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一兆年の夜 第十話 天同生子 始動篇(三後編)

「い、いくらら強くても八体相手にはむ無理だだ」
(確かに無理?
 いえ、私は仙者になるべき者。無理なんて言い訳は出来ないわ。
 特に生命が危機に瀕している中で。生命が戦うことすら恐がる中で。生きたいと
願っている中で)
 黒髪の少女は無理を強いられる運命にあった!
 だが、理由を思考する前に栗鼠型はベレッタに包丁を突きつけた!
「あ、あああ、な、な、な!」
「……つまり少しでも動けば彼を死なせるのね。わかったわ!」
 その時、少女の背後から馬型が下方から斧に似た物で振り上げた!
「当たらない!」
 少女は何かを栗鼠型の眉間に投げつけた--その反動を応用し、後転宙返りをして避けた!
「な、な、なんででききる!」
 少女は馬型の背中に乗り、首を絞める--骨が砕けるような音をして、それは
前後両足を崩して絶命。
「し、しんいられなな。一瞬にして二体も倒すなんて!」
「ようやく安定した口調になったか?」
「ええ、あなた様はもしや--」
「話は後だ! 残り六体を倒すまで私達は油を断てない」
 と言って、少女は栗鼠型に突き刺した物を抜くとすかさず、左手でベレッタを抱えたまま前へ飛ぶ--さっきまでいたところの木板が歪み、そして破裂!
 そこから土竜型が顔を出す!
「あれはニャルタヒコを食らった内臓モノか!」
「ニャルタヒコとそこの人族については申し訳ない!
 でもあなただけは必ず生かすわ!」
「グ!」
 ベレッタを話した少女は土竜型の方に向かって飛んだ!
 だが土竜型は地中へと潜る--が少女は潜ったのを目にしたと同時に地面に
向かって拳十個分の長さがある包丁を突き刺す!
「無理だって私はする!」
 突き刺した地面は血で滲む! 少女は反動を利用して色葉の死体の近くへと着地した!
「すまない。これを借りる!」
「そ、そうか! あれは恐らく雄略包丁……に似た包丁。
 三回刺すと使い物にならなくなるんだ、きっと」
「そこの者! 左を見ろ!」
「え? ってうわあああ!」
 犬型と猫型がベレッタを食らおうと飛んできた!
「神武包丁ではどうやっても間に合わないが……」
 と言いつつ物部刃を二本同時に構えて、放った!
「えっ? これはいくら何でも」
「言ったはず。無理だって私はすると!」
(刃は残り五本。物部刃? は近距離でも使えるの?)
 少女はおぞましきモノ達を確認する。
(烏型、豚型、鹿型は見かけた。他二体はこの目で見るまでわからないわね)
 と言って烏型に刃を放つ--烏型は刃を受けて全身が金で出来た水に浮かぶ寺の頂上に落下した。
 烏型が絶命するのを確認した少女はベレッタの方に飛んだ!
「行くぞ! 君がここにいると残り四体を倒せない」
「うわっ! 左手一本で担げるって! どこにそんな力がある!」
 少女はベレッタを担いだまま走った! 烏型の死体がある寺に近い黒い寺。そこの近くに生えてある桜の木に向かう--その途中で彼女は片手で望遠刀を構え、口で枝を引っ張り器用に刃を放ち、追ってきた鹿型を倒した。
「二度とこんな礼を欠く行為はしないわ!」
「むしろ出来ないだろ! っておわっ!」
 少女は桜の木に到着するとすぐにベレッタを降ろした!
「豚型が来る! まだ枝は保つのか?」
「無理はすると言ったはずだ!」
 足の踏ん張りが良くなかったのか、刃を放ったが成人体型一に満たない半径まで外した!
「ま、ずい! 残り二本でどうやって二体を倒せばいい!」
(外した? いえ、避けられたわ! 体勢を崩したくらいであの距離は変ね。
 どうやら私の動きはわかるみたいね)
 と言いつつ少女はもう一度狙いを定めて刃を放つ--と見せかけて物部刃を右手で掴むや豚型の攻撃範囲に深く入った!
「口を大きく開けた! これはもう--」
(虎穴に入らずんば虎児を得ず。大陸藤原虎族の藤原トラ吉が考案したことわざ。
 その意味を理解してみせるわ!)
 少女は食われる寸での所で刃を喉元に突き刺す--豚型の前歯は少女の後ろ髪に触れるだけで止まった!
「こ、これが仙者なのか?」
「残り一本。物部刃? は飛ばす以外の使い道はないな。もう使い物にならない。」
 最後の一本を手にかけたその時、寺の障子から獅子型が少女に向かって突進!
「まずい! あれは獅子族に似た内臓モノ!
 いくら彼女が強くてもあれを倒せない!」
「死などいくらでも私に与えろ! 私は仙者だからな」
 冷静に刃を放とうとした時--
(何? 獅子型を死なせてでもやるのか!)
 刃は獅子型の眉間を命中したが、既に獅子型は死んでいた。だが、口から猿型が身体を引き裂いて少女へと飛び込んだ!
「く! 油を断つとは私も……」
 少女は猿型と取っ組み合いになる--猿型は何度も食らおうとするが、少女は
物部刃の刃先ぎりぎりで躱していく!
(躱すので精一杯! これで私の人生は終わるのか?
 いや、まだ終わるわけにはいかないわ!
 私は、私の名前は……)
「神武人族最後の仙者!
 私の代で秘境神武を終えるためにも生き抜くわ!」
 少女は人差し指の第二関節を突き出す形で右拳を強く握る。それを猿型の人中穴めがけて放つ!
「すまない。私も生きるので必死だから」
 猿型は気を失う--その隙に少女は猿型の首を絞めて倒した!
「い、生きてるんだ、な、はは」
 少女は立った。そしてベレッタの方に身体を向ける!
「では名乗りを上げる。私は生子。名字は天同。
 神武の長の一族、神武人族の天同四門の第一子なり!
 現在神武の仙者を継承する者である!
 あまり格好の付く名乗り方は好きではないのう」
 ベレッタは天同生子と呼ばれる少女に見とれていた!
 彼女が名乗りを上げた時間は恐らく十二の時。太陽がちょうど真上に位置する。
 そして、太陽は彼女に照らしていた--眩くように美しく!
 更に驚くべきは自分達の近くに桜の木があること。
 桜の花びらはより天同生子を美しい存在に仕立てた!
 ベレッタはそんな思考をして彼女がこの世で最も美しい存在であることを心の中で認めた!
「いえいえ、十分にお似合いでございます、天同生子様!
 申し遅れました! 自分はベレッタ。名字はバルケミン。今はなきプラトーの一族、プラトー人族の者でございます! 自分めはアリスト町に滞在中の天同零様の勅命によりあなた様をお連れしに参りました!」
「そうか。
 しかし、すまないことをした。途中でベレッタの連れとニャルタヒコを死なせてしまい申し訳ない!」
「いえいえ、あなた様が無事なら色葉もニャルタヒコもお喜びになられると思います。ですのでどうかお気を落とさずに」
「すまないことを言わせてしまったな。
 私達は二名の死を忘れないためにも前に進まないといけない。まず集落に帰るなり死者を丁重に葬る。その後はここ秘境神武を……」
 生子は太陽を見る。
(眩しい。私達神武族はお日様の下に暮らすのか。
 なんて眩しいのかな。秘境神武を終わらせること、皆を守るために多くを死なせた罪の証だろうか?
 ふふ、暗くなるくらい眩しいわ。まるでこの先の命運びのようね。
 私はそんなまぶしさを背負いながらこの宿められた命を全生命体のために燃やすわ!
 このお日様のように!)
 天同生子の物語は始まる。それは全生命の希望となり得るのか?
 遠すぎる過去は答えを我々に教えてはくれない……

 ICイマジナリーセンチュリー三十九年四月七十三日午後零時十分十秒。

 第十話 天同生子 始動篇 完

 第十一話 天同生子 建国篇 に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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