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一兆年の夜 第六十六話 烈の闘い 烈闘の最後篇(六)

 午後一時三分零秒。
 烈闘は指揮官型の猛攻を躱すので精一杯の状況。巧みに舞を駆使する事で紙一重の所で躱すも反撃に転じるにはまだまだ読みが甘い模様。
(シデノミチが居たら直ぐに反撃に転じて一撃なんだろうけど……それくらい俺はシデノミチを頼りたくなるんだよ)
 指揮官型の速度が烈闘より速いのは明白。風より速く動く上に何と三度も烈闘の背後を取って見せる程の機動力を披露。故に烈闘は先手を取れないでいた。
(会話術は通用しない。あいつに会話が通じたら始めからある生命は戦いという選択をしない。会話が通じないからこそ俺達は生き残る術として戦う道を選んだ。そこに……うぐ!)
 烈闘は突然、胸の痛みを患う。その隙を突いて指揮官型は唐竹割を敢行……が、心は静止しようとも肉体は生きる事を希望--やはり紙一重で寸での回避を見せるのだった!
「胸が痛む……俺達は気付かぬ内に胸の痛みを患っていたんだな。戦う選択をした時から」そう口にする烈闘は信じられない動きを見せて何と紙一重の回避と同時に逆さ唐竹割で指揮官型を一閃するではないか。「それがわかるとこんなに軽やかに成れるんだな……優希」
 妻の名前を口にする事で胸の痛みを少しだけ和らげる烈闘。どうして今に成って胸痛を患うのか? それは次のような考えだと考察する烈闘。
(戦う事を選択した時からじゃない。銀河連合を死なせる事をしてからこの胸の痛みは始まった。元々俺達の罪に死なせる罪はなかった。それも間接的ではなく直接的な話の罪は。だが、熊族の少年ベアール・真鍋が銀河連合を直接死なせた事からこれは始まったんだろうな。ずっとこれに苦しめられ続ける先祖達。気が付けばその痛みは気付かない物として処理されてゆく。けれども俺がこの痛みに気付いた時に思った。俺達はずっとこの錘を身に付けていたんだな。でも何処で気付くきっかけが出来た?
 ……そうだ、俺が独自の神々への呼びかけをした時に別の誰かが俺にその痛みを気付かせたんだ。あれは果たしてどれだけ明日の生命だ? 俺にこれだけの事が出来るなんてとても普通を越えている。いや、異常で片付ける程の能力じゃない。前に躯央くおうからある話を聞かされた事がある。どんな話かなんてもう忘れちまったな。
 まあ良い、大陸藤原を我が物にしたら改めて聞くとしようか)
 そこで考察を止めて足は動き出す……

 午後一時六分八秒。
 場所は拠点型銀河連合南側出入り口付近にて。
 全身傷だらけに成りながらも右手に折れ曲がった金棒を掲げるはシデノミチ。彼は指揮官型三体に取り囲まれ、一発も攻撃が当たらずに切り傷だけを増やしてゆく。
「全くすばしっこい奴らだ。俺於相手似三体掛かり斗端何処まで模臆した病似罹っておる那亜!」
 会話ダッテ最後まで聞く耳など持たない三体は勝手に喋るシデノミチを好機と踏んで切り刻む……いや、喋ってる筈なのに薄皮一枚の差で切り傷しか与えられない。それだけにシデノミチは三体の動きを既に見切っていた。
 真実である。その証拠に背後に居る一体が功を焦って最大速度で横薙ぎ斬りを敢行--と同時に奴の胴体は逆さくの字に折れ曲がったまま高さ成人体型四十まで飛ばされ……着地と同時にシデノミチの左足で首を踏んづけられ絶命!
「さあ残り端二体だ。噂乃参謀型端何処科なあ?」
 未だに力を持て余すシデノミチの前に形勢不利と見た二体は拠点型の中へと姿を消した。
「引き際於心得ている相手程やりにくい物端ない那。さあ、烈闘様端無事似拠点型乃心臓部於倒せますかな?」

 午後一時十分一秒。
 サイ電は二名もの無名なる犀族の少年に救出され、モノ気の無い場所まで運ばれた。二名は賢明な治療を試みるも……既に時は遅し。幸い、遺言を聞く時間は設けられた。
「どうして命の息吹がどんどんなくなっていくんだあい」
「ねえい、しっかりして下さあい!」
「はあはあい、二名に、告げらあい。ど、うか、生き残って、ク、く、れ、ァ、ぃ……」
 そこで藤原サイ電は二十一年もの短き生涯に幕を閉じた……
「うううう、うおおおおおおおおい!」
「無くない。お前は聞いただろい。僕達だけでも生きて真古式神武の未来を作り上げるんだい!」
 そうしてサイ電の遺志は少年二名に受け継がれてゆく……

 午後一時十一分四十七秒。
 顔色も蒼白く、今にも目を瞑りそうなエリフェルスはソフェラを背負って巨木から巨木へと跳んでゆく。彼は最後の命の炎を燃やしてでも銀河連合の追手が届かない場所まで彼女を運んでゆく!
「もうもう、良いいのよのよ!」
「良くなえい。良く、なぜえよう」
 そして最後の跳躍を果たし、枝に体を凭れた状態でエリフェルスは倒れる。その反動で思わず枝の下に落っこちて左後ろ足と左前脚を折るソフェラ。
「イデイデ、ハアハア……こんなの合理から外れるわわ。どうどうしいて毒が回っておきながらそこまで命を懸けてしいまうのよのよ!」
「はあはあ、毒が、毒が回り、過ぎて、るぜえい。だから、考える事、は、一つ、だけえよう」
「そんなのそんなの良き事の押しい売りいよよ。僅かな可能性でも……いや、それそれが私の主張する合理性よねよね」
「君に免じて、遺言ぜよう。何時か、かなら、ず、この大陸、を、我が、物に、して、くれえよう……」
 わかったわかったわ、エリフェルスさん--ソフェラはその遺言に従って骨折箇所を無理矢理接合してこの森から出る事を決意した!
 エリフェルスは確かに毒が元でこの世を去った。けれどもエリフェルスの遺志は若き炎であるソフェラが受け継ぎ、希望と成って水の惑星中を駆け回る事と成る……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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