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一兆年の夜 第六十五話 烈の闘い 明かされる星の系図篇(四)

 午後七時零分一秒。
 場所は第四の霧通称憤怒の霧。ここでは感情の制御が利かなくなるほど、酸素含有量が薄まる。
 即ち、眠気も発生する上に体を動かすと普段よりも多く体力を消費する。更には感情的に成りやすいなどここは精神面を狂わせるのに十分な霧。
「早まるナアヨ。俺が居ればこのくらいの銀河連合が相手でもこうしてこうしてこうしてやるゾオウ!」
 幸い、齢二十二にして一の月と五日目に成るゴルギ熊族の青年真鍋ベア道の奮闘もあって意外にもこの霧に於ける死者の数は少なめに収まる。
「ベア道が頑張ってる」
「だが、あいつは少シ精神面デ頑張り過ぎだろう。ここは何名かの兵士を寄越シテ守リモ考えて貰っておかないといけませんね」
「んん、あれはベア道の従弟のベア造か」
 マンマロートが送ったのは齢二十三にして十八日目に成るゴルギ熊族の真鍋ベア造。彼は少ししか年の離れないベア道を競い合い手だと思ってる困った雄。背後に隙の多いベア道の窮地を救うように左前脚に持つ四本足専用の雄略包丁を振るい、駆け付けた。
「余計なお世話ダア、ベア造!」
「ヘエイ、わいが駆け付けないと出血多量でひょっとしたら死んでたかもナア」
 包帯巻けば出血は止まるワア--とベア道は強がりを口にする。
(この霧は今までの霧と比べて突破するまでの距離が長い。おまけに足下をしっかり見ないと草花や根っこに足や翼を絡めてしまうしな。ここは俺達人族やマンマロートみたいなカンガルー族、それにシデノミチのような鬼族は普段から立って歩くから足下が見えないんだよな。全く大変な事だなあ)
 と距離に関する安心出来ない思いがありながらも意外にも少ない被害で突破した遠征部隊。

 午後十時零分四秒。
 場所は第五の霧と第四の霧の狭間。偵察隊に依ると既に月が高く上り、真夜中その物だと報告する。
 故に彼らはそこで仮設民家を建て始める。夜の戦いは却ってこちらの精神と体力を削ぎ落す為。
 烈闘は出来る限り見張りに任せつつも休まず周囲を見渡してゆく。すると優希が近付く。
「寝てろよ、優希。夜まで長い」
「いいえ、十四万も動員しておきながら第四の霧突破までに五千近くが命を落としましたよ。むざむざと寝るなんて誰が出来る物ですか!」
「それでもお腹の子に夜更かしは好まれないな」
「心配ないわ、烈君。この子はかなり強いわ」
 どうしてそう思う--と根拠が無さそうな自信を口にする優希に尋ねる烈闘。
「きっとこの子も仙者なのよ」
「当り前だろう。真古式神武建国のきっかけを作った斬弥きるみ七弓なゆみの子供達はみんな仙者として長生きする宿命に乗るんだ。なのにどうして君はこの子をそう呼ぶ?」
「何でだろうか? この子は何だか特別な運命を秘めてる気がするんだと私は思うの」
 特別な--烈闘はそれを聞いて何かを感じ取るように右手で優希のお腹を摩った。
「あら、蹴ったわ」
「本当だ……こいつは素晴らしい雄の子だぞ」
「雌の子じゃないのは悔しいわね」
「俺は悔しくないさ」
「全く烈君ったら」
 それは予言と成る。この子は銀河連合に依る執拗なる襲撃に遭っても右手でお腹を摩った時のように迷いなく蹴り込む仙者として成長してゆく。
(残りは後、嫉妬強欲高慢かあ。第五の霧は間違いなく嫉妬だろうな。でももう通用しないぞ、銀河連合!)
 烈闘……いや、烈闘達は肝心な事を忘れていた。まだここは銀河連合の支配下である事を!

 四月二十八日午前零時一分十一秒。
 場所は天同烈闘と優希が眠る仮設民家。
(何だ、この苦しみは!)
 烈闘だけじゃなく、優希も悶え出す。何が起こったのかを二名はわからない。わかるとしたら突然、ここにマンマロートとギャレイ出が駆け付けて来た!
「オオイ、目覚めて下サアアアアイ!」
「霧がこちらを包み込んでいまあああす!」
 だが、二名は悶え苦しむだけで目を覚まそうとしない!
「如何すんだああい、叩くのは罪深いでええええいす!」
 そんな事を考えてる場合ジャナイダロオオウ--とマンマロートは付き者としての思いと親友としての思いを乗せて右前脚で烈闘の左頬を強く殴った!
「ウグわあああああ……ハアハア」余りの痛みに跳び起きる烈闘は頭がまだ回らない様子。「あれ、あ……マンマロートか?」
「霧が……動キマシタ」
「霧が……そんな馬か鹿の話だろ!」
「いえ、動キマシタ。現に烈闘様と優希様は良くない夢ニ魘サレテルノガソノ証拠です」
「ウウウウ、あああああ烈くううううんん--」
「起きて下さああい、優希様ああん!」
「いや、寝かせておけ。それよりも銀河連合の……音が聞こえるぞ!」
「ギャレイ出ハ優希様ノ護衛をしっかりしろよ!」
 言われなくともしっかりやああるよ--と感情的な返事をしつつも既に優希を背中に乗せるギャレイ出。
「では包丁を持ったなあ、マンマロート!」
 それは烈闘様ガ言ワレル言葉であります--と本者に六影包丁を渡したマンマロート。
(考えが浅かった。銀河連合という存在は凍りだろうと水だろうと成れる事を)

(その戦いは嫉妬の霧が放つ深い眠りと精神に痛手を負わせる夢に依り、銀河連合への襲来に気付く間もなく食われて行った兵士達は多い。しかも憤怒の霧を少ない被害で越えたというのにその疲れも相待った形だ。まさか朝早くの目覚めに成るまでにここまで一万付近も帰らぬ生命と成るとはな。いや、まだこれは半分でしか過ぎない。嫉妬だけじゃない。強欲、そして高慢では更なる死者を出す事に。そこには彼らの姿もある)
『--七つの罪の名を持つ霧は大陸藤原により神秘性を産み落とす。それぞれ、俺達生命
が持つどうしようもない感情を具現化する。自然とは誠に生命溢れる姿をするよな。何時も
俺達の指針として神様は大変不思議な世界を作り上げてくれる。
 だからこそ俺はそれらが銀河連合に依って食事の一つとして良い方に使われてない事に
怒りを覚えるんだよ。神々にさえ敬意を払わないからこそ銀河連合は平気で俺達の命を
喰らう事が出来る。平気で七つの罪を行使出来る。平気で言葉すら覚えようとしないん
だよ。銀河連合は何も理解しないんだよ。
 それでも俺達が銀河連合を理解するにはどうしようもなく難しい道を進むしかない。
いい加減諦めるのも一つの手だが、それは血を流した先者達に申し訳が立たないって
言うだろう』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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