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一兆年の夜 第六十五話 烈の闘い 明かされる星の系図篇(六)

 午後四時四十七分十四秒。
 場所は大中臣地方乙奈子平野。そこは見える範囲全てが赤く染まる大地。まるで血で染まったかのような世界が広がる。
「烈闘様、これは何デショウ?」
「目に良くない土だな。一旦感触で確かめても一向に薄まる気配がない。一体この土は血の色で染まり過ぎてるだろうよ」
「あのあの、烈闘様」
「何だ、ソフェラ?」
「無暗無暗にい土を御触りいならないい方が良いいと思いいますます」
 お、そうだった--早速烈闘の右手は塩塗れに成る。
(言われてみるとこの土……後から碌でもない痛みが走り出すなあ。決して塩のせいじゃない。水分が抜けてゆくような感触じゃなく辛い物を食べた時に起こる痛みのそれに近いな。全く銀河連合はこんな所に……ンン?)
「ねえ、烈君?」
「優希も気付いたのか?」
 ええ、何だか背中越しにある森以外で銀河連合の気配が感じないような気がするよ--と感じた事を述べる優希。
「確かにその通りでえええすう」
「これはどうゆう意味か? マンマロートはどう考える?」
「それは見タマンマシカ信ジマセンヨ、烈闘様」
 だよな--とマンマロートらしい答えを聞いて少し安心する烈闘。
 一方で烈闘にはある何かが渦巻く。それは次のような考えが来る。
(一度何もかも我が物にしてしまったら俺は如何成るんだろう? 何もかも知ってしまい、思い通りに成ったら今度は俺達は何を求めるんだ? 今度は水の惑星の隅々まで目指すか? 深淵を目指すか? それとも空の全てを目指すか? それか星の外を目指すか?
 だとすると俺達はまたしても銀河連合のように際限なくなってしまう。俺達の中で渦巻くこの果てしない思いだけは止めたい。でないと俺達はその度に何かを捨ててしまうような……そんな生命に成ってしまうかも知れない。それじゃあ--)
「余り自分ヲ思イ詰めないで下さい、烈闘様」
 え、え、あ、ああ--マンマロートの言葉に依って我に返る烈闘。
「またマンマロートが烈闘を励ましてるわ」
「別に良いでしょうがあああい、優希様あああん」
「良くないよ。烈闘は私の物だからさ」
「いや、お互い我が物にしてると言えば良いじゃないか」
 まあ、落ち語りが上手いんだからあ--と何時の間にか優希も自然に和ませる話題を口にする。
(落ち語りねえ……本家本元はそれじゃないんだからさ。でもこれで助かる。少しは赤い土を触った時の浸透する痛みが癒えて助かるよ。有難うな、優希)
「口で言ってよ、烈闘」
「ああ……ところで」何をやるべきかを思い出した烈闘はマンマロートにこう尋ねる。「偵察隊からの報告は?」
「まだ帰ッテ来テマセンネ。まあ森を抜けて間もないのですから少シ感情ノ制御が利かないんでしょうね」
 余りにも遅い場合は別の部隊を行かせる--と万が一の考えにも抜かりはない烈闘。
「それで補給部隊と切り離されたけど、そこは如何するの?」
「この森を越えさせる訳にもゆかない。けれども海路の確保をする為にも先ずは足下を何とかしないとシャーク傭兵団だって如何にも成らんさ」
「海中種族との隔タリハ未ダニ解消されてませんからね。真古式神武モ新天神武モ」
 それが気に成るんだよな……よっし、じゃあ少し間食でもしようか--と烈闘は唐突にそんな指令を下した。
「烈闘の言う通りね。お腹が空くのは何よりも避けて通らないといけないもんね」
「ですが、烈闘様。補給救援部隊ヲ送レナイ現状で感触は余り戴けないと思いますが」
「それでも戦って死ぬ時にお腹を空かすのとお腹が満たされるのとどっちがより幸せだと思う?」
 その質問ハ流石ニ回りくどいですよ--と膨れ面を見せるマンマロート。
『--偵察隊は最も良くない想定から程遠い状態で戻って来た。それは喜ばしい限りさ。
でも報せは余り喜ばしくない。
 何故ならその報せは即ち、何処にも大樹型銀河連合も拠点型銀河連合も存在しない事を
報せる物。即ちもうこれ以上遠征する意味はないと耳に届けるような物だったな。それに
ついて俺はどう思ったら良いのかを迷う。あの森と同じように景色が揺らぐような気分に
陥る。折角俺も命を張るつもりでここまで来たのにどれだけで終わると知った時に
これから考えるのは何だ? 何かを失うような感覚に陥って当然の流れだろうに。
 さて、これで物語は終わりなのか? いや、まだまだ続く。いや、俺が続くと願ったが為に
大変な事が起こる予兆が今までの流れなのだからな』

 四月二十九日午前十時七分四十一秒。
 場所は乙奈子平野。報告の通り、この先には何もない。あるとすればそこには崖がある。その崖から向こう側には大陸があるかも知れない。だが、それがどんな大陸なのかを誰も知らない。
 一旦、休憩を取る遠征部隊。だが、肌で直接触れると痛みが走り出す土に触れる事が出来ない兵士達は何かを敷いて寝そべる以外にない。
(各仮設民家が傷んでる。何度も建てては折り畳んでゆく内に折り目が徐々に傷に変わりつつあるように……ンン?)
 仮設民家を建ててる時に空を見上げると何かが近付くのを確認した烈闘。それが何かを彼でなくとも気付いた生命は数知れず。彼らは直ぐ様、戦闘態勢の号令を出す!
「銀河連合め、雲にも成れるというのかああ!」
「まさかキッジェ・キシェールノ日記ニ記された事は本当だったのか!」
「どうゆう意味--」
「危ないデス、烈闘様アアア!」
 雲型は雨を降らすように上空より蜘蛛型を降下させる。その降下は正に急加速し、仮に地面に押し潰される事に成ろうとも並の生命ならそれだけで十分な破壊力に成る。
「何としても回避しろおおお……その身に少しでも受けたら全身がバラバラに成るぞおお!」
 雨は複数浴びようともそれ程の問題にも成らない。だが、雨粒より少しでも質量が高まれば別。何故なら雨粒の落下する高さは軽く成人体型凡そ二百七十以上もある。依って空気抵抗も含めて最速の落下速度で地上に激突。故に蜘蛛の質量でもそんな高さより落下するなら先に記した通り並の生命は頭に少しでも触れただけで即死は免れない。雨水とは訳が違うのだから。
 突然の銀河連合に依る降下特攻戦法に依り、遠征部隊は半分近くまで減らす事と成った……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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