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一兆年の夜 第六十五話 烈の闘い 明かされる星の系図篇(後)

 四月二十九日午後五時十九分零秒。
 場所は真乙奈子平野。さっきまで遠征部隊に見せていた赤い大地は一瞬にして緑と雑草に溢れる緑の大地へと様変わりを果たした。それは同時に銀河連合にとって最も戦いやすい場へと作り変えてゆく。
(号令を出したのは良いけど、都合が支配する時こそ俺が前に出てみんなに示しを付けなければ良くないんだよ!)
「烈闘様……来マス!」
 雑草は突然、遠征部隊の足を絡め始める。正に己の領域に入った者達に罠を掛ける為の準備は万端で尚且つ、雑草という粘り強い型程に頑丈で柔らかくそして鋭い物はない。大樹型は兵力のほぼ数倍もの雑草型で彼らを喰らい始める。
「この雑草型め……俺がその攻撃でやられる生命だと」烈闘は持ち前の怪力で両足に絡め取った雑草型を振り払う。「思ったかあああ!」
「流石でぶね、烈闘様!」と齢二十四にして一の月と二日目に成るプロティ豚族の青年ザブルド・クロネッタは四足歩行用雄略包丁を両前足に取り付けて器用に雑草型を切り裂く。「僕は父さんと母さんに孝行しぶ大陸藤原を我が足で自由に耕せる事をここに証明すぶ為に来たんだあああ!」
「僕だって同じでありましょう」齢二十五にして六の月と十四日目に成る藤原燕族の青年藤原カエ洞爺は背中に背負った渡りの短い物部刃を翼持刀に仕込み、雑草型の届かない距離より慎重に放つ。「空中種族は飛べる分、反動の事も気にしよう繊細さも持ちましょう」
「それはつまらない悩みだなあい」と揶揄いながらも自慢の角で力押しに雑草型を仕留めてゆくは齢二十一にして二の月と二十二日目に成る藤原犀族の青年藤原サイ電。「ウオオオオオオアイ!」
「全くこれだから力押しの生命は好かんでろう」齢二十二にして一日目に成る武内山羊族の青年エリフェルスは華麗に舞い、巧みに四足歩行用望遠刀に物部刃を仕込んで優雅に仕留めてゆく。「まあ、これだけの数を相手に良く頑張ってますとほめておきましょうえい」
「フン、トウラアアア!」シデノミチは金棒で叩き潰してゆく。「数牙多い牙問題端ない那」
「クマ道が折角命を懸けたんダア。わいだっテエ!」クマ造は四足歩行用雄略包丁の先端が欠けようとも尚斬り続ける。「刃毀れなんかわいの熊族特有の力で押し切ってヤアル!」
「また物部刃が……でも補給が間に合わないわ!」
「こんな時こそわいがやるんでええすよおおう!」
 このように六万程まで減らされながらも遠征部隊の士気は衰える気配はない。けれども士気だけで勝てる程戦いは甘くない。その証拠に彼らの攻撃力は徐々に下がる一方。それは相対的に防御力も持久力も下げるに至る。
「ウグアアアア、とうとう左ガ……ソレデモ!」マンマロートは左腕が使い物に成らなくなったが……それでもカンガルー拳法に依り全身傷だらけでありながらも肩前足だけで無数の雑草型を拳一撃で沈めてゆく。「烈闘様と並ブ程ノ実力者だぞ、俺ダッテ!」
「マンマロート……この野郎が!」
 烈闘は誰よりもマンマロートが自分の為に道を開いてる事に気付き、大樹型に向かうよりも先に彼の方に足を向ける。
「来ては成リマセン、烈闘様!」
「馬か鹿な事言ってられるか、マンマロート!」と烈闘は使えなくなった左腕の代わりをするように右腕を首に回して肩代わりする。「これでカンガルー拳法の本領発揮だろ、マンマロート!」
「ウグ……烈闘様は本当ニ馬カ鹿ですね」
 何、肩前足だけで戦おうとするお前に比べたら善がりじゃないだろ--と烈闘は微笑みを見せる。
 とこのように一読すると悲劇が起こる余地は無さそうに見えるこの戦場……ところが大樹型が雑草が頼り種を出した事で事態は一変する。
「何か出してこられますが、このような……ブフウウ!」カエ洞爺を襲った銀河連合の意もしない打ち方。「種、にこん、な、あ」
「カエ洞爺さんが致命傷ぶ……うががががああ!」助太刀しに来たザブルドは致命傷こそ受けない物の両後ろ足に十五カ所ほど刺し傷を受ける。「このまぶじゃ、ああああ!」
「危ナアイ、カエ洞爺にザブルドおおお!」致命傷のカエ洞爺と機動力を殆ど無くしたザブルドに向かって来るに十八もの種より繰り出される鋭い触手攻撃を庇うようにクマ造は立つ。「あグアアアアアアアアア、ウガアアアア!」
「クマ造君が……受けるかえい、そんな攻撃をうえ!」
 エリフェルスが回避した八つもの種はそのまま軌道を変えて致命傷で後がないカエ洞爺に向かって飛んで来た--それを庇ったのは何とクマ造……そうこれに依り彼は仁王と呼ばれる神々と同じような姿で果てた!
「うぐぶ、クマ造君が、クマ造君ぶ、クマ造君が出来たのに……たかが後ろ足が使えなぶなったくらいで動けなぶ成ってどうすぶんだあああ!」
 ザブルドは前足だけで走り出し、クマ道と同じように彼らに道を示すように銀河連合の的代わりと成って果ててゆく……それを受けてずっと横たわったままのカエ洞爺は最後の力を振り絞って羽ばたく!
「烈闘、様、は、あちら、に、いま、しょう、か」
 二名の死を以ってしても防御網の突破に苦労する彼らに道を示す為に全ての空中種族が目指す光へと到達し、そのまま大樹型に風穴を開けたまま消滅--水の惑星で初めて神秘的な飛行法に辿り着いた藤原カエ洞爺……命の真理と呼べる光を放ったまま!
「有難う、クマ造、ザブルド、そしてカエ洞爺……俺達は真っ直ぐ進んでゆくぞおお!」
 だが、カエ洞爺の光の領域が放つ道標でさえもまだ届かない。烈闘は己の存在だけでは銀河連合に依る都合は突破出来ないと考え始める。
「クソウ、三名が命を懸けたのにこれでは--」
「いや、ここは俺が彼ラデモ足リナイ分を補いますよ」
「何を--」
 少し黙ってて下さいよ、烈闘様--そう言ってマンマロートは左肩が千切れやすくなるほど握り潰す。
「これで前ニ進メル……じゃあ教エテヤリマスヨ、全生命体の希望ガドレダケノ輝キヲ見せるのかを!」
 マンマロートは他の種族に見せない新たな歩法を披露し、雑草の網を右前脚に依る正蹴突きで烈闘の身体が入る程の風穴を開けた!
「今デス、烈闘様!」
「ああ、一気に駆け抜けるぞおお!」
 烈闘は疾風の舞・弥を繰り出してその中に入った……だが、足を止めたマンマロートは全身を貫かれる!
「どうだ……ってマンマロオオオオトオオオ!」
「今デス、行ッテ--」
 いや、最後くらい端言わせておかない斗奈亜--とシデノミチは優希とギャレイ出を連れてマンマロートを貫いた雑草型の群れを一掃した!
「遅イジャ、ナイカ」
「済まない、マンマロート……ムム、ここまで乃ようだな」
「シデノミチさんまで死ぬかも--」
「いやああああい、ここはシデノミチに任せよおおう!」
 とギャレイ出はマンマロートを加えて烈闘の所まで跳んで行った!

(とここまでが落下中に俺が思い出した今までのあらすじさ。それから俺は……どうやら真下に顔を向けると生き残った奴らが俺を受け止めようと構えてるじゃないか。全くまだまだねーねの所までは遠いか)
 こうして最後の戦いより前の激闘は終わりを告げ、次からいよいよ最後の戦いと成る山脈型銀河連合が待ち構える鳳凰堂山へと生き残った四万七千もの遠征部隊は突き進む……それが真古式神武が終わりを迎える第一の要因だと知らずに!

 ICイマジナリーセンチュリー二百五年四月三十日午前四時三分零秒。

 第六十五話 烈の闘い 明かされる星の系図篇 完

 第六十六話 烈の闘い 烈闘の最後篇 に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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