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格付けの旅 青年デュアンの死闘 さよなら魔導学園

 さよなら……それは決別を意味する言葉。何事にも決別は訪れる。そこに良い事と悪い事は存在する。良い事とはまた会えるという意味。悪い事とはもう会えないという意味。俺の場合は……もう会えない。
 俺とアイスマンの戦いは始まる。そのエネルギーのぶつかり合いは正に死闘と呼ぶに相応しい!
 本当の意味でルール無用の戦いではこの戦いは早々に決まると思っていた。だが、甘かった。流石は大魔道士様。俺のサンダークラッシュを受け止めやがった。しかもカウンターでリフレクションを掛けておいて完全な防御戦法に縺れ込ませやがったな!
「--フォッフォッフォ、若いのう。わしがそう簡単に引っ掛かる程ならば伊達に魔導学園を長年支配していないわい」
「--だろうな……ファイアークラッシュ!」またしても受け止められ、カウンターのエクスプロージョンが放たれた。「クウ、物理攻撃に対して魔法攻撃に依る返し技かよ!」
「--確かにお前さんの圧倒的な魔力、それに零詠唱に耐えられる異常な身体能力は若くして大魔道士に相応しい能力じゃろう。このわしが……ファントムブレイク」陣形交叉魔法だな、老獪にも。「--頭で工夫しなくちゃいけない程なんじゃから」
「--あらゆる魔法を使えるアイスマンさんが俺相手に……ディヴァインウェイブ!」陰系交叉魔法ならば陽系交叉魔法で掻き消しながら……「--オラア……エレメンタルクラッシュ!」九属性を攻撃に回す俺オリジナルの打撃魔法で叩き込む。「……な!」
 俺は驚愕--俺の右打撃をアイスマンは右掌で止めただと……その老いぼれの何処に受け止める力があるんだ!
「--フォッフォッフォ、教えて進ぜよう……これが脱力合気魔法」体内に流れる魔力が……支配される。「--ドラゴンロード・マップスじゃあ!」
 全身から血を噴き出しながら魔力の光が外へと出てゆく--それはまるで一体のドラゴンを描くが如く!
 俺は両膝から付き、そして顔面を床に強打させる。
「如何じゃい、魔力も身体能力も全てが君の方が勝るのに君はわしを見上げるしかない気持ちは?」
「--爺さんよお……ブラックハーケン!」
 不意打ちの闇系超級魔法は既に読まれ、俺の攻撃ではちっともダメージを受けた事には成らない!
「あくどいのう、デュアンや。一流の魔法使いは武術家と同じじゃ。常にハイキックがやってきたらその対策として首から上を守るように防御を展開する。それと同じように陽属性系が来たらどれでも良いから陽属性態勢を固め、陰属性が来たら陰属性を……更に踏み込めば」アイスマンはお喋りしながら詠唱を開始。「--系統有れどどれか一つでもわかる事即ちアマテラスに伝わる『百人一首』が如く!」
 百人一首……それはアマテラスに伝わる百人の代表的な短歌を絵札と字札に分けて字札を並べて絵札を読み上げながら絵札に合わせた和歌を発見するとそれを素早く取るという古来のカードゲーム。間違った札を取るとお手付きとして次の読み上げまでゲームに参加出来ないという仕組み。
「--説明する程の余裕があるなあ……これぞスターゲイト!」
 馬鹿な……スターゲイトの詠唱時間が短過ぎる--それ以上に驚くのはその破壊力が尋常じゃない事……辺り一帯を吹っ飛ばすなんてこのジジイはとんでもない傑物だな!
「フォッフォッフォ、君の敗因は若さ故に老いぼれの経験に届かなかった事よ……さて、ゆっくりと『ディー』の復活に乗り出し、この星を真に救済する為の計画『エデン』の推進じゃ……おや?」
「--ハアハアハア、デュアンロールはもっと改良しないといけないな」
「わしは加減などしておらんがな。まさかお前さんのその経典は--」
「--気付くのが遅いよ、アイスマン……意趣返しのスターゲイト!」
 俺が繰り出すスターゲイトを受けて右半身を吹っ飛ばされたアイスマン。だが、その表情は瀕死の老人のそれではない。恐怖の形相すら浮かべない。寧ろ笑みが零れるような気がして気分が悪い。
「--わしの計算違いだったな。これは寧ろ『ディー』様にとっては喜ばしい話でありましょう!」
「--何が『ディー』様だ。奴はクラリッサを殺した外道だ」
「--好きだったのか、彼女を?」
「--違うな、アイスマン……ブラッディハウリング!」尋常じゃないマナを消費してでもこの魔法を使うしかないと踏んだ俺。「ハアアアアハアアアアア、お前がして来た事は人の尊厳を踏み躙る行為だよ……だからこそ俺は、俺は!」
 フハハハアハハハハ、アハハハハアハハハ……素晴らしい素質よ、デュアン君--しまった……俺がそう思ってしまうくらいにブラッディハウリングを放った事を悪手だと思った!
「ハアアハアア、まさかアイスマン。お前は『マスティーマ』に身を委ねたというのかああ!」
 --そうだとも。そうだとも。わしは憎悪に全てを譲り受けてこの世の悪として星を破壊と殺戮へと陥れ、更には『ディー』様の為にわしは討たれ果てて晴れて救済は果たされるのだああ!--
 マスティーマ……それはユミルに伝わりし悪魔の一つ。奴は憎悪を司り、神の為に必要悪として偽悪を推進する有難迷惑な悪魔。私利私欲はなく、全ては神の救済を促す為に存在する。
 --さあ、滅ぶが良いイイイイ!--
 マスティーマの固有魔法ブラッディハウリングは炸裂--俺は更なるダメージを受け続ける!
 俺は……死ぬのか? このまま俺は死ぬ、のか? 俺は意識が途切れようとする己に向けて呼び続ける。俺自身に呼び続ける。このまま黒く、そして手足頭が単純にしか描かれない偽悪の悪魔マスティーマに依って憎悪の一部と成り果てるのか? だとするならば俺のして来た事は? 俺がここに来た理由とは? 正義の為、人の為? 俺がそんな事の為に生きて来た訳じゃない。俺は俺の興味本位の為にここまで来たんだ。いや、違うな。俺がここに来たのは……思い出したぞ!
 俺はあの月が真っ二つに成った日から神を凌駕する力を手に入れようと誓い、そしてクラリッサごと俺は真っ二つに成った月の半分を俺自身の力で粉砕して堂々と神に宣戦布告を誓い、そしてここに至る。
 俺はこんな所で死ぬ訳にはゆかない。けれども神の力を有するマスティーマを半端な魔法で倒すのは難しい。下手すると禁呪魔法に依って単純な力だけでは打ち破れないのかも知れない。きっとそうだろう。ならばどうすれば良いんだ? 如何すれば良いんだ? 俺に何か秘策を、秘策を、秘策を秘策を秘策を……いや、秘策など必要ない--そこで俺は発想の転換を図った!
 攻撃が聞かないのならそのまま包み込んでしまえば良い--こうして俺はデュアンロールの残骸でマスティーマを包み込む!
 --こ、これは……こんな物! ウウウ、跳ね返るダト! ダト、ダトダトダト!--
「--そう言えば体力を使い果たした時、一度だけ貯蔵していた体力が使われるんだったな。まあ僅か一分間しか使えない。だが、その一分間をこうして新魔法に使えば……お前はもう何も出来はしない」
 --まさかここに来てボーリングオブコスモスまでマスターしたというのかあああ!--
「--俺を誰だと思ってる? 俺は」その時、俺の頭髪は只でさえデイズ人の血を引く故に緑であったのが青白く光ったな……緑故に。「--俺はデュアン・マイッダー……お前達が嫌ったデイズ人最強の魔法使いだ……地獄の果てまで転がるが良い、ボーリングオブコスモス!」
 その魔法の球体は残った半月に向かって転がり始める。
 --止めろ、デュアン。わ、わしが悪かった! わしがお前さんをもっと大切に扱うべきだった。なあ、許せ。わしは命など惜しくもない。けれどもわしはこんな所で死ねない! 『エデン』の為にもお前さんと一致団結して一致団結してえええ!--
「俺が爺さんと……却下するね」俺は背を向けて奴の末路を見ずに『ディー』が眠ると思われる方角に向かって歩き出す。「俺は誰かと組むのが好きじゃないんだよ」
 --デュアン・マイッダアアアアアアアアアアアア……--
 やがて背中越しにも光が俺の両瞼に侵入しようとしてるのを感じる。けれども俺は意に介さず、先へと急いでゆく……じゃあな、ガガープ・アイスマン。お前は中々有難い信念を持ってたぜ。だが、その信念は他人にとっては有難迷惑でしかなかったがな。

 それから俺は初めて生の『ディー』と対面を果たした。
 --久しいな、デュアン・マイッダー--
「あんたが本当の『ディー』か?」
 --御覧の通り、私は魂の光として長年ガガープ・アイスマンを含めた魔導学園の歴代支配者達に依って保護されて来た。時にはクラリッサ・ロロリアーナのように--
「クラリッサの名前を出すな、それに」体力とマナの消耗が激しく、五感が上手く働かない気もする俺。「ハアアハアア、俺は無性に眠い」
 --成程、そう言っておきながらも徐々に内部からエネルギーを貯蔵するのが目に見える。やはり貴様も踏み越えてしまったか……『神殺しの九十九』に--
 『神殺しの九十九』……何だ、それ--突然、俺でさえも意味を理解しかねる事を言い出す赤緑の魂だけの『ディー』。
 --大昔に『シャワルン・マゼーラモア』から教わった話だ。何れ天文学単位以下の確率で最高神を軽く超える九十九の神才が目を覚ます。彼らその者は宇宙のそれであり、既に人の領域を最初から軽く超え、そして--
「長い。今の俺にそんな話を聞かされても全然聞く気に成りはしないな」
 --既にシャワルンに依ると把握出来る範囲では三体も覚醒が確認された。一体目はとある剣士であり、そして圧倒的な身体能力を以って当初最高級の最高神だったあの男を打ち破って見せた!
 二体目は従来の歴史すら支配下に置く程の悪意と野望を有し、言葉通りにそれを実現して見せた黒きレイピアを有する悪魔。
 三体目は臆病故に--
「話が長い。そろそろ俺は寝るわな」
 宣言通り俺はその場に眠ってしまった。
 --当初の予定ではグルービィ・マクスウェルの身体を乗っ取り、現世に再び参上するのが通説だったが……ウグオオオオ、時間が時間が……アイスマンの肉体すら乗っ取る事も出来ずに、そして、この男の肉体……乗っ取ろうとすれば逆にやられてしまう。斯くなる、上、は、は、は……--

 ガガープ・アイスマンの後を継いだのは彼の子息であるスローター・アイスマン。彼は『エデン』計画の全てを告白。それは惑星ディー全ての人間の意識を統一化させるという悍ましい計画。三度の魔導大戦もそしてユミル人の掲げた聖地計画も全ては『エデン』の為。奇しくも『エデン』を誰よりも推進したガガープは誰よりも人道を優先する息子スローターに依って全て否定された。勿論、『ディー』の魂が詰まったフラスコは粉々に破壊される事で『ディー』の全てをここに潰えた。
 だが、俺はまだどこか引っ掛かる事がある。『マギ五大魔法』とは何か? それに関しては結局、何も手掛かりを得られず。もしかすると俺は気付いているのかも知れない。それは直ぐ傍にある事を。だが、まだ俺は気付かない。

 それから俺は魔導学園を正式に追放された。どんな理由であれ、支配者殺しの魔術師は学園に居てはならない。スローターを初めとした首脳陣は全会一致を以ってこれを可決。それだけじゃない。俺は後一週間の内に惑星ディーからも追放されなくちゃいけない。何故か? それは惑星ディーの夜に浮かぶ月を全て粉砕した事。これは宇宙刑法に照らし合わせれば極刑に処される程の重罪。だが、惑星ディーの人間はそこまで支配下に治めておらず。故に俺を星外追放する事で手を打つしかなかった。何、宇宙空間に出たら死ぬって? 心配ない……判決が下される前に完成したんだ、デュアンロールをな!

 そして二人は俺が神を越える事を誓ったある丘に座りながら会話をする。
「デュアン、別れの言葉を言いたかった」
「何でまだあいつの事を気にするんだ?」
「酷いわ、マリック。貴方はデュアンに命を助けられたんだよ。感謝するべきでしょ?」
「誰がするか。俺は許せないんだよ。勝手に出て行ったあいつを、デュアン・マイッダーを!」
「どうして許せないの? 嫉妬?」
「わかる者か。ラキは許せないだろう、お前を置いて勝手に魔導学園を去るなんて!」
「いえ、デュアンは私に頼んだのよ」
「わかってる。わかってるけど……けど、どうして俺はあいつにラキを宜しく頼まれなくちゃいけないんだよ!」
「……」
「あいつはそれでも男か。男なら惚れた女の為に何処までも女と共に荒野を進む物だろうが。それが夫婦の営みを形成し、共に苦しみを、共に楽しみを、そして共に愛情を育んで進んでゆく物だろうが!」
「でもデュアンは……デュアンは強く成り過ぎた。だからあの人は……いえ、もう彼は人じゃあない」
「デュアン……馬鹿な野郎だ。人間の方が遥かに幸せに生きていけるというのに……なのにどうして神を踏み越えてしまったんだ!」
 俺はラキとマリックに後の事を託し、果て無き道を旅する……


 青魔法03 青年デュアンの死闘 END

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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