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一兆年の夜 第六十六話 烈の闘い 烈闘の最後篇(二)

 午後一時二分三十八秒。
 場所は鳳凰堂山南西登り口前。仮設民家を建てて激戦前にそれぞれ語り合う。これを提案したのは烈闘でも優希でもない。
「という訳でえええい、皆の者よおおおおう」齢三十にして六の月と二十九日目に成るエウク馬族の真島ギャレイ出はマンマロートに代わり、副司令を務める。「存分に思いのたけをぶつかり合えええい!」
「何だーよ真島がやーんのか」
「よりにも依ってギャレイ出のおっさんかいな?」
「ギャレイ出さんも競い相手が死んで辛いんだろうね」
「そりゃあギャレイ出としーいてはな」
 と元々マンマロートは烈闘に依る無茶な指令も効率化を図り、皆に伝えて来ただけにギャレイ出の頼みを聞き入れる程の土壌は出来ていない。ずっと優希の付き者として行動して来ただけあって命令を下す側に立つのは殆ど無い。それだけにギャレイ出の言う事に従う軍者は少ない。いや、訂正……居ないという表現が正しい。
「オイ、みんな!」そんな彼の言葉に威力を付ける者が一名。「何時までもマンマロートの死を引き摺ってる場合じゃないだろうが!」
「このこの声は……烈闘様様」と烈闘が威力付ける事に驚くのは齢十八にして二の月と十二日目に成るキュプロ獅子族の少女ソフェラ・レオルマン。「烈闘様が烈闘様が自らギャレイ出さんの言葉にい威力を乗せてくれますかますか」
「聞いた科、小童共!」と金棒を振り回して烈闘の言葉に重みを持たせようと掛かるは齢三十二にして四の月と二十六日目に成る六影鬼族の中年ヤマビコノシデノミチ。「烈闘様模お認め似成ったんだ、でない斗俺牙叩きのめすぞ!」
 いや、叩きのめしたら良くないだろ--と諫める烈闘。
「確かにそうだ。何を引き摺ってんだろう」
「そうです。マンマロートは死にました」
「それっでも俺達はまだまだ戦うんっだ!」
「鰐族の名を更にとどろかせるときに何を弱い事考えてたんがあ」
「こうゆう時こそ駱駝族の体力が物を言わすんじゃあ!」
 という声が隣から隣に伝わり、開始から既に半数以上も死に意気消沈気味な遠征部隊を元気づかせてゆく。
「鳳凰堂山と名付けられるん場所がどれだけ恐い所であろうんともな」と若干影が薄かった齢二十一にして十の月と十二日目に成るキュプロ栗鼠族の青年ロージネス・メデリエーコフは更に鼓舞させてゆく。「僕達が可能でないと誰が言えるん物かああ!」
「兄さんほ死んだごそれぢま」と齢二十九にして四の月と十三日目に成るクレイトス蝙蝠族の青年コウモレ・リックマンは後方待機であるにも拘らず鼓舞を後押しする。「兄さんほ進む事わ止めたりほしないざ!」
「命を懸けるとは良く言ったあい」齢二十一にして二の月と二十七日目に成る藤原犀族の青年藤原サイ電も更に後押しする。「この命尽き果てようとも僕は銀河連合には恐怖を与え返してやるぞい!」
「まあ今はそれぞれの思いの丈をぶつけあうのがギャレイ出さんが言いたい事でろう」と少々趣旨を思い出させようと進めるのは齢二十二にして六日目に成る武内山羊族の青年エリフェルス。「銀河連合打倒は明日起きた時に改めてやろう」
 みんなああああん--ギャレイ出は涙を浮かべる。
(これだよ。ねーねは最後の戦いの前もこうしてみんなを励ましたんだな。そして励ました後に覚悟の据わった者達と共に大陸藤原で果てたんだよな。良くわかったよ、ねーね。だが、俺は果てたりはしない。必ずや大陸藤原を我が物にする。命に懸けても、例え俺一名だけに成ったとしても!)
『--さて、ここから先は想像が記されてゆく。というのもここで日記は幕を閉じる。
これから先は空白が続くからな。どのような結果に成ったのかは俺にもわからない。
それでも俺は必ず大陸藤原を我が物にする。
 さて、想像を何行か記す。先ずは俺が並み居る参謀型を全て打ちのめしてゆく。次に
俺はみんなを庇うように銀河連合の曲がりくねった策に嵌り、絶体絶命の危機に陥る。
それから俺を救うようにギャレイ出達が駆け付けて命を燃やしてでも俺を助ける。
最後は命を賭して鳳凰堂山を制覇してゆく。それだけだ。
 さあ何処まで俺の想像が真実と成るかが楽しみだな。さあ、これで日記は幕を閉じる。
ここから先はありのままに真実を記してくれ。俺はもう関わりはしないからさ。
                                 天同烈闘より』

 四月三十五日午前三時十一分四十三秒。
 コウモレ・リックマンが眠る仮設民家を訪れるは烈闘。彼はコウモレだけを起こして自らの日記を渡すと次のような命令を下す。
「何ですこ、それほ!」
「お前らは必ず生きてこれを届けろ。良いか、清麻呂の森以外の陸路を発見しろ。そして全力を以ってそこを突破するのだ、良いな?」
「既ねお伝え申しましたようね海路以外ね陸路ほありません。それぢま戦線ころ離すおつもりですこ?」
 二言はない--とやはり無茶を撤回する気はない烈闘。
「わかりました。必ずよさな日記た現状わ伝え、救出部隊わ動員する事わ成し遂げて見せます」
「宜しく頼んだぞ、コウモレ!」
 烈闘は既にコウモレを始めとした後方部隊三千二百十四名を撤退させる準備を進めていた。
(後は優希やギャレイ出だけか。あいつらを含めた残りの死にたがり屋は何としても逃がしてやりたいがな。これ以上の死者は真古式神武を根底から覆す事態へと陥る。折角先祖である斬弥きるみ七弓なゆみが築いたと言っても過言ではないこの国が俺のせいでこれ以上の戦力保持が不可能の状態に成ったらそれこそ本末が転び倒される事態だろう。どうにかしてキリの良い場所であいつらだけでも逃がしてやりたいがな。キリの良い場所があれば……の話だが)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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