FC2ブログ

一兆年の夜 第六十六話 烈の闘い 烈闘の最後篇(四)

 午後四時五十七分三十八秒。
 場所は標高成人体型六百六十五。北と南の狭間。
 そこで休憩を摂る一行。その中でも烈闘だけは今も休まない。
(一の時休憩を摂らせると少数の救出小隊を編成して滝壺に落ちた数千もの兵を救出しなければ成らない。それだけでも有効だろう……それと同時に交代制で居残りの奴らにはここを見張って貰わないといけない)
 そこで烈闘は目を閉じようとする幹部級を呼び出して午後六の時に目覚めてから何をするべきかを伝えた。彼らはそれを聞いてそれぞれ議論を交わし出す。それに対して烈闘は進軍は明日の八時にすると伝える。つまり、今日はここで暖を取る。それから交代々々で監視しながら休息を摂らせる事で説得する。それでも聞き入れない幹部級の彼ら。その説得は二の時も掛かった。
(もう月の方角が……要するに今で六の時か或は七の時だな。新天神武にあるあの仕掛け物を持参すれば良かったかな?)
 遠征部隊は仕掛け物を扱う者が限りなく少ない為に従来の目視で時刻の確認を執る。その為に正確な時刻を烈闘達はわからない。

 四月三十六日午前一時五十七分四十八秒。
 眠りに就けない烈闘の下に襲撃の報せが届く。
(五十二名を滝壺の救出に向かわせてる時に……この睡魔は中々に厄介だな)
 と考えながらも六影包丁を左手に取り、襲撃する約四千八百もの銀河連合の軍勢と戦う烈闘。その余りにも好都合な時間帯の襲撃は普段ならば基本的動作で対応出来る兵士達が寝呆けも入り、開始から一の時と十一分も掛ける事に。しかも銀河連合の数が千を切った所で奴らは撤退。完全に意表を突かれる事態に……何故ならこの戦いでとうとう一万を切る手前まで兵の数を減らす事態と成ってしまった。
「僕達は何の為に戦ってるんだい」涙を流すは藤原サイ電。「もう食糧も其処を突きそうだあし、更には武器だってもう鈍器しか持たなあい」
「流石は流石は地図にい載る龍の流れる箇所ね箇所ね」と状況が芳しくないのに頭脳労働の結果、何か喜びを見出すソフェラ。「さあさあどっちが倒れるかが見物よ見物よ」
「止めるんだ、そうゆう考え似侵される乃端」そこに現れるは滝壺に落ちたシデノミチら生き残りの五十四名と救出小隊全員。「俺牙居たらこんな事似成らなかった斗言える乃科?」
「帰って来たか、シデノミチ。いや、居た所でここは銀河連合の支配する領域さ。どっちみちお前は都合良く帰って来ないだろうよ」
「大分参ってる那、烈闘様。ここ出身於引く科?」
「もう海路に通じる道まで届かない。届いても俺達は全滅だろう……そう一兆年の神々は仰る
「烈闘様は仙者であられますんから神様の声を直接聞く事が可能ですんね」とロージネスは語る。「だとするんといよいよ覚悟を決めるん時が来たな」
「いや、少し異なるな」
「如何異なりますんか?」
「いや、ロージネス。何だろうな。神々の中にどうも俺に良く似た誰かが伝えてたりもするんだな」
「その誰かとはもしや初代仙者の豪様、それとも歴代最強と知られるん生子様でしょうんか?」
「いや、豪様でも生子様でもない……いや、とーとやじーじ達とは違う何か。寧ろこれは遥か明日より来たりし誰かだよ」
 遥か明日より……ですんと--これにはロージネスだけでなく誰もが驚くしかない!
「兎に角、今は死んでいった者達を弔ってゆくぞ!」
 死んだ者達を弔うのは寧ろ当たり前。それが出来なければ銀河連合と同じように命の大切さも命よりも大事な者も理解出来ない存在へと成り果てる。それは死よりも恐ろしい事である。故に烈闘達は全生命体の希望として当たり前の事を遂行。それから進軍の時を早朝ではなく、昼を迎えた時に変更。少しでも弔う時間と休息を求めて!
(俺達に出来る事はそれだけだ。後はもう……いや、ここから先は希望撤退者を募ろう。これ以上の死者を出す訳にもゆくまい。俺は良いとしても帰りを待つ彼らだけでも……いや俺にも居たな。でももう遅い。ここへ足を踏み入れる前に幾らでも背を向ける事は出来たんだがな。マンマロートも死に、そしてマンマロート以外も死んでしまった。今更俺が後戻りしたらあいつらに叱られてしまうしな。済まないな、優希、優央、そして--)
 烈闘は第二子が雄で何という名前にしたのかを既に優希には伝えていた。その名前はもしも己が死んでしまった時を考えて己に因んだ名前にするよう彼女に頼んでいた。その名前はまだここで明かす訳にはいかない。

 午前九時五十七分四十八秒。
 烈闘はシデノミチから希望撤退者の名前が記された厚紙を手渡された。それに目を通した烈闘は直ぐ様招集するよう呼び掛ける。すると僅か三の分も掛からない内に彼らは傷だらけの肉体を晒しながら姿勢良く烈闘の前に姿を現した。それを見て烈闘はようやく演説を始める。
「フウ、ここに集まったのは他でもない。これからは俺と俺に付き従う者達だけで大陸藤原を我が物にするべく進軍を再開する。まだ最後の戦いは終わってない。この戦いだけが最後にしたくない為にも明日も生きたい者達を調べる為に希望撤退者を募った……すると全員そんな物は希望してない事がわかった。
 どうやらお前達は事の重大さを理解してないな。何も実現しないんだぞ、この数で並み居る銀河連合を蹴散らせると本気で考えてる大きな馬か鹿と違えた者達だな。本当に救い難いな。だったら仕方ないな……俺が死ぬまでお前ら全員突っ走ろうじゃないか!
 それがお前達望みなら俺はもう何も言わない。何を言ってもそれは理解出来ないと思ったからさ。なので俺はここまで連れてきた責任を取って死ぬまでお前達を引っ張ってゆくぞ……もう逃げたりするんじゃないぞ、お前ら。逃げるのなら俺が死んでからにするんだ!
 それがお前達が選んだ選択だ!」
 そう、あれは白紙。故に烈闘は誰一名として送り返す決断を執らなかった!
(こう成ったら俺は進んでゆくしかない。こいつらだって腹を括った。俺だけじゃない。だからこそ俺は胸の中で悲しみを抱く必要もなくなった。後は何処まで進むか……決まってる、大陸藤原を我が物にする為に俺達は駆け抜ける!)

 午後零時一分十一秒。
 場所は標高成人体型八百六十七。中間地点。そこにあるのは山と融合した拠点型銀河連合。それを守るは四ヵ所。
 その中でも南側を防衛するは指揮官型十体と百獣型二十八体。そして一万を超す銀河連合。
 一方の遠征部隊は一万しか居ない上に既に食糧の補給は底を尽き、更には武器も替えが一回しか許されない状態。烈闘は一の分もの間目を瞑る。
(さあ、始めようか。一兆年の神々よ……天よ、地よ、海よ、そして一兆年もの長き時よ!
 俺に何を知らせるか知らせるか……)
 それは従来の御呪いとは異なる烈闘自ら編み出した呼び掛け。すると烈闘の眼前に広がるは……仄暗き中で右手に何か先端の掛けた物を持って何処までも歩く蒼き光
(……良くわかったよ、じーじにねーね。俺は行くぞ、そして……その先まで俺は突き進むだけだ!)
 両眼を開いた烈闘は最後の号令を出し、命を使ってでも運命と共に突き進む!

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR