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一兆年の夜 第六十八話 テンタウ 中篇(三)

 午後七時三十二分三十一秒。
 場所は第三関門。そこは数千もの指揮官型が巨大な赤黒い蛹として天上高く積み上げられる地点。
 四名は誰もがその恐るべき関門の前で再び恐怖を呼び起こされる。
(震えがだ止まらないだ。あれはだクマントがだ倒した筈のだ指揮官型だ。でもだ今とだ成ってはだクマントだはもう居ないだ。だからだ俺達四名がだ束にだ成ってもだ一体もだ止められる筈がだないだ。ここはだ慎重にだ音をだ立てずにだゆっくりだ進むだ以外にだある訳がだないだ)
 バッ戸の考えは他の三名も同様。故に四名それぞれ目で意思疎通を行い、互いの考えが一致するのを確認するとゆっくり進む。それから飛び跳ねながら移動するバッ戸はより慎重に進む必要がある。特に羽を使えばその羽音一つで数千の蛹のような何かに眠る指揮官型が目覚める危険性が高い。故にバッ戸は誰よりも慎重に進む。
 ところが四名は銀河連合がどうゆう存在なのかをここに来て忘却した。何故なら銀河連合という存在は只感情任せに行動するような存在ではない。銀河連合とは……突然床下より土竜型がコケ造の足を引っ張り、引き摺り込んだではないか!
「こ、コおおおおケ造!」
「数千の指揮官型が一斉に蛹のような奴から飛び出して来たぞおお!」
「俺達はだ忘れていたんだあああだ!」
 いやっだあああ、死にたっくはなあ--コケ造は死の恐怖を呼び起こしながらそのまま……下半身から上半身まで一気に食され果てた!
「幾らだ体はだ重くてもだ二十の分以上もだ体をだ休めばだ……まだ激進だ出来るウウウだ!」
「一斉に降りて来る。その前に俺達は走り抜けるぞおおおお!」
「うおおおお、俺は命を捨ててでも飛んでゆくウウウ!」
 ところが、レイデルの右足首に情も無しに土竜型が掴んだ!
「な……」
「れ、レイデルがだ--」
「レイデルの為にも俺達は進むぞおおおう!」
 ち、畜生だ--バッ戸は振り返らず、命を使ってでも羽を広げる!
「俺も……ここまでか!」
 覚悟を決めたレイデル。そしてコケ造の死の叫びを聞き、レイデルの覚悟を背に受けたバッ戸とフク五郎は彼らの為にも突き進む!
(指揮官型がだ大地にだ降り出したらだ俺達のだ命はだ消えゆくだ……それまでにだ俺達はだ、俺達はだ。ぜだ、全然だ言葉がだ思い付かないだ!)

 午後八時零分五秒。
 場所は第三関門と第四関門の中間。
 またしても全力疾走した二名の息は荒い。只でさえ重たい肉体はここに来て更に重くのしかかる。おまけに彼らは言葉を交わす事さえ難しいほど疲れ果てる。いや、水分が今以上に欲する。それだけに体内の水分を大きく消費。更には空腹も訴える。腹の虫は食糧を求めて催促するのに必死。ここまで苦しみを訴える肉体。心の中はどれ程の葛藤で満たされようか!
(ああだ、俺のだ目のだ前にだ五目御飯のだ山でだ満たされるだ。五穀御飯もだ横にだあるだ。五目御飯とだ五穀御飯をだ腹一杯だ食べるだけでだ他はだ何もだ……要るかだ。水がだ洪水のだ如くだ欲しいだ。水をだ飲ませろだ。水をだ飲まないとだ……死んでしまうだ。飛蝗族だって水だは欲しいだ。水がだ……五目御飯がだ、五穀御飯がだ!)
 バッ戸の心の中には食糧の山で満たされる。どんなに知識を身に付こうとも追い込まれると必ず食欲の波に抗う術はない。対策がわかっても対策を講じる為に頭脳を働かせる余裕はない。脳が齎す合理化は傍から見れば合理に程遠くとも己の中ではそれが合理的だと脳が判断してしまう。故に冷静な呼び掛けも困難。
 それについてはフク五郎も同様。彼も目に見えるのは外で食べた茸の山で溢れる。更には水分補給に大量の井戸が見え、井戸水に飛び込もうとするので一杯。例え体が重すぎて動けないとわかっても井戸へと逆さまに落っこちてでも適量の塩分を備えた井戸水を飲み干したいとフク五郎は考える。それ程にフク五郎も考えに余裕を持てない!
 御覧の有様な二名を正常に戻すのは何か? それは奇しくもバッ戸の長い左後ろ足を床下から掴む土竜型の存在だった!
「ウワアアだ、銀河連合だ!」
「井戸水を有難があああある場合じゃない。ええい、放あああせええ!」
「あんまりだ強く引っ張るとだ足がだもげてだしまうからだ!」と飛蝗族の脆い足の構造に気を付けるよう訴えるバッ戸。「だから慎重にだ、慎重にだ」
 それでも時には生命を助ける為に加減してる場合ではないと捉えるフク五郎は勢い良くバッ戸の左後ろ足の膝から下を千切ってまで引き離した--その痛みに大きな叫び声を上げるバッ戸ではあったが!
(フク五郎だは仕方がだないだ……がだ、痛いだ!)
 痛みに悶えながらも適切な対応だと考えるバッ戸。お蔭で二名は土竜型に引き摺り込む事なく急ぎ翼でこの場を立ち去った!
(イデエエエだ……羽をだ広げてだ、羽をだ上下するのもだ、辛いだ!)
 体力は既に限界に来ている。それでも再度土竜型に掴まれないのはやはり二名共空を飛ぶが為に。特に低空飛行なのに土竜型が床下から手を伸ばして掴めないのは低空飛行が如何に地中系統の銀河連合の攻撃を回避するかを証明する。

 午後十時四分十一秒。
 場所は中枢。そこにはかつて烈闘が破いた心臓型が今も鼓動を響かせてうねる。
 二名はそこで初めて参謀型と医者型を目の当たりにする。
「ハアハアだ、あれがだ参謀型だ?」先ずは一見すると亀型やアルマジロ型に近い姿をした参謀型をバッ戸はこう言い表す。「何でもだ快くない音をだ出してだ配分をだ乱すとだ聞くだ……がだ、そんな感じかだ?」
「医者型ってのはもおおおおっと白衣を身に付ける者かと思ったあああぞ」フク五郎は医者型の姿を次のように説明する。「百足型或は馬陸やすで族のような姿で銀河連合全ての特徴である剥うううういき出しと更には体を覆う黒い玉のような何かああああか。複数の足から繰りいいいいい出す名医も真っ青な執刀で同胞を助けるのかあああか!」
 んんだ、フク五郎だ……医者型のだ傍にだ居るだ人族のようなだ赤子だを見ろだ--バッ戸の足指す方向に仰向けで両手両足、そして首に触手のような何かで抑え付けられるのは……まさか!
(あだ、あれはだ間違いなくだ……俺達のだ任務であるだあの方だ!)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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