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一兆年の夜 第六十六話 烈の闘い 烈闘の最後篇(七)

 午後一時十四分四十八秒。
 場所は拠点型銀河連合内部。
 数百もの百獣型が侵入者を見下ろす。侵入者の名前はヤマビコノシデノミチ。彼は折れ曲がった金棒を片手に並み居る百獣型と戦闘を仕掛けようとしていた。
「さあ、降りて来い!」命知らずなシデノミチは挑戦的な発破を掛ける。「俺端百体抜きだってやってやる鬼だから那!」
 その挑発に乗せられた百獣型の一番下段の列は一斉に襲い掛かる。彼らの動きは普通の生命では捉えるのが難しい。技量でも申し分ない。だが、それ以上にシデノミチの戦上手が光った--一体を折れ曲がった金棒で串刺しにするとそのまま振り回して一体又一体と入念に対応し、僅か一の分も経たない内に全滅させた!
「もう金棒端使い物似成らん。これから端肉弾戦出お前達於全て片付けてやる!」
 右拳を左手で覆い、骨を鳴らすシデノミチ。それから反対の手で同様の事も行い、奴らを挑発する。シデノミチは腕に自信があり、己がやられる未来が見えてないように映る。
 そんな彼の背後より静かに、音を立てずに接近する海中種族のような形をした銀河連合。それに気付かないシデノミチではない。だが、その動きを察知すると同時に二段目に下段の列に居る百獣型が一斉に降りて来た。初めて呆気に取られたシデノミチは武者が先ずやってはいけない行動をしてしまった!
 それは……目先の銀河連合に気を取られえる事--即ち、背後より現れた銀河連合はそのまま彼の左肩を抉り込むように喰らった!
「ウグアアアアアア、俺牙あああ……」
 シデノミチが目にする参謀型銀河連合……情報通り賢い行動を採る個体。そして心が揺れたシデノミチに向けて和の協力がまま成らない音を放って、眩暈を起こさせる。それからは降りてきた百獣型数十体に依る執拗なる捕食。シデノミチは確かに敗れた。だが、武者として最後まで戦った事と己を破った銀河連合に敬意を表して自ら喜んで喰われていった……

 午後二時零分四十二秒。
 最奥まで辿り着いた烈闘。既に倒した指揮官型の数は十三体目。六影包丁は後一回使えばもう一回斬っただけでは銀河連合を倒す事が不可能なまでに錆が進行する。
(今……シデノミチの喜びの声が聞こえた。あいつめ……力を認めていたのにあっさりと食われてよお)
 烈闘は確認こそしない物の、僅かな胸騒ぎ一つでシデノミチの死を感知。だが、シデノミチに悲しむ余裕はない。目の前に指揮官型に体が聳える以上は涙を流す暇はない。包丁を構えて対処するだけ。
「銀河連合……どうしてお前らは悲しみを広げるのが好きなんだ? 俺達は今でも理解出来ないんだ。お前らだって仲間が死んだら悲しい筈だ。悔しい筈だ。なのにどうしてお前達は平気で仲間を捨てる事が出来るんだ? どうしてそのような道を外した行為に染まる事が出来るんだ? 教えて……ウグ、危ないなあ!」銀河連合が会話に応じ擦る筈もない上に礼節を弁える事もしないのはわかっている……わかってても烈闘は全生命体の希望として説得を試みるのを躊躇わない。「ねーねを食べた時だってお前達はそんな事が出来るのか? シデノミチはお前達に敬意を表して食べられたんだぞ。理解するだろう、お前達がもともと一つの存在だったら理解……ウグ、話を聞けよお!」
 風を超える速度と更には会話をしてる相手に許しを取らずに襲う姿勢を持ち、尚且つ剛胆の舞と疾風の舞の両方を扱える指揮官型を相手に烈闘は薄皮一枚で何とか躱すしかない。
(はあはあ、それと空腹も関係してるよな。まあ二体同時に相手をするんだからこれくらいで愚痴を零す訳にはゆかないなあ)
 そう考えつつも肉体は戦いを学び、背後から攻める指揮官型が足を転ばすのを五感を駆使して確認すると素早く疾風の舞でそいつの左脇の付近まで接近。鎌鼬流に似た足運びで仰向けに転ばしに掛かると地面に到達する前に拾い上げて向こう側に居る指揮官型にぶつける--と同時に顔面に一突きで決めた!
「はあはあ、これで二体同時に……もう六影包丁は使い物に成らないな」包丁を手放した烈闘はこう吐き捨てる。「どうやらこれで俺の死は確定したな……大笑いしながら死んで行け、お前ら」
 烈闘は指揮官型二体の死体を右横に避けるように通るとそのまま心臓部のあると思われる黒き穴に向けて走り出した……

 午後三時零分十九秒。
 ようやく拠点型の心臓部に到達した烈闘。
(俺が見たまんまだな。ここから先をどうやって変えるかは楽しみだな。もう後戻りは出来ない俺でも少しは未来を変えられるんじゃないかって思えるんだよな。ねーねがそうして来たようにそれから死んでいったあいつらが、マンマロートがそうして来たように俺だってやれそうな気がするんだな。まあやってみなくちゃわからないが……いや、やろう。その為に俺は二十年も生きたんだ。総合年数に直すと何というか短い年月だが、それでもその短い年月で俺はこれだけ進んだ事を誇らしげに出来るんだぞ。未だ残る子供心が躍るじゃないか!)
 と考える烈闘を待たせない心臓型は数千もの指揮官型で烈闘を取り囲んだ!
「オイオイオイオイ、洒落に成らないな。せめて辞世の句を考える時間をくれ。お前らがくれるとは思わないけど」
 ところが指揮官型数千は動かない。代わりに指揮官型の中から顔を出す海中種族のような何かが飛び出し、和が協調されない音を放つ。その音に全身が抜けるような感覚に陥る烈闘。
(あいつが噂の参謀型銀河連合。何て心地良くない音だ。あんな音を考案するくらいならどうして言葉を実際に使おうとしないんだよ。そうすれば俺達は……俺達は!)
 だが、銀河連合は烈闘の思いを踏みにじる事には躊躇しない。指揮官型は一斉に包丁のような何かを投擲!
(目を瞑れ……そして俺自身を見極めるんだ!)
 その何かは一斉に衝突!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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