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格付けの旅 青年デュアンの死闘 反逆のデュアン

 反逆者……それは組織を内部から崩壊させる異物。
 さて、解説する前に先ずは決勝戦のダイジェストでも語るとしよう。
 俺とグローバリィの激しい戦いを少しだけ紹介すると次の通り。
 ゴアの挙げた右手はやがて試合台に振り下ろされるとそのまま打ち合いは始まる。互いに大技合戦かと予想された戦いは意外にも簡素で尚且つ俺達は下級魔法及び中級魔法に依る出方を探るばかり。互いに属性防御に依る手の見せあい。下手に上級魔法以上の術を使用するのはリスクが大きいと考える。勿論、俺はそう思っていたから中級・下級魔法のみで序盤は相手の出方を探る。
「--どうした、臆病者」
「--そんな安っぽい挑発で俺がホイホイ乗っかると思うなよ……ファイアーボールワイドレンジブラスター!」俺はファイアーボールの雨を放ち、そこにアイスソードの嵐を仕込む。「--受けよ……ダークリッパーチャージ!」
「--ウグ、貴様は……何てなあ、フルブラスト・マキシマムシュート!」
 グローバリィの繰り出す禁呪魔法は少々格好付けた名称で放たれ、俺が繰り出したダークリッパーチャージを乗っ取る。それから正式名称『レイド・ベル・ファング』で俺の右腕を抉るように攻撃。幸い、そこに仕込みの魔法障壁を仕掛けておいた俺は腕を保つ事が出来た--が、その代わり左腕一本に依る発射を余儀なくされた!
「--何時仕込んだか知らないが、ゴアの目を盗んだか」
「--いや、試合が始まってから直ぐに掛けておいた……が、これは」どうやら『レイド・ベル・ファング』に毒が仕込まれてるとは夢にも思わなかった。「--邪道め、魔法の中に大会で禁止された毒物混入をするとはな」
「--今はルール無用……ダークライズベル!」それも禁呪魔法の一つである直接鼓膜を破壊する代物。「____」
 かなりきついなあ。鼓膜が破られたから得意の聴覚で詠唱してる事さえ俺にはわからない。『五感』でこれはどうやって制すれば良い? それよりも目が霞む、倦怠感が押し寄せる。後は……等々毒は進行中。
 五感……それは全ての生物が持つ基本的な感覚。映像化を促す視力は失うと文字を描く事もテレビジョンで視覚的な物を楽しむ事も出来ない最も重要とされる器官。こいつは失ったら最後……絶望感は尋常ではない。次に聴覚。こちらは言葉を認識する或は物音を認識する危機感知の器官。失えば世界は一転してサイレントワールドと化す……巧い表現を俺は知らん。次に嗅覚。こいつは悪臭を確認する為に必要な反応の感覚。しかもこいつを極めたら攻撃予測も可能に成る。四つ目が触覚。こちらは微修正の感覚でどんなに目で見た物や耳で聞いた物、更には匂って確認した物でも不完全。なので触覚で微修正を行う事で完全に近付かせる。最後は食べ物を口に放り込む際に必要な味覚。戦闘に於いては何の役にも立たそうな器官だが、実は空気の味を覚えればこれ程使い物になる代物もない。それでも戦闘に於いては最も目立たない感覚だがな。さて、これらを一つに合わせる感覚がある。まあ『共感覚』については後程学ぼうか。
 俺は様々な禁呪魔法を身体に浴びる。その毒はやがて嗅覚を使い物にしなくした。残り三感で何が出来るというんだ!
「___________」もはや俺の詠唱する声さえ聞こえない。「__________」
 だが、俺は舌なめずりして大いに味覚を活用してみる事にした。成程、戦闘に於いて味覚がこうゆう時に活かされると考えると徐々に他の感覚との距離を縮めてゆき、共感覚の領域で……ウググ--これだから暗闇の中でダメージを受けるのは嫌なんだよ。
 兎に角、俺は共感覚で視力と聴覚、その他の感覚を補い合って詠唱を続行……奴がどの属性を纏って今何をしようとしているのかを嗅覚で研ぎ澄ませ、それを補うように試合台を何度も踏み鳴らして確認。それから何度も舌なめずりして味を確認……このペース配分だな。じゃあ超級魔法ブラックハーケンよ、切り裂けええ!
 それからゴアのような何かが試合終了の合図を送るような気がした。







 五感は一時間後に元の状態に戻る。その時、俺は『優勝旗』を両手に担いでいた。
 優勝旗……それは優勝した事を表す称号のような物。つまり旗を持つ程に高いくらいに就いたぞと--
「オイ、デュアン。ごちゃごちゃ考えてる場合じゃない。さっさとインタビューをしやがれ!」
「わかった」
 俺は他愛もないインタビューを熟した。そこには新しい発見もなければ歴史に残る演説にも成らない。
 俺にとって歴史とはドラマであり、物語であり、そして真実の確認。歴史とはドラマである以上は脚色と捏造が氾濫し、物語である以上はどんなに汚らしく残虐な行いも美談として語り継がれ、真実の確認として検証される。
 さて、ここまでが決勝戦までのダイジェスト。今、隠された医務室を発見した俺は全身包帯で巻かれて更に特殊な鎖で縛られるグローバリィことグルービィ・マクスウェルJr(以降小マクスウェルと呼ぶ)と対面する。奴に色々と聞きたい事があって俺は尋ねに来た。
「何故、私を生かした?」
「これから殺す……口封じにな」
「これから……つまり、情報を引き出させて父大マクスウェルの情報を引き出すつもりのようだが--」
 やはり本物のマクスウェルは既に他界していたか--と察した俺。
「そうか、妹から聞いたな」
「お前の師は多分……『ドランドゥ・アーウェル』の関係者だろう?」
 ドランドゥ・アーウェル……それは惑星ディーの中で最大の禁呪魔法使い。そして--
「アーウェルこそ父を亡き者にし、師アイスマンと共にこの星の支配者ディーの計画を推進する黒幕の一人だ」
「やはりそうか。あの時の声は五つ。最初に喋ったのがワイズマン、次がアーウェル。三番目がナロウ・スペース。そしてお前、最後がガガープ・アイスマン。特にワイズマンとナロウは全生命体の敵にして黒幕の一味……どちらも滅ぼして構わない存在だ」
 知っていたか--と小マクスウェルは驚くのか、やや音量が高い。
「俺は奴らを許せない。お前もそうだ。お前の父グルービィ・マクスウェルは本当の意味で惑星ディーを救う為に尽力してきた。魔導学園を追い出された時もそうだが、奴は本当の意味で魔導学園に依る一強体制を崩し、健全なる星にするべく尽力してきた。その為ならば禁呪魔法に染まってでも『マギ五大魔法』を打ち崩し、真にあるべきエーテルの体系に戻そうと必死だった……なのにお前はアーウェルとアイスマンに自分を売って、更には大マクスウェルを謀殺した。それに気付いたのがお前の腹違いの妹達であるクラリッサとクライツェ。だが、お前はそいつらを口封じする為にクラリッサの情報をアイスマンに売った。クラリッサはそうしてディーに体を乗っ取られ、魔道に堕ちた!」
「仕方がないだろう。貴様は知らないようだが、アイスマン様は真理を説かれたのだ。『マギ五大魔法』を打ち崩せば今まで築き上げた魔科学文明は水泡と帰し、我々からマナは失われる……と!」
「その為にお前はクラリッサを実験台にし、クライツェを……話に成らん!」
 ウグ……デュアン、マイ、ダ、ぁ--小マクスウェルの肉体を骨ごと焼く俺……奴は髪の毛一本も残さず消し去る。
 それから俺はこの場から消え去る--既に出来上がった『デュアンロール』を使ってな!
「警報が鳴ったが……な、グローバリィが!」「まさか侵入者が!」「拙いぞ、このままでは……今直ぐにでもアイスマン様に報告せねば!」現場に駆け付けた奴らが騒ぐのもそう時間の経つ長さではあるまい。

 それから俺はマリックが寝てる病室まで尋ねる。
「出たな、デュアン。しかも変な経典を担いで」
「『デュアンロール』と呼べ……と言ってもこいつは試作品だ」
 デュアンロール……説明すると俺の持つ畜魔機と言う奴さ。魔法使う度にマナを消費する。しかもマナが枯渇すると倦怠感など色々な症状が発生するじゃないか。そうゆうのを少しでも抑える為に俺は開発した。しかもこいつを作ったお蔭で俺は更なる魔法を身に付けた……それはまあ『企業秘密』という事で。
 企業秘密……それは企業だけの独自製法の事。独自製法とは知られたら他者がこぞって真似るじゃないか。特にコスト削減で大量生産でもされたら自社へのダメージは計り知れない。その為に独自製法だけは秘密にしなくちゃいけない。そう、幾ら形だけ真似ようとも最後の一押しだけを秘密にすればどんなに真似ても奥底までは真似られない。その結果、自社のブランドは守られるって寸法さ。
「わかったわかった……要するにお前は掌を見せない訳だな。何処までも憎たらしい奴だ。だが、助かったぞ。お前が変な真似をしたお陰で俺はこうして日の下で活動出来、俺が魔導学園の頂点に立つ御膳立ても出来る訳だ」
「まあな……その恩についてだが」
 何……恩着せがましい事を--俺はマリックにある事を頼ませた!
「それじゃあな。もう二度と魔導学園に戻る事はない。後はラキやモリスン達と一緒に魔導学園の事を任せるぞ、マリック」
「オイ、無茶苦茶な事を俺に頼むなああああ!」
 マリックの叫びを背に受けて俺は……真の『ディー』を倒すべく魔導学園に忍び込む!















「デュアン……父上に刃向かうとは!」
「済まないなあ、スローター。俺はどうしても許せない事がある。その為なら俺は神だって倒してやる!」
「馬鹿な事を考えるんじゃない……私はこの身が朽ち果てようとも--」
 お前は生かしてやる、スローター……俺は無駄な人殺しはしたくない--と言って俺はデュアンロールによるテレポーテーションで奴の背後まで瞬間移動!
「な、私が道を譲らされただとお!」
 そして俺はアイスマンが居ると思われる『アビス研究所』へと足を運んでゆく!
「デュアン……どうしてお前なんだ。どうしてお前が神の反逆者として選ばれたんだ。選ばれなければ……選ばれなければお前は普通の生き方が出来たのに。お前が選ばれるからこそ仮にこの先に待つしの絶望を突破しようとも……待ち受けるのは無限にも続く地獄よりも更に地獄染み、一生懸けても天国に到達しない道なき道の始まりなんだぞ!」














 ……何て夥しい数の魔物をここで製造していたんだ。これが惑星ディーの深淵にして全ての真実が内包される『アビス研究所』の正体なのか!
 アビス研究所……それは魔導学園中央棟の地下百階に位置する星の核まで続く研究所。そこは研究所とは名ばかりの魔物の巣窟。ケルベロスやミノタウロスは生温い。ア・バオア・クーやスキュラ、それからルシフェルでさえ裸足で逃げ出す程の魔物達で溢れる。研究所は全部で地下千階まである。地下1千階目にこそ--
「そう、わしが存在する」出て来たな、ガガープ・アイスマン。「とうとう禁忌に触れたな、デュアン君」
「俺は神に従うのは死んでも御免だからな」
「全くクライツェ君は死に際にとんでもない事を遺したね。全くこの老体に鞭打たせるような事を……いや、違うねえ。既にこの身は死者と同じかえ?」
「恍けるなよ、アイスマン。貴様のやって来た事は風聞とは真逆の好意だ。第三次魔導大戦もそれからグルービィ・マクスウェルの真実も全てはお前が仕組んだ事だろう!」
「まあなあ。そしてわしはアーウェル様の理想の実現の為に『全生命体の敵』と通じて『ディー』の復活を計画して来たのじゃ」
「『マギ五大魔法』の正体も初めて知ったぞ……クライツェ・ロロリアーナはこう言った!」
 さて、そろそろクライツェの遺言でも公開しようか。それは次の通り。
 --グルービィ・マクスウェルは第三次魔導大戦を起こした張本人として惑星ディーではデイズ人と共に忌み嫌われた存在。だけど、それは事実とは異なるわ。本当はグルービィ・マクスウェルは第三次魔導大戦を止める為にありとあらゆる真理に到達したのよ。その心理の一つが『マギ五大魔法』……私達の先祖である古代ユミル人が興した古代国家サウル。その太祖サウルは初めてユミル人だけの国家を築いた。それからダビデは惑星ディーに奇跡が溢れるようにするべく『マギ五大魔法』に着手。そして最大にして最悪と謳われた王ソロモンの時代では『七十二柱の悪魔』と契約し、それを完成へと導かせた。それが私達が魔法と呼ばれる奇跡の力を使役出来る理由。こうして魔法の元素であるマギは完成された。だが、歴史が示す通り『マギ五大魔法』は争いの火種。争いが起こる原因は人間の愚かな一面だけではない。ソロモン王が完成せし『マギ五大魔法』が根本的な原因。様々な宗教預言者達はそれに着手しようとする度に私達ユミル人が裏から始末して来た。そう、クリストもムハンメドもブッタもツァラトゥストラも……そして父大マクスウェルも。そう、私達の父はグルービィ・マクスウェルその人。大マクスウェルは第三次魔導戦争を引き起こし、あらゆる陰謀を仕掛けた張本人ではない……寧ろ逆なのよ。父は本気でディーを救おうとしたのよ。全ては争いの火種である『マギ五大魔法』を打ち崩し、あるべき姿に戻す為に。なのに兄は……そんな父を殺し、口封じの為にクラリッサを大魔導士『ディー』に憑依させたのよ。そして兄はアイスマン、それから禁忌魔法を作り上げた魔人『ドランドゥ・アーウェル』と共に最後の計画である『エデン』を推進するべくこの魔術大会を開いたの。魔術大会は『エデン』を推進する為にアイスマンを含めて歴代の魔導学園の指導者が開催するのよ。そして貴方や貴方の幼馴染であるラキが暮らしていたあの孤児院だってそうよ。実はあそここそ身寄りのない子供達を実験台にして魔導学園にとって都合の良い人材を集める為に作られて来たのよ。後は非人道的な行いの告発だって全てはスケープゴート、そしてアリバイ作り……ここまで聞いて陰謀論染みた話のように聞こえていたら御免ね。でも本当なのよ。アイスマンの真実を話せば全てがはっきりするのよ。彼は経歴こそ立派で努力の数も半端がない大魔導士であり、誰もが認める存在なのは事実。でもそれと同時に彼は三つの内、二つの魔導大戦を起こした元凶なのよ。二つ目の魔導大戦で彼はオインゲトウェイン、ナエモン、そしてアッピンホエモーと共に魔導砲を開発。アマテラスの二地域に二種類を落として三十万人もの犠牲者を産み出した殺戮者の一人でもあるのよ。全ては『エデン』を推進する為。アイスマンにとって貴方は希望の星ではない。神に反逆した存在として貴方は恐れられてるのよ。恐れるように成ったきっかけはきっと貴方が迷いを吹っ切り、急激な上達を始めた頃。そこで妹クラリッサを寄越して管理下に置こうとした。けれどもクラリッサの僅かな意思が結果として貴方を成長させるまで至った。そこで今度はマリックたちをたきつけて貴方に魔術大会に参加させるよう仕向けた。マリック達は貴方を魔術大会に参加させる為の餌。本来、兄さんや各全生命体の敵、そしてアーウェルの弟子達は参加する予定ではなかったわ。でもアイスマンは参加を促すしかなかったの。貴方を打ち破って『エデン』を推進させる為に。そう、そうなのよ。私が兄さん達に協力したのはその為。全ては貴方にこの事を話す為。でも兄さん達は私が漏らす事も想定し……こうして私は死んだの。ならば私は最後の力を振り絞って貴方にこんなメッセージ魔法を送ったのよ。全ては--
 と言う訳だ--とアイスマンにクライツェの遺言を伝える俺。
「『エデン』の邪魔をするか。『ディー』復活の邪魔をするか。若造よ、引き返すのじゃ。『エデン』はを倒す為の切り札なのじゃ!」
? なぞなぞか?」
「違う。『全生命体の敵』最大の存在じゃ。若造が幾らわしよりもそして『ディー』や『ドランドゥ・アーウェル』様よりも遥かに強くてもには勝てない!」
「そいつが神の正体なのか!」
「違うぞ、デュアン・マイッダー。神は人類いや生物にとっては代えがたい存在として何時も君臨しておられる。だが、そんな神……いや、神々でも認めがたい存在が二つ。それがお前さんのような神殺しと『全生命体の敵』の総本山であるじゃ!」
「だから何がそこまで恐ろしいのかがはっきりしない!」
「お前さんは何れその存在がどれほど恐ろしいのかを気付かされるじゃろう……だが、それはそれ。これはこれじゃ。お前さんはこれ以上強く成るな。お前さんは神の一歩手前まで来ておる。己の為にもここで引き返せ、デュアン・マイッダー!」
 お断りだね--ここで交渉決裂を宣言する!
「そうか……そこまで身の程を知らんようじゃな。ではわしも命を賭して止めねば成るまい。覚悟しておけよ、若造よ!」
 こうして俺は魔導学園最大の長ガガープ・アイスマンと一大決戦を仕掛ける!


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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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