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一兆年の夜 第七十話 優央の記憶 終わりの序章(三)

 五月二十四日午前十時零分二秒。
 場所は真古式神武地下通路第二休憩所。
 突如として轟音が鳴り響く。とうとう空より銀河連合が降り注がれた!
(とうとうここまで来たか。そろそろ僕達は黙ってここで眠る訳にはゆかないな)
 優央、躯央、それからマンメリーは仮眠と他にもやってくる避難民の為に第二休憩所に足を止めていた。既に春風史天、史烈親子ら一般生命達は避難は完了した後だった。残るは優央達三名と真鍋ベア豪、それから齢三十四にして八の月と九日目に成る神武猿族の中年ミチナカノゴンヅルオのみ。ベア豪は者一倍生きる事に執着する物のゴンヅルオはその反対だった。
「どうせおらが生きたって何の意味もない」
「どうしたんダア、ゴンヅルオ。生きる事は楽しみを見つける事でもあるゾオ」
「これからも死者っの度、喪に服っしていくんだろう? そんなの耐えっられないよ!」
「甘ったれた事言うんじゃナアイ。生きてる限りは--」
 止セ、それしか道がないという考エヲドウシテ変える暇があるか--とマンメリーはベア豪の左肩に右前足を乗せて諭す。
「クゥ、どいつもこいつも原初の考えに回帰しおっテエ!」
「史天もそうだが、保守的な考えが広まったのは--」
「おっとそれ以上は後で聞くから今は死にたがり屋はここに残してそろそろ避難してゆくのが先決ですゼェ」
「済まっない、済っまないんだ。おらはミチナカノ家を絶えさせたとして想念の海にて叱られるだろうって」
「ルケラオス虎族の佐々木家もそして貴重な神武にある猿族のミチナカノ家、後は--」
「用のない話ヲ為サル場合ではありません、躯央様。行キマショウ」
「本当に残るの、ゴンヅルオ?」
「心配っしないで下さい、優央様。只では銀河連合達の腹の中に入っりませんぞ」
 それなら良いけど--とゴンヅルオに背を向ける前の優央は何処か寂しそうな顔だった。
 こうして優央達四名はゴンヅルオを残して第八通路へと足を運んでゆく……
(御免、御免、御免、御免)

 午前十一時十一分二十三秒。
 場所は第八通路。そこは平均的な人族の雄なら三名ほど通れる幅。故に四名は後三の分に第十通路へと足を運ぶだろう。
 だが、銀河連合の流れ星の中には頑丈で尚且つ深く潜り込む個体が一つ--それが四名の前に立ちはだかる!
「早く避難シナイト生キ埋メニ成るってのに!」
 ここはわしに任せロオ--クマ豪は三名を強引に全長成人体型一とコンマ二もあるアルマジロ型の上を器用に飛び越えるように遠投!
「イデ……クマ豪!」
「ウオオオオ、わしはこいつを倒してから行クゥ!」
「で、でも--」
「大丈夫デスヨ、優央様。クマ豪ハタッタ一体ニヤラレルヨウナ軟な生命じゃあありませんよ!」
「それでも心配だ--」
「如何しタア、如何しタア……その程度でわしを食べる気カア?」クマ豪は何度もアルマジロ型を投げ飛ばして余裕を見せる。「これが八百もの年以上もわしら全生命を苦しめた銀河連合とは……片腹痛いワア!」
「行こうか、優央。クマ豪は誰よりも生への執着が高い雄。死ぬなど万が一にも有り得ないよ」
 躯央に諭されるように優央は背を向け、走ってゆく!
(僕は予感する。クマ豪は……クマ豪は!)

 午後二時四十一分三十七秒。
 場所は第十一通路。そこは第五通路と同様に狭い。だが、地面の方は柔らかい。故に掘り起こせば熊族でも通れる可能性はある。最も掘り進めたとしても距離は成人体型五十八。とてもではないが、時間が掛かり過ぎる。
「ねえ、叔父さん!」
「どの道、クマ豪は通れないって? 何を言ってるんだ。第十通路の分岐点に第十三通路があっただろう」
「あ、そう言えばそれを知らなかった」
「全く優央様ハ記憶力ニ難がありますね」
「まああそこはあくまで未完成の通路だし、どっち道クマ豪のような巨大な種族達は第十三通路の奥にある高さ成人体型百もある井戸から上って脱出しないといけない……がこれは流石に銀河連合に依る集中砲火を受ける羽目に成るからな!」
 ウウウ、クマ豪--地下通路に入って三度目の号泣をする優央!
「思う存分泣いておけ、優央。僕はもう泣く気力もない。古式神武の象徴だった真緒みたいに泣けたらどれだけ良い事か!」
 涙も時には必要……デスネ、躯央様--とマンメリーは埋め合わせをする。

 午後五時五十七分五十七秒。
 場所は地下通路真正神武側出入り口。そこは旧第二北西外郭地区跡。
 優央、躯央、そしてマンメリーは一の日ぶりに沈むお日様を見つめる。いや、同時にタイガーフェスティに降り注ぐ銀河連合の群れも目撃する!
(御免よ、逃げ遅れた真古式神武の国民。そして遥々タイガーフェスティまでやって来た新天神武の者達よ。僕にもっと力があったら--)
「何を考えるかは皆までわからずとも大体は見当が付く」優央の左肩に優しく静かに右手を乗せてこう助言する。「力なんて幾ら個者が身に付けようとも救えない者は救えない……それが現実だ」
「で、でも--」
「でも何もない。僕達は死んでいった者達が居るからこそ……己が無力であると理解するからこそ前に向かって進んでいけるんだよ。お前はかつての僕と同じように何もかも抱え過ぎるんだよ。抱え過ぎた所で何も救えない。お前の父烈闘や母優希は何の為にお前を産んで育てたのか? 無力である事を後悔する為に産んだのか?」
「そ、そうだよね。僕は無力だと後悔する為に産まれてそれから両親に後悔させる為に育てられたんじゃない。僕は何て事を考えていたんだ!」
 そう、それで良いんだ--と少しだけ優し気に微笑む躯央。
 だが、優央が賢い行動をするよう考えが及ぶ前に地下通路があった大地が次々と崩壊。そこから頭を出すは……銀河連合達!
「出て来ましたぜ?」
「数ガ多過ぎる」マンメリーは大体の数を次のように説明する。「大体千、いや……小型個体ヲ目視シタダケデ万は上る!」
「圧倒的に利がない。直ぐ様、第五避難区まで下がるぞおおお!」
 果たして生き残った優央達は一名も欠ける事なく万にも上る銀河連合の襲撃から逃れる事が出来るのか!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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