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一兆年の夜 第六十九話 テンタウ 後篇(三)

 午前十時一分十二秒。
 場所は未定。ラディルに依ると大中臣地方にある迷宮の洞穴と呼ばれる場所から四の時掛けてここまで来たとの事。
「--要するに俺達はこの迷宮に彷徨ってる訳だよ。若造も気苦労多いね」
「そうだねだ。とだ、ところでだ」
「何だ、若造よ?」
「なけなしのだ食糧だを分け与えられてだ本当にだ感謝しておりますだ」
「気にするな。全生命体はどんな時でも助ける時に助ける。例え無理してでもな!」
 感謝だで一杯だですだ--と涙を浮かべるバッ戸。
「ふわああ、そろそろ寝て良いか?」
「いえだ、そうゆうだ……わわだ、まただこの方がだ泣かれてしまいましたかだ」バッ戸はラディルの自分調子に構う余裕がない程に赤子の大泣きに一苦労させられる。「全てのだ生命のだ赤子だはみんなだこんな感じなのだでしょうかだ!」
 ラディルが眠りに就いた頃、約一の時を掛けてバッ戸は赤子をあやす作業に入った……

 午後一時十六分二十四秒。
 ラディルをバッ戸が無理矢理起こす。その訳はやはり今のまま時間を潰してる場合ではない事。考えは次の通り。
(ラディルさんだが明日のだ時代のだ生命だったらだ時間をだ掛け過ぎるとだ昨日だに留まってしまうだ。それをだ防ぐ為にだ俺達はださっさとだそれぞれのだ出入り口だを見つけてだそれぞれだの時代にだ帰らなくちゃいけないだ。だがだ、ラディルさんだの命名するだ迷宮の洞窟だはだある目印をだ当時のだ軍関係者がだ置いてだ行ってるだらしいだ……そうだがだ、果たしてだそれはだ俺だの時代にだ残り続けるだのかなだ?)
 バッ戸の疑問は最もらしい。そもそもバッ戸が発見したこの地下空洞こと迷宮の洞窟は最近発見された場所。そんな場所に目印代わりの物がある筈がない。
 ところがバッ戸の疑問は一の時ほど進んでゆくと吹っ飛ぶ。そう、分岐点を示す雄略包丁らしき日本が地面に突き刺さるのが見える。
「あれは目印。目に付きやすいように俺達生命は訪れる度に標本用の雄略包丁を半の年に一回、或は緊急時には半の年が来る前に訪れてこいつを差し替えて行くんだがな」
「一見するとだこれらのだ包丁はだ皆だ、配色がだ異なりますねだ。右がだ緑掛かりだ、左がだ黒清むだ。これはだどうゆう意味だろうかだ?」
「気付いたか。右は出入り口へ通じる道。左が遠ざかる事を意味する」
「全部でだ何色だあるのだでしょうかだ?」
「複雑にしないように全部で三色。先程の緑、黒は説明したがある重要な場所を示す意味で金塗装した雄略包丁もある。俺はその作業を終えて家路に向かおうと思っていたんだがな。そしたらお前さんと出会ってしまった」
「状況がだ今一だわかりかねますねだ。進んでだ行きましょうかだ」
 赤子を抱えたバッ戸は出入り口の指す方角を目指して緑の雄略包丁を探し続ける。それを目印に一旦、出入り口を目指してゆく。
(俺だの懸念としてはだ仮にだ出入り口だに出てもだ俺はだ二度とだ自分のだ時代にはだ戻れない可能性だろうだ。それでもだ一旦はだ出入り口だを目指してだゆかないとだいけないだ。今はだ戻るべき時代よりもだ安全だに出られるかどうかだを確かめてゆかないとだいけないだ)

 午後四時十八分四十三秒。
 場所は迷宮の洞窟。只一つしかない出入り口に赤子を含める三名がようやく外に出た。
 夕のお日様とはいえ、その光は久方ぶりの二名にとっては眩い光。思わず、赤子が泣き出す騒ぎにまで発展。
「オイ、又その子が泣き出したぞ!」
「あやして下さいだ、ラディルさんだ!」
 赤子をあやす作業はやはり時間を要する。それでもラディルは子持ちなのか、はたまた同じ人族の生命なのか素晴らしい対応をして僅か十八の分以内に見事にあやして見せた。
「慣れてますねだ」
「そりゃあ、俺は最近孫を持つ三十八の中年様なんだから」
「三十八とはだ随分だ歳をだ摂りますねだ」
 そりゃあ人族はみんな七十まで平気で長生きできるように成ったんだから--ラディルの一言はバッ戸にある考えを浮かばせる。
(そうかだ。真古式神武建国だのきっかけをだ作っただ斬弥きるみ様だと七弓様だは共にだ仙者だ。しかもだ二名がだ儲けただ十名だの子供達はだみんなだ七十の年までだ生きる事がだ保障されるだくらいにだ長生きだ。そんなだ彼らのだ系譜がだあちこちにだ嫁いだりすればだどう成るかだ? 殆どのだ人族はだ七十の年までだ長生きだ出来るのはだ当たり前にだ成ってゆくだ。そう成るとだ余計にだ人族以外のだ種族だとの差だが開くだばかりだなだ)
「何一名で塞ぎ込んでる?」
「あ、申し訳だありませんだ。少し考え事をだしていましてねだ」
 無理するなよ--そう慰めるラディル。
『--さて、これから俺はラディルが暮らすと言われる道真県まで向かうのか? それは
少し違うぞ。ここから先は俺自身が帰還する事を目的に迷宮の洞窟と呼ばれるように
成ったこの洞窟の調査を始めてゆくんだよ。このまま明日の時代について調べても
良かったが、それでは明日を生きる俺達の子供世代に申し訳がない。運命を変える事は
どうしても避けたかった。ラディルさんにしてもここで次の明日の世代の為に生き
続けるんだ。彼らの為にも俺は調査を継続しようと思った。全ては俺が元の時代に戻る為
にな。
 でもそれが可能だったかどうかはわからない。何しろ、俺はある生命から聞かされた話
がある。それは時間の流れの話。時間は昨日から今日、今日から明日、そして明日から
昨日へと進むそうだ。正直、二つまでは納得する。けれども三つ目がふに落ちない。
というのも何だが、明日から昨日に進むだなんて誰も証明した事がない。そもそも明日
から昨日だぞ。昨日の事はわかっても明日の事を少しもわからない俺達がどうやって
それを証明しろと言えるのか。そこにこそ明日から昨日に進む事について腑に落ちない
点だ。
 話を戻して俺が言いたいのは何か。それは俺が居る世界は明日の世界。だとすれば
どうやって俺の居た世界に戻る事が可能なのか? それが俺自身が難しいと考える
明日から昨日に進むという理論と繋がる。その理論が実現出来るとしたら一体何が
関係するのか? 俺はそれが知りたい。
 その為に俺は調査を継続する。元の時代に戻って烈闘れっとう様と優希ゆき様の第二子を無事に
躯央くおう様及び兄君であられる優央やさお様に無事届ける為に』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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