷いはない。故に僕は羨ましがる。
 けれども叔父さんに比べたらそれ程でもない事だけは付け加える。最もそれは叔父さん
の優れた知識、知能の事であって身体能力では叔父さんを遥かに話して見せるけどね。
 さて、話だったね--』
 史烈の大胆な論理展開に言葉を喪失する優央。どんなに言っても彼女の前では反対の論理として相応しくない。何事にも秀でる事も優れる事もない優央ならではの結論だった。
「ご、御免なさい。優央様の顔に泥を塗るような真似をしまして!」
「いや、謝罪するのは僕の方だ。こんなにも頼りなくて--」
 だから自信を持ちなさい、優央様--と両親指と人差し指で優央の両頬を抓みながら端正で兎族のような素顔を近付ける史烈。
「恥ずかしいよ、そんなに近寄られるのは」
「そりゃあ相思相愛同士なんだからね、僕達って」
「だろうね……けど」と優央は前々から良く指摘する事を口にする。「雌らしく一名称はしっかりしないと!」
 またそれ……懲りない優央様--と一名称を指摘する優央に溜息をつく史烈。
『--この後、十四の分まで他愛のない話ばかり。僕はすっかり史烈に帰宅するよう
勧めるのを忘れた。正確には史烈に離れたくない思いが強かった。それが後々長い別離を
齎すとは当時の僕達は想像も付かない。
 けれどもこれも史烈の大胆な論理と同じく後述する。今はようやく思い出したあの話に
入る。それは史烈との子供の数に関する話の最中だった--』
 アノウ、ヤサオウサマ--齢三十七にして十八日目に成るアデス九官族の老婆臨兵キューが半の分掛けて優央が見て左の戸をゆっくり動かしながら用事の為に全身を現す。
「お、思い出したぞ。やっと来られたんだね」
「ハイ、コヨミガクシャキンキッズ・キシェールノダイイッシキンデヅ・キシェールガコラレマシタ」
 はざ、誰がICイマジナリーセンチュリー何かで来げよ--と齢十九にして二十三日目に成るメデス蠍族の少年キンデヅ・キシェールは何か石板を三枚尻尾に吊るしながらやって来た。
「石板資料?」
「きっとキンデヅは噂通りにICイマジナリーセンチュリーの事については話したがらないだろうね」
 そう口にしながらも心の何処かでは語り出すだろうと期待する優央。
(とは考えてもきっと地学の話で持ち時間を全て潰しそうだなあ)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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