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一兆年の夜 第十一話 天同生子 建国篇(零)

 ICイマジナリーセンチュリー三十七年一月六十三日午後十二時十三分十一秒。

 場所は秘境神武中央空間四門の間。
 そこには四名が座っていた。
「穢れを背負うとはの。そなたには申し訳ないことをした……」
 齢四十四にして二の月と一日目になる老年は嘆く。老年の髪は衰えているのか、
白く弱い。ただし、腰まで長い。口全体を覆う髭も髪の毛と同様に白く弱々しいが、
胸元まで伸ばしている。だが、両眼は衰えていながら力強く光を放つようだ。それに
つられるかのように両眉毛、両睫毛共に力強い。鼻は老年にしては可愛らしい形を
している。
 そんな老年も正面に座る齢十にして一日目になる少女のやった行為だけは弱気
になった。
「父上。私のことはお気になさらないで下さい!
 いずれこうなることを覚え悟りはいました!
 生命が生命を死なせること……私には悔いはありませぬ!」
 それに対して少女からは後悔の念はなかった。黒髪にして長すぎない程度に肩
まで伸びる。鼻は兎族のように可愛らしい。上下唇は小指の横幅くらいな大きさ。
両眼は年相応の開かれたように大きい。その為両眉毛、両睫毛は目立たない長さ
だ。そんな少女の目の奥から出る光は顔全体を輝かせるようだった。
「悔いがないという言葉を使うのではない! まだ十の年になりたてだろうに。
 わしは罪深い! 妻の子季を亡くしただけではなく、今度は生子にまで幸せを遠の
かせることを!」
「おかあちゃんはおれがしなせたんだ! おれがおれが!」
 生子と呼ばれる少女の三人分後ろに座る二名の内、左に座る齢七にして三の月と
六日目になる少年が突然立ち上がって叫んだ! それを横に座る生子と同じ年の
少年は--
「いつまでそのことを引きづるか零! 母上はお前のせいではなかったのだよ!
 もう、悔やんでも戻らないだろうに。だからもう悔いるな、零。」
 少年は必死で零と呼ばれる少年を励ました。それを見ていた二名の顔は少し歪む。
「零の気持ちはこのわしが十分わかる! わしもかつては後悔した!
 四生、四高、四雄……わしが秘境を離れていたが為に! わしがもっと早く駆けつ
けていれば弟たちは死なずに済んだというのに!」
「でも父上。命運びというのはどう承るかわからないわ。叔父様達の死が結果として
私達三名の誕生へと転ばせるのだから」
「だからこそわしは弟達の為にも、今は亡き妻子季の為にもここの伝統を守り通さな
いといけない!
 いや、いずれ守りきれなくなることだってある!」
「ど、どうゆうことでしょうか、父上!」
 零を励ましていた黒髪が腰まで伸ばした少年は驚いて右足を膝を曲げた状態で
地面に立たした!
「読四よ! 生子が今日何をしたのかを知ればわかるだろう。もはや秘境神武は終り
を迎えようとしていることを」
「そ、それでは大叔父様の方針に逆らうことではありませぬか! 父上はここを一生
守り通すと大叔父、高様に誓ったじゃありませぬか!」
 読四と呼ばれる少年は叫んだ! 叫ぶ様は長い髪を激しく乱すことで自らの
凡庸さを振り払う。
「いいじゃないか! おれはでんとうなんて好きじゃない! なんでここをかくさなく
ちゃいけないの?」
「零! いい加減にここの理念を理解しろ! それから言葉遣いはちゃんとしろと
言われてるだろうが!」
「ま、まあいいだろう読四。言葉遣いは後でゆっくりと直せばいいものよ。
 それよりも零の言い分も確かだ。かつてのわしもそうであったのだから。
 けれども、ここより外に出て始めてわかった。ここは守り通さなければならぬ処だと
いうのを」
「つまりひきょうからはなれたらわかるの、おとうさん?」
「だろうな。
 だが、今はその話ではなかろう。生子が穢れを背負った今、わしはお前達に託さな
ければならぬことがある!」
 四門は元通り、目に強い光を放つ! それは残りの人生が短いものだからこそ
放たれる力溢れるものだった!
「私達に何を託すのでしょうか、父上」
 生子は四門の目に圧倒されながらも普段通りの口調で質問した。
「いいか生子、読四、零……
 お前達三名は全生命体の希望となるのだ!」
「ぜ、全生命体の希望?
 な、何を仰いますか父上! 私のような何の変哲もない者にそんなことは--」
「別に一名の力だけで成せと言ってるのではない!
 お前達三名の力を合わせて全生命体の希望に成れと言っておろう!」
「三名? つまり私は私の役目を。読四は読四の役目を。零は零の役目を。
 それぞれの得意分野を伸ばし、穴となる部分は協力して埋めてゆく。
 やがて全生命体を希んで望む道を示していく……そうゆう事でしょうか父上?」
「相変わらず生子は難しすぎることを言うよのう。ま、まあそうだろう。
 この場合お前達三名の役目はこう思う。
 生子は穢れを一身に背負う役目を果たす。
 読四は凡庸故に凡庸なる者達の代弁という役目を果たす。
 零は、そうだな。零は活発故に活発な役目を果たすだろう。
 けれども必ずどこかで役目を果たし辛いこともある。その時になって三名のいずれ
かが協力し合う。そうして始めて全生命体の希望と成ろう!」
「ぜ、ぜんせいめいたいのきぼう、か! なんかわからないけどなってみるよ!」
 零は得体の知れない嬉しさなのか、思わず舞い上がってしまった!
「零! まだ話は終わってないだろうが! いい加減座ることに耐えるんだ!」
「お、おにいちゃんだってすわってないだろ! じぶんをたなにできる口かよ!」
「何だと!」
「喧嘩をするな。全く二名は修行が足りんな」
 生子の言葉に二名は大人しくなった。それを見た四門は思わず笑みが溢れた。
「? どうかなさいましたか、父上」
「いや、嬉しいと思っての。どうやらお前達なら果たせそうだな。
 全生命体の希望に成ることを」
「いえ、必ず果たして見せます! そして私は全ての穢れを背負うわ!
 ちょうど--」
 生子は視線を外に向けた!
(お日様のように燃やし尽くすわ!
 それは果て無き道を進むように!)
 それは今から十二の年より前の出来事だった……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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