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一兆年の夜 第六十六話 烈の闘い 烈闘の最後篇(五)

 午後零時十五分四十一秒。
 烈闘はシデノミチと共に百獣型十体を相手に手古摺る。その技量は一体辺りとれも通常の兵士達に任せられる強さではない。
「シデノミチよ、一名だけでいけるか?」
「俺於誰妥斗思ってる?」
「じゃあ任せたぞ」
 烈闘はこの戦場をシデノミチに任せて先に進んでゆく。それに対して百獣型十体中三体は烈闘をの所に向かおうとするも--
 俺於見ろ、銀河連合--と先頭を走る百獣型の真ん前に落下し、素早くその頭上に金棒を振るうシデノミチ!
 一撃で百獣型一体を仕留めるその鬼族の雄に残り九体は慎重な脚運びを見せる。基本は的確でシデノミチを囲うように進むも……まるでわざと囲んでると百獣型球体は思考する素振りを見せる程に。
「どうした? 俺端ここだぞ。今なら後頭部科羅齧り付く斗美味しいぞ」
 煽る事で九体に注意散漫な踏み込みを誘うシデノミチ。それに掛かり、シデノミチの正面と反対側に真っ直ぐ位置する二体が跳び込み、刹那の内に二体の頭部は大きく凹んだまま反対側に飛んで行った!
「後七体だな。烈闘様、どうやらそちら似向かえそう似ありませんね」
 これは遺言ではない。冷静に状況を判断して出した答えである。

 午後零時三十三分十一秒。
 ソフェラは全身傷だらけでここに来て今までの傷が全身に負担をかけ始める。既に四足歩行用雄略包丁は先端が欠け、錆び付き、鈍器の代わりにも成らない程にまで劣化。それでも百の獣の王を自称する獅子族の誇りと頭脳労働者を自称する並外れた知能指数を以て彼女は戦いを有利に進めてゆく。そう、次のような事を喋りながら。
「ウフフウフフ、私は私は骨だけで全身を支える支える。必要と必要な時にい全身の筋肉も活動させ、それから反撃の内にい相手を仕留めるわわ。百の百の獣の頂点を自称する獅子族を相手にいするのがどれほど無謀なのかを貴方達にい教えてあげるわわ」
 彼女は巨木を背にして襲い掛かる猿型、犬型、雉型計三の三乗を相手にする。しかも反撃の内に首根っこを噛み千切るのだから奴らも迂闊に突撃出来ない。故に望遠刀のような物や投石、それから折った枝の先端を尖らせて投擲するしか対処法はない。だが、ソフェラはそれらを巨木に凭れながら紙一重で躱すではないか。これは一体どうしたら可能なのか?
「これがこれが龍脈地図から見出した合理的な戦い方なのよなのよ。貴方達が貴方達が良くやる合理的で円滑にい事を運ばせる手段なのよよ」
 ソフェラは具体的な事を告げずに結果だけを口にする。そうして銀河連合を誘き寄せ、一撃で噛み千切ってゆく。だが、噛み千切るのにも対処法はある……それが首元に何か頑丈な物を身に付けておけば歯を二、三本ほど引っこ抜く程の事態に陥らせる事は可能である--実際にソフェラは十体目の首を噛み千切る時にそれが発生する。
「痛いわ痛いわわ。私の私の歯は雌の命なのにいにい。それをそれを折れた枝を何本も首にいき付けて送り込むなんて……死なせる事でしいか私達を倒せないいなんて何処まで哀れなのなの?」
 銀河連合は会話術を持たない。持たないが故に奴らは仲間を何体死なせようとも心が痛まない。正確には心など始めから持たない。持っていれば傷付く事を其処まで好まないのだから。故に心を養う会話術を持つ筈がない。
 ソフェラは銀河連合がどうして会話術を持たないのに互いに理解し合えるのかも考察。そこで彼女はある考えが浮かぶ。もしかするとここに居る彼らは贋作であり、本体は別に居るのではないか、と!
「へえへえ、だとしいたらだとしいたら卵から私達が育てても絶対にい私達のようにい心を持つ事が有りい得ずにい平気で傷付ける事が出来るのも納得が行くわねわね。そんな事そんな事考えてると私が命の危険にい晒されるわわ。もうもうこの歯じゃあ無理みいたいいだしいだしい」
 噛み付き出来ないなら自慢の尖った爪で頸動脈を狙うしかない。だがソフェラは獅子族が持つ身体能力に依る恩恵があっても部位に当てる技術はそこまで優れていない。それだけじゃなく、彼女の持つ尖った爪が使えるのは前右足だけ。他の足は全て動かすのも困難な程に傷付くのだから。そんな状態で頸動脈を狙うのだから詰みも良い所である。
 そうしてソフェラは覚悟を決め、両眼を閉じるのだった……
「御免御免、みんな--」

 午後零時四十二分六秒。
 エリフェルスは既に山羊族特有の山登りの技術で多数の銀河連合を蹴散らすしか道はなかった。既に包丁も望遠刀も使い物に成らない。肉弾戦でしか銀河連合を対処出来ない所まで追い詰められた。
「この巨木に登ってみたぜえい。だがよう、相手が私よりも一回り大きい熊型では木登りの面でもこちらが……登って来たぜえい!」
 目下に居る熊型は全部で四体。エリフェルスは巨木から巨木、更には三角飛びを駆使して逃げ回るしかない。当然、相手は熊型だけではない。熊型四体が木登りし始めた所で降りた時には後ろ左足を毒蛇型に噛まれて徐々に衰弱し出した。
「ウグ、このよおう!」咄嗟に頭部を反対の後ろ足で潰したが、既に回り始める。「ハアハア、毒は予想外でしたぜえい」
 エリフェルスは覚悟こそしたものの、徐々に追い詰められて死ぬ事までは覚悟しなかった。まさか一思いではなく、苦痛に依って死が近付こうとは今まで思いもしないのだから。
「まあそうゆう死に方も神様がお与えした物でしょうぜえい。ならば受け入れますよう」
 熊型が四体全て降りて来た時には既にエリフェルスはその内の正面一体に突っ走っていた--

 午後一時一分十秒。
 サイ電は既に限界が訪れる。頼れる部下十八名は既に銀河連合達の腹の中に居て、骨しか残らない。サイ電自身も右後ろ脚は既に骨が剥き出されて機動力も突進力も対した自信を持てない。
「僕の最後ですかあい。それならばこの角で一体だけでも仕留めていかないと全生命体の希望と呼ばれませんなあい」
 残りの三足だけで少しでも突進力を最大にするしかない。たったの一体とは囲い込む五十七体中真正面の河馬型。体格上互角なだけに僅かな部位を食われたサイ電にとっては不利。右後ろ脚が使えない以上はどう頑張っても河馬型に勝てない。身体能力と言うのは互角であればある程、五体がどれだけ無事かで勝負が決まる。それなのに河馬型を狙うのは相討ちに出来る自信があるからだろう。
「フウウウウウウウウウい……それじゃああい、死なば諸共オオオおおい!」
 サイ電は真っ直ぐ突進。河馬型は銀河連合なので一対一など関係なく隣の熊型と鹿型と共に決死のサイ電を追い詰めに掛かる--

 午後一時二分零秒。
 場所は拠点型南口。そこには全長成人体型二の人族の右手のような何かが奥を守る。
 烈闘は六影包丁を抜き、構える。
「お前がそこを通さんとするんだな。じゃあ押し通すぞ、良いな?」
 右手型は真っ直ぐ烈闘を握り潰さんと迫り来る--だが、一瞬にして右手型の背後に烈闘は立つ!
「どうだ、これが仙者の舞に近い天同斬弥の編み出した舞だ!」という言葉を出すと同時に烈闘の背後に居る右手型は縦一文字に分かたれた。「フウ、後二回……いや、後四回しか使えんな。相手が巨体過ぎて綺麗な太刀筋は実現出来ないな」
 そして烈闘はその奥を目指す……いや、彼を妨げるように指揮官型が風を切る速度で烈闘の首を刎ねん勢いで隠し腕による攻撃を繰り出す--間一髪の所で回避し、左手でおでこに溢れ出る冷や汗を拭う烈闘。
「現れたな、最強の銀河連合である指揮官型。相変わらず目で捉え切れない速さで出て来るよなあ」

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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