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一兆年の夜 第六十七話 テンタウ 前篇(一)

 七十八日午前六時一分四十八秒。
「起きっか、この体たらっか!」齢二十九にして十の月と四日目に成る藤原鶏族の青年藤原コケ造はバッ戸を叩き起こす。「朝早いっからさっさと体を動っかせえー!」
「全くだ。飛蝗族はだ夜行性だから少し遅めだに起きたいんだ」
「何を根拠ない事を口にすっだよ」
「根拠だくらいここでだ--」
「朝からお前らは何をやってるんダカア」そこへ齢三十一にして五の月と六日目に成るルケラオス熊族の中年クマント・ベアーダが扉口に顔を入れて声を掛ける。「足は届くケドオ、体は入らんのだからさっさと作業着に着替えんカアイ」
「そう言えばおらはどうやってここに入っれたんだ?」
「そんなのはだ良いからださっさと出んかいだ、コケ造だ。飛蝗族はだ足先がだ器用じゃないからだ着替えるのがだ大変だ」
 バッ戸に言われたコケ造はさっさと飛蝗族専用の仮設民家から出てゆく。するとバッ戸は着替え始めた。彼の着替えは三十の分も掛ける。その理由は次のようにバッ戸は心の中で説明する。
(飛蝗族だの身体構造だは細長くだ、空をだ飛ぶ為のだ羽がだありだ、後ろ足がだ異様にだ長いだ。しかも足だではあるがだ、前足だ、中足だで物をだ掴まないとだ人族だみたいに器用な事だは出来ないだ。しかも前足だと中足だでもそれぞれ可動範囲だと言うのがだあってその平均だを取るとだ余計にだ手間取るだ。飛蝗族だに産まれてだ良くないとだ思えてだ来るよだ。生まれ変わるだなら手先だの器用なだ人族だか或はだ鬼族だにでも産まれてくればだ多少はだ楽がだ出来るだ)
 との事。泣き言を考えつつもバッ戸は急いで朝食場であるある仮設民家まで飛蝗族特有の低空飛行が可能な羽を広げて飛んでゆく。
『--食事する場所は何時も決まって俺達五名の中で最年長のクマントの仮設民家で
摂られる。そこではクマントは礼儀に者一倍五月蠅い生命で、常に神への感謝を籠めて
「戴きます」を絶対に言わないといけない。しかも箸を垂直に以って更にはお辞儀も徹底
する。種族に依って頭を下げられない場合は体を使えば良い。例えば蠍族なら持ち
上がった尻尾を少し下げるのも良い。それが出来るまで先程の「戴きます」は何度でも
やり直される。それだけクマントは礼儀には者一倍厳格な生命なのさ。
 それから御馳走を全て食するまで「御馳走様」も口に出来ない。食べ残しをクマントは
許容しない。余程の理由でもない限りはクマントは食べ残しを好まない。クマントに
とっては食べ残しは神への感謝が足りないと主張する程にそれと他には彼自身が食べ物
を食する幸せを何よりも大事にする生命であるが故に。更には「御馳走様」を口にする
場合も礼儀作法を厳格にやらないといけない。クマントの食に対する思いはそれだけ厳格
なのだよ。
 何時もクマントのせいで俺達は食事に掛ける時間を三十の分も掛けてしまう。あいつは
融通が利かな過ぎる。もう少し何とか成らないのか、そうゆう部分は。』

 午前八時三十分四十一秒。
 場所は純友洞窟西側出入り口前。
 全ての仮設民家を分解し、専用の荷台に積み戻した五名。そろそろ出発の時が来る。さて、ここで残り二名も紹介しよう。
「蘇我フク兵衛もこれを調べ上げれば多大なああある功績を残せえええただろう」と巻き舌な訛りなのは齢二十一にして四の月と十一日目に成る蘇我梟族の青年蘇我フク五郎。「その調査を綿密に行えええええいないのは年が残おおおおうるなあ」
「真古式神武にとって一大事な優央様の弟君であられる」と少し知的な物言いをするのは齢二十歳にして一の月と二十七日目に成る仁徳人族の青年レイデル・バルケミン。「名が未だ付けられておらぬ御方であるぞ。研究よりも奪還を最優先にしなくちゃあいけないなあ」
「俺達だ全員だ頭脳労働者だ。なのに中央はだよりにも依ってだそんな俺達だに肉体労働をだ強いてだ来たんだ。そこまでだ真古式神武だは落ちぶれたのかだ!」
「バッ戸の言う通りッチ。どないすんねった!」
「まあマアア、躯央様はそれを考えて今後の為に戦力の温存を進めておられるんジャア」
「戦力だの温存だって……烈闘様だの遠征だに依る資金繰りだは余りにもだ真古式神武だの痛手だと成ってますがだ」
「それデェモ温存は温存。ここを乗り越えずにして真古式神武の明日があるかっテエ!」
 話の線が脱けてるぞ、おっさん--とレイデルはツッコむ。
「オホおおうン、急いで大事な弟様の奪還を進めておかないとなああお」と話の線を戻すフク五郎。「この道筋に向かって誘拐した銀河連合は進んでえええいるという目撃情報がああああった。後は証言の裏側の確認をおおおうした所、それは証明さあああれた以上は俺達はここを通って更に道筋を算出してえええい進むのだあああ!」
「細かい事ハア兎も角としてモオ」唯一体を動かす事に躊躇いの無い雄クマントは己の欲求を語る。「烈闘様を死に至らしめた銀河連合の群れとはどんな奴らなのカア、楽しみだナア!」
「戦う為だじゃなく取り戻すのがだ第一目的だぞ、クマントのおっさんだ」
 そんなのわかってラア--とクマントは強がってみせる。
(クマントの奴はだ何時も通りだよなだ。何時も通りだなのは構わないがだ、問題がだあるんだ。その荒々しい感情がだ足枷羽枷だに成らないとだ良いんだけどだ)
 バッ戸はそれが心配の模様。だが、その考えは後程杞憂に終わる。クマントはバッ戸達が思ってるほど闘争本能の塊でない事が後程判明してゆく……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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