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一兆年の夜 第六十七話 テンタウ 前篇(三)

『--そこは日記で表現するならば秘境
 は一体どれだけ発見されれば気が済むのか? と若造の分際が文の句を付ける
のはこのくらいにして実際問題としては秘境の概念は確立しないとこの先発見されゆく度
に不思議場所を全て秘境と定義するのは如何な物か。俺がもう少し年を摂ってそれらを
決定する時は必ず条件を設定する必要性に迫られる。そうゆう意味では今回俺達五名が
発見した大中臣地方真南(?)にあるこの場所は秘境とは呼ばない。俺はそう決定
する。ここはいうなれば神秘地の一つとして捉えるとしよう。
 神秘地というのは神々が眠る地として秘境のように神々は眠っても大きく異なる事が
ある。
 それは場所が不変かそうでないか。これだけで十分に秘境神秘地の違いは判明する。
他にもあるだろうがまだまだ条件を追加する事は難しい。様々な神秘地を発見しない事
には他の理由を断言するのは難しい。
 さて、俺達が驚いたのはそこが神秘地であったから。いや、異なるな。俺達が驚いた
のは生きている神をそこで目撃したから。これは紛う事のない新事実であり、空腹で
苦しむ俺達にそれすら忘れさせる知的好奇心を騒がせるに十分。
 生きてる神とは地図のような形をした神の事である。俺達はそれを見て頭の中で様々
な躍動感に見舞われた。鱗を持たないのに目からそれらしき物が流れるような気がした。
地図にある龍族の道が躍動するのをこの目で見た。俺のような他の種族からしたら
不思議な色彩を帯びた眼ですらもそれが躍動するのを目の当たりにする。人族の眼で
表現するなら赤い光の川が上から下に流れるように。その流れる物はやがてあらゆる道を
通り、一定時間の内に元の場所へと戻ってゆく。
 たったそれだけの為に神はここで俺達に生きてる姿を披露して下さった。それは俺達
頭脳労働者にとってどれほどの感動を与えて下さるか。どれ程空腹を忘れさせる事が
叶ったか。俺達の心は今、神に依って大いに満たされる。まだまだこれだけの新事実が
水の惑星にあるのだからまだまだ飽きさせはしないだろう。
 と一昨日の真夜中から昨日の早朝までの体験はこのくらいにして今日の早朝から始まる
お話でも記しておくとするか。それは次のような出来事であった』

 八十三日午前五時十九分二十三秒。
 場所は大中臣地方新乙奈子平野。五名は八十二日の午後九時までに出口を発見し、そこに辿り着く。
(本当にだ信じられないがだ、俺達はだ生きてる神だを拝んだ。昨日までのだ事がだ夢の世界の中だと思いたく成る光景だ。目覚めて直ぐにだ俺達はだ空腹をだ思い出すだ。食べる物だを探しにだ俺達はだあちこちをだ歩き回っただ。そして菌糸類だを発見だ。食べられるかだどうかはだ経験者だが語るだあの茸類をだ発見しただ。そして全て食べた俺達。結果は御覧の通り、銀河連合だにさせられる事もだなければだ突然腹痛だ或は奇行に走るだという症状もだ発生しないだ。一応形とだ色とだ詳細をだ日記にだ記しておこうだ。そうすればだここにだ誰かがだ訪れてもだ気軽にだ食べられるだ。茸類だとはだそれだけ注意のだ必要なだ植物なのだからだ……植物でだ良いんだよなだ?)
 五名はこの偶然を感謝して本来あるべき御馳走様の礼儀に従ってお辞儀を繰り返す。
「そろそろ本来の任務を思い出すゾオ」
「すっかあああり忘れていたあああぞ!」
「烈闘様と優希様の遺児であっられる名無しの赤子を掬う事でしたッさ」
「早くしないと銀河連合はあの方を……いや、もう食べられてる可能性も断言していいかも知れ--」
 そんな吉だでない事をだ口にだするなだ--とバッ戸はレイデルの万が一の可能性を反論。
「可能性がない訳じゃない。銀河連合の味覚やら健康管理は知りたくもないが奴らは赤ん坊をあ美味しくいただく傾向にある。特に天同家の赤ん坊は奴等にとって俺達生命側に打撃を与えるには絶好の存在。みすみす生かしておく理由は何処にある?」
「それでもだ。俺はだあの方がだまだ生きてるとだ信じてるだ。それはだ根拠でだ示せないだとは理解してもだ」とバッ戸は深呼吸し、こう言い放つ。「生きてるだ可能性をだ九割信じずしてだ何がだ学問だ!」
「言ってくれるなあ、バッ戸」
「だがああよ、俺もそれを賛成しいいいいよう」
「たまに良いこと言うねっと、バッ戸っさ」
「そうゆう訳で多数決でお前さんの意見は却下して貰うゾオ、レイデルヤァ」
 はあ、じゃあ捜索を続けよう--退くべき所を見極められるレイデル。
 食事を済ませた五名が先ず向かうのは純友洞窟出入り口。そう、銀河連合がその赤子を連れ去ったと思われる道筋。そこから何処へ辿ったのかを正確に図る事が出来れば自ずと進むべき道も見つかる。そうして五名はお日様の位置と月の位置を計測しながらその場所まで僅か二の日掛けて戻った。それから僅か一の日より後に銀河連合の道筋を特定。
 それは遠征部隊が最後に侵攻したあの恐るべき鳳凰堂山。その中でも足跡が途絶えた場所がよりにも依って南側。しかも崖下。五名はそこで足を止める。そう、彼らが上り切るべき高さは凡そ成人体型千を超す。仮に空中種族であろうともそこから侵入するのは危険性が高い。
『--ここに来て俺達は地の利がどれほど脅威なのかを理解する。特に俺達みたいな
頭脳労働者が生きてあの高さまで登り切れる訳がない。その前に気圧差の問題に依って
発生する諸々に阻まれるのが頭で理解出来る。仮にそれを除いても今度は銀河連合の
支配領域に依って俺達は生きて登り切るなんて可能じゃない。銀河連合が俺達五名に
苦戦する筈がない。ここまで地の利が救出作戦を大きく遠回りさせるなんて
思わなかったな。
 さあ、俺達はこのまま謀なき登山を開始するか? それとも別の道を進み、ここまで
辿り着くのか?』

 九十日午後一時七分四十一秒。
 場所は鳳凰堂山高度成人体型五百七十八南側。進んだのは遠回り。比較的危険の高い近道を進むくらいならそれより安全で確実な近道を進む方が得策。だが--
(折角だ逃げて来たがだ、ここにだ来てだ拠点型だの根っこだが俺達のだ行く手をだ遮るだ。それだけだじゃねえぞだ。それだけじゃあだ、ねえだ!)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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