FC2ブログ

一兆年の夜 第六十九話 テンタウ 後篇(四)

 午後四時三十分十八秒。
 場所は迷宮の洞窟出入り口前。地面にある隠し扉の先に迷宮の洞窟はある。
 そこには順序を覚えて進まないと必ず遭難する。
(やっぱりだここだは明日のだ時代だ。だがだ、一体だどれ程のだ時代かだわからないだ。周囲をだ見渡せばだ時代がだ遡ってるだというのがだわかるだ。何故ならだ今にだ比べてだ森林のだ数がだ少ないだ。雑草だの数がだ少ないだ。まるでだ生命だが管理してるようにだここはだ自然だが作り物だのようにだ見えるだ。言葉だに表せば--)
 何を考えてる、さっさと付いて来いよ--とラディルは考え事をするバッ戸を最寄りの宿泊施設まで迎え入れようとする。
「いえだ、申し訳だありませんがだここでだお別れさせてだ頂きますだ」
「何をいきなり? 全身臭いの良くない泥で濡れてるじゃないか。服装だってほぼ裸のそれに近いし。それなのに俺の好意を素直に受け入れない理由は何だ? 小僧の強がりか?」
「そうゆう訳だではありませんだ。実はだ俺だもこの方だも--」
 ところでどうしてその人族の赤ん坊の事を恭しい態度で接する--ラディルにとってバッ戸のそれが気に成って仕方のない部分だった。
「あだ、実はだこの方だは天同烈闘様だの第二子だであらせられますだ」
「はあ、何を言い出す?」
「信じられないだのもだ無理はだありませんだ。実はだ優央様だには只一名だの弟君だが居られましただ」
「天同家の歴史は詳しくはないがな。でも今、この国を治める御方は確か--」
「いえだ、そこまでだ語るだ必要はだありませんだ。兎に角だ、俺だもこの御方だもこの時代だの生命だではありませんだ。なのでだ俺達だは元のだ時代にだ帰る為にだもう一度だ迷宮の洞窟だを探索しにだ行かないとだいけませんだ」
「危険だ、小僧。迷宮の洞窟の本当の恐ろしさを全然理解してないようだな」
「理解はだしておりますだ。一度だ潜ればだ二度とだ戻ってだ来れるだ保証がだないんですよねだ」
 ああ、実際にここへ潜ったある生命は二度と俺達の所に戻って来なくなった--とラディルは己が産まれる前の話をバッ戸に知らせた。
(随分とだ盛った話もだ含まれるだ。それでもだ俺はだ--)
「その目つきはきっとこう考えてるだろう? 仕方ないな。付き合ってやるよ、小僧の望みを果たす為に!」
「いえいえだ、そこまでだ--」
「いや、生命の好意は素直に受け取れ……それに」ラディルは足りない何かを埋めるような一言も口にする。「少しくらい肉体のみでしか行動しない生命ってのを頼って行け、小僧」
「ラディルさんだ……有難う御座いますだ」
 どう致しまして--礼に始まり、礼に終わる……ラディルは当たり前の事をしたまでだった。
 その様子をあどけない表情で見守る生命が一名。彼はこう口にする。
「ボクは……ボクは……」

 午後五時五十二分三十一秒。
 場所は金色で染め上げた雄略包丁を頼りに現在で三本目に到達したばかり。
「本当にだこの道でだ合ってるんだですかだ?」
「親の代からずっと俺は雄略包丁を交換して来たんだ。一名でも生命が遭難しないように慎重に、それから警戒心を弱めないように」
「確かにだこの暗闇だの中だでは何時だ銀河連合がだ襲ってだ来るかだわかりませんねだ」
 さっきの指揮官型だけじゃない--何かとんでもない種類の存在をほのめかすような口振り。
「もしかしてだ参謀型だか医者型だも居るんですかだ?」
「知らないようだな。やっぱり大分昨日の時代から来たってのは本当そうだな」
 いえだ、止めておこうだ--運命を変える事が危険だと考えるバッ戸はそれ以上尋ねる事を諦めた。
(銀河連合だは一体だどれ程だ種類をだ広げる気だ? 全くだ新しいだ種類だを俺はだ知らないだ)

 午後七時四十一分十二秒。
 場所は黄金の雄略包丁が七本目に入った地点。そこは正に雄略包丁が金箔で包むよりももっと輝きを見せる空間。
「これはだ有り得ないだ!」
「ここもまた、神様だ!」
「神様はだ何時からだ派手なだ装飾をだ好まれましたかあだ!
 だが、これらの金は剥がす事も出来ない代物だ--と改めてこの空間が神様である事とラディルは主張!
「信じられないだ。黄金のだ木造建物だはどれもだ木造だの形をだしてるのにだまるでだ作り物にだ見えるだ。中だに入ろうとだするとだ見えないだ壁にだ遮られるかのだようにだ中がだあるようなだ錯覚にだ陥るだ。本当だに神様だ!」
「だろう。あの黄金の池も神様らしくどんな生物が乗っても沈む事がない。あの机型の仕掛けは突起物一つとっても固すぎて推す事が不可能よ。それからあの黄金の本棚何て正に神様に相応しい読み物一つ取り出せない代物だよ」
「本当だ。これはだ素晴らしいだ。是非ともだじっくりだ調べて--」
「と言いたい所だけど、そうもいかないそうだ」
 ラディルの声の張りが変化した。その意味する所を知るべく周囲を見渡すとラディルが視線を送る先に百獣型がバッ戸目掛けて……いや、バッ戸が背負う赤子目掛けて睨み付けるのが確認される。バッ戸はそれに気付かない。
「いけない、避けろおお……ウグウ!」
「ラディルさああんだ!」
 大丈夫だ、肉を切らせて……骨を断つ--ラディルは左肩を噛まれつつも右手に持つその時代の蘇我鋭棒に依り、百獣型の脳天を突き刺した!
 百獣型の抗菌力は急激に衰え、ラディルから離れたまま絶命。
「ハアハア、左腕の感覚がない」ラディルの言葉通り、彼の左腕は神経系を寸断されて幾ら命令を送っても動かす事も出来なくなった。「小僧、これくらい軽傷だ」
「何処がだ軽傷だ。俺のだ為だなんかにだ--」
「違う。その赤ん坊の為だ!」
「赤ん坊だの--」
 また来やがったか、今度は二体同時に--百獣型が現れた方角より犬型と猫型が出現する。
「その鋭棒だは後一回だでしょうだ?」
「気付いたな、その通り。だが、その一回で纏めて--」
 お喋りしてるだ場合だじゃないだでしょうだ--バッ戸の言う通り、二体の銀河連合はラディルが話してる時に襲い掛かる!
 だが、バッ戸の心配は杞憂に終わる。何故ならラディルは独特な足運びに依って一直線に誘導。そして二手に分かれる暇さえ与えない内に頭部と頭部を結ぶように串刺し。宣言通り一回で済ませた!
「凄いだの一言だでしかだ表現だ出来ないだ」
 だが、一転して危機に立たされたな--これはラディルにとって次来られたらもう一撃で仕留めるのは難しく成ったという意味である。
『--ラディルの左腕が如何成ったのかを俺は記さない。今、記すべきなのはこの空間は
確かに神様だ。神様というのは全生命体にとって祭り上げる以外に活用法がなく、更には
神々しい存在感を発揮する建物群の事を指す。まあこれは当時の俺の少し勉強不足な
定義ではある。それでもこの定義には自信がある。何しろ、俺はようやくクマントさん達
の下へ行けるかもしれないと感じて来た。何となくではあるが、俺はもう死の運命を
受け入れ始めたのかも知れない。この日記がもう俺の居た時代に送り届ける事が
出来ないかも知れない。仮にで来ても俺と言う存在は向こうの世界でしか生きられない
かも知れないと。
 いや、それ以前にどうやって明日の時代から過去の時代に進めるのか。その方法が
わからない以上はもう元の時代に戻る事が出来ない気がする。だから俺はこうして日記に
明日以降の生命の為に書き綴ろうかと考え始めた。
 訂正。一旦、記すのを止めて神様の調査をしたら一つだけ神様ではない個所を発見
した。その先を調査する為に俺はこの日記とラディルさんから渡された約一の日の分ある
食糧を持参して調査を開始した。ちょうど良く成るまであの方はラディルさんに預ける事
に決めた。きっとあの方は片手でも何とかあの方をお守りしてくれる筈さ』

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR