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一兆年の夜 第六十六話 烈の闘い 烈闘の最後篇(三)

 午前六時一分一秒。
 遂に最後の戦いに向けて遠征部隊の足は動き出す。向かう先は鳳凰堂山。標高成人体型最大で一万を越す未踏の山。そして銀河連合が死守しなくてはいけない要所。そこを突破する事が出来たら最早真古式神武は地上に於ける絶対的な地位を物とし、例え四十二の年より後に訪れる流れ星の嵐が来ようとも問題なく対処が可能と成る。
(問題は四万の軍勢で簡単に突破出来るかどうか、だろう。山である以上は赤い森だって有り得るし、後は大樹型銀河連合及び拠点型銀河連合の存在を無視出来ない。それでいながらも無数の百獣型及び指揮官型。それと新たに判明した参謀型の存在。そいつらの存在がある以上は頼れる仲間達で何処まで奴らを倒せるか、だろうな)
 烈闘は気付いていた。鳳凰堂山を突破する事は不可能であると。それでも亡き祖父と姉の言葉を忠実に果たす為に前に進むしかない。後退するのは己が死んだ後でも良い。己は死ぬまで後退はしないと。
「本当に行くの?」
「心配はない。お前らの為に海路だけは確保してやるからさ!」
「戻って来てね、約束だよ。死んだら私はあの世に逝ってでも烈君に謝らせてあげるから!」
「それは恐い話だな……でも子供はちゃんと産め!」
 誰だと思ってるのよ、優央やさおの母よ--根拠はないが、説得される一言であった。
「じゃあ俺達は行くぞ!」
「行ってらっしゃい」
「行ってくる、優希」
 これが夫婦の最後の会話に成ろうとは!
「良いのですうううか?」
「良いのよ、ギャレイ出。烈君はメラリマお姉様の約束を果たしに行くのよ」

 午前七時零分十三秒。
 場所は標高成人体型百五十南西側。木が生い茂る地点で大樹型は雑草型に依る奇襲を仕掛ける。
「無事か!」
「ギャレイ出乃居ない今端俺牙烈闘様乃御言葉於伝える番だ……依って戦闘乃狼煙於上げんかアアアア!」
 こうして最後の激闘に身を置く総勢四万もの軍勢。彼らは完全より程遠い情報を元に南西側の分厚い包囲網突破を目指してゆく。
「フフ龍脈地図の写しいはもう完了しいたしいた、存分にい存分にいあたしは戦うわねええ!」
「退け退けええい、銀河連合の雑草が如何したあい!」
「包丁はどれほど保つか知らないぜえい、根性は無限に保つでよう!」
「根性論はあくまで意気込みでしかない。俺達は情報を武器に考察し、それから的確に勝つ術を見つけてゆくんだ!」
 烈闘は都合は己が前に出れば殆ど無力化出来ると信じる故に最後の六影包丁を右手に迫りくる雑草型を刃毀れの起こさない綺麗な斬撃を以って仕留めてゆく!
(とか言ってる俺が一番力押しで向かってるじゃないか……いや、力押しじゃない。俺が前に出るのも又、勝つ術の一つさ。全生命体の希望の為ならば一兆年の神々に誇れるほどの礼節と勇猛果敢とそして優しさを武器に俺は導いてやる!)
 有言実行の名の下に薄い箇所を突っ込む事で皆を其処へと傾れ込ませる烈闘。今の彼は正に誰もが認める全生命体の希望その物と化す。皆が希み望まれる光と成って命を懸けてゆく!
(そうだ。俺がみんなを導けばその分だけみんな助かる。俺がみんなの助けに成ればその分だけ大陸藤原を我が物に出来るんだよ!)

 午前十時十五分零秒。
 場所は標高成人体型五百一西。このまま西に進むと海路を確保する事に成功する。
 そうすればより円滑に大陸藤原に攻め込む事が可能と成る。
 だが、西側へ向かえば最大標高成人体型線を越えるか越えないかの峠が立ちはだかる。その場合、問題と成るのは圧力差。高ければ高い程、調子を大きく狂わせてくる。それだけじゃない。標高が高いという事は即ち、空気が薄まる。より肌寒く成る。そう成れば寒さで倒れる兵士が続出する。
「烈闘様。本当似西側於真っ直ぐ進む乃です科?」
「何だ、休憩を摂りたいのか?」
「別似俺端このまま出模良い。だが俺以外乃小童共端直ぐくたばってしまう。しかも白い大地端より足下於掬われやすい。そこ似向けて銀河連合端攻めて来よう」
 そうなんだよなあ、マンマロートだったらこうゆう場合は更に北進するんだけどなあ--とマンマロートが居たらどうなるのか……を考えてしまう烈闘。
「いや、マンマロートはもう居ない。居ない生命を幾ら考えても意味なんてない」
「だろう余。俺端的確那助言端しないし、出来模せん」
 いや、しろよ--と武骨過ぎるシデノミチに呆れる烈闘。
(ここはマンマロートの考えではなく、俺自身で取り決める。そうだなあ……良し、俺はこのまま北進する!)
 成程、西進於諦めました那--とシデノミチはそれを全ての兵士に伝えた!

 午後零時二分三秒。
 場所は標高成人体型七百五十程。南と北の狭間。そこには滝が流れる。そして滝下に渡らないと北に進めない。だからとて別の道を進めばそれより遠回りする。
 遠回りは却って兵士の疲れを増大させる。故に滝下を渡る遠征部隊。そして空中類の銀河連合が一万襲来……戦闘開始。
「野郎、この地形で襲い掛かるとはな!」烈闘は反撃戦法を以って誘き寄せ、鞘を抜くと同時に隼型、燕型を一閃。「フウ、その後に鞘へと戻すのは中々出来る技術じゃないな」
「ウオオオオオオ、掛かって……おおおおう!」シデノミチは鷲型の頭部を叩き潰した際に勢い余って滝壺に落ちてゆく。「俺端ここ出死ぬ命出端ないぞおおお!」
「シデノミチイイ……てめえ、らあああ!」
 滝下に進む為に幅成人体型一にも満たない陸路を進むしかない。それは同時に銀河連合ではなく、鳳凰堂山の自然に依って多くの兵士達は命を落としてゆく事に。それだけではない。一万という軍勢は四万を切る遠征部隊を半数まで減らす事に繋がった!
(この戦いは四の時と十四の分も続いた。奴らが二百四十を切った所で撤退し、何とか収まったが……滝壺に落ちた奴らの安否をどう確認しろと言うんだ。特にシデノミチが落ちたのは痛い……まああいつはこの状況下でも死なんとは思うけどな)
 尚、シデノミチがそんな風に思われる理由は簡潔に纏めると人族が死に至る分量の出血をしようとも医者の所まで運ばれて僅か三の日の後に何事もなかったかのように軍の会議に出席するという荒業を成し遂げた所にある。
 兎も角、シデノミチの一時的な離脱は彼が再合流するまでに遠征部隊をより多く減らす原因にも繋がる手痛い物。烈闘もそれに気付いてるのか、こんな風に考える。
(兎に角、切の良い場所が見つかれば一旦休息を摂ろう。これにはあいつらを休ませるだけじゃなく、滝壺に落ちた数千名の救出作業にも繋がるしな。まあ全員無事ならそれで良いんだけど、神々は時として俺達に試練をお与え為さるからな。さて、どうした物か)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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