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一兆年の夜 第六十六話 烈の闘い 烈闘の最後篇(八)

 午後五時十八分二十六秒。
 場所は藤原道長地方。隠れた洞窟が開通される。そこは後に純友洞窟と呼ばれ、清麻呂の森以外で通る道として密かに伝わる事に。但し、その洞窟は大中臣地方から通る場合は問題はない。だが、道長地方より向かう場合は命の保証がない。どうゆう理由かは今の所明かされはしないが。
 さて、一番乗りで外へ出る生命はコウモレ・リックマン。彼は烈闘の言いつけを守って隠された陸路を発見して見せた。だが、彼の心はそれとは裏腹に悲しみで満たされる。
 そんな彼を励ますべく二番乗りで出て来るのはギャレイ出と背中に乗る妊娠一ヶ月目に入るであろう優希だった。
「貴方は良くやったわ。烈君は期待を込めていたんだわ。安全とは言えないけど、貴方だったら発見出来ると信じて!」
「ぢま烈闘様ほ帰らないんですや。えよ、言葉ご厳し過ぎますに」と反省しつつ次のように訂正するコウモレ。「烈闘様ほ前せこ向けないんど。意地わ張って生きる道わ模索してこなかっと!」
「マンマロートの死で余計に背中を見なくなったんだあああよ!」
「……行きましょう、ギャレイ出」
 何処ね行かれるんですこ、優希様--とこの入り口から入るのを何としても止めるべく羽を大きく広げて妨げに行くコウモレ!
「退きなさい、コウモレ・リックマン!」
「退きません、優希様」
「そんなにここから入るのを阻むんかああよ!」
「そうです。何故のろここころ入るた平衡感覚わ失い、気ご付くた足下わ掬われるようね地形ご形成されてるなです」
「それでも……それでも私は天同優希という名前に誇りを持って戻るのです!」
「それぢもお通しほしません!」
 意地でも優希の為に必死なコウモレ。ギャレイ出はどうしてかを尋ねる。様々に質問を変えながら。すると次のような答えが返ってきた。
「烈闘様ほ希望わ体現せち前ね進まれました。僕ほ烈闘様な言葉ね従ってもう一つな希望ぢある優希様たお腹なお子様ねほ生きて真古式神武な明日わ作って貰わないたいけないなです!」
「コウモレさん、貴方は……それを鵜呑みにしたのね」
「鵜呑みぢほありません。烈闘様わ信じるころかさその言葉ま信じられるなです!」
 ううう、雄ってどうしてみんなそんなに勝手気ままなのよ--と優希の瞳から涙が溢れる。
「ウワアアアアアん、優希様ああああん!」
「行きましょう、優希様。早く補給救出部隊ね連絡わ取ってかな先ぢ追われる仲間達な救助ね向かわないた助かる命ま助けられませんや」
 戦う生命と去る生命。これは一体どうゆう基準で決められるのか? 遠過ぎる過去に於いてもそれは全く見出せない。いや、見出す頃には既に手遅れなのだから……

 午後六時四十三分二十一秒。
 場所は鳳凰堂山標高成人体型六百六十五南側。
 そこで合流するは右前と右後ろの足を骨折し、流れる水に骨折部分を掛けるソフェラと齢十七にして一の月と四日目に成る藤原飛蝗族の少年藤原バッ戸。
「何何かしいら、坊やや?」
「生き残りだかだ? 会話だできるだという事だは本当だに生き残りだなのだなだ?」
「ええ、死にい損ねたわねわね」
「何だ、その血だで濡れた紙だはだ?」
「あらあら、写しいは既にい出来てるけど……それにい破けてるわねわね。全く全く学者の格じゃないいわわ、私ってって」
「どれどれだ?」バッ戸は入念に確認する。「これはだ八割方だ血だが覆っていてだもう無理だなだ」
「はあはあ、写しいしいか歴史的資料としいての参考にい成る物はないいねね。折角命を懸けてこいいつを手にい入れたのにい……烈闘様は本当にい報われないいわねね」
 いやだ、そうでもないだ--とそれに賛同しないバッ戸。
「どうしてどうして?」
「俺だはここだへ来ただのは旅者感覚だでしかないしなだ。だからだ、遠征部隊だの重要性だも良く知らないしだわかる筈もないだ。それでもだ、俺だはわかるだ。烈闘様達遠征部隊だがやって来た事だは決してだ意味だのない行為だではないだ!」
 そうそう、それで良いわわ--と何だか返す言葉が見つからずに呆れるソフェラ。
 さて、バッ戸だが……彼はここだけの生命ではない。後の話で主要な存在感を示してゆく。その話についてはこの話に集中する以上はまだ語るまい。

 午後六時四十七分一秒。
 場所は純友洞窟中間地点。
 そこで何かを観察するは齢二十にして三の月と十日目に成る蘇我梟族にしてフク兵衛の亜流の血を引く青年蘇我フク五郎は岩肌を観察する。
「ふむううふむうう、これが噂の大陸藤原の謎を解明すうううるに相応しい岩肌だな」
 あんた本当に亜流の雄なのか--とツッコミをするのは齢十九にして二十七日目に成る仁徳人族の少年レイデル・バルケミン。
「そうゆうお前こおおうそ岩の種類も知らんだろ、このバルケミンのおおう面なしよ」
「良いや何となくわかるんだよな、この良くわからない地図を頼りにしたらねえ」と龍脈地図の写しを既に持っていたレイデル。「この地図は地図研究を専門とする俺を唸らせる新発見物だ」
「ふううん、それで水の惑星の謎の解明に繋がる物かああ!」
「でも近付く筈さ。近付けるからこそ今度こそ俺の代でバルケミンは最後の瞬間を輝かせられる」
「いや、その前ええにレイデルの坊主」
「何だ?」
 まだまだ親戚がたくうううさん居るだろおおおう--とバルケミンはまだ家系として絶えない事を告げるフク五郎。
「それでも天同家と同じように長く続く家系は絶対存在しない。これは真理でね」と歴代のバルケミンらしく見通すような事を口にする。「万物始まりのある事象は何れ終わりが訪れる……俺の一族だって頑張っても後四百の年も続くか微妙だぞ」
「余り言いいいううではない、レイデルのおお坊主。蘇我フク兵衛の一族だってその時が訪れえええるまで精一杯何かを残そおおううとすううるんだ。俺達はその時まで抗あああい続けなければいかないぞおお」
 はあ、どうだろうな……始まりも終わりもない存在にも成れない俺達が幾ら足掻こうとも想像の海は必ず俺達をそこまで至らしめるからな--と更に何かを知ってるような口振りをするレイデル。
 さて、この二名も次の話で重要な役割を果たす。次の話を始める為の下準備として紹介した。
 では次からいよいよ天同烈闘の壮絶なる最後をお見せしよう。果たしてそれは我々の想像通りであるのか?

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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