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一兆年の夜 第六十五話 烈の闘い 明かされる星の系図篇(三)

 午後二時零分一秒。
 第一の霧怠け者の霧という別称で呼ばれる範囲では嗅ぐと安楽な状態に成るとされ、その状態では生命は油を断つ。その隙を突いて銀河連合は奇襲を掛け、戦闘開始から三十四の分が経つ。その間に死者及び行方不明者の数は計三百二十名にまで膨れる。それでも烈闘が自ら前線に立って奮戦する事で士気を高め、四十一の分より後に第二の霧に突入する。
「なあ、マンマロート」
「七つの罪の説明ですか。全く勉強してませんね。良いですか、七つの罪は次の通りですね」
 マンマロートに依ると水の惑星に於ける罪は次の通り。先ずは第一の霧の由来にも成った怠惰。これは休息を越えた休息をする事で発生する状態。その罪を償う為にはやはり働くしかない。
 次が第二の霧の由来にも成る貪食。これは日に摂る食事の量を過剰にした事により発生する際限ない食事に依る状態。この罪を償うには少しずつ量を減らさないといけない。だが、接触などしよう物ならより多くの食事をするか或は過剰な食事制限へと至り、逆に罪深い状態に陥る。
 そして、色恋憤怒嫉妬強欲高慢と成る。

 午後三時五十八分四十三秒。
 場所は第二の霧通称貪食の霧。そこでは文字通り食欲が過剰に分泌され、欲張る軍者が後を絶たない。
 彼らは指揮官の命令を聞かずに突っ走り、銀河連合に食われてゆく。部下だけなら問題はない。問題は各部隊指揮官まで良くを操縦出来ずに余計な命令を下して要らぬ被害を出しているという点だろう。
「ええい、俺まで欲張ってしまうではないか。何とか成らんのかあ!」
「いけませんネ。俺達ノ命令ヲ聞いちゃくれねえなあ」
 お前まで食欲が満たされてないな--マンマロートを見て、この霧が放つ物は強大であると理解しながら呟く烈闘。
「兎に角、ここは一旦下がって--」
「いや、下がったら却って第一ノ霧ノ匂いを嗅がされて自体が余計に混乱すっぞ。ここは強気ニ出ネエト意味ねえだろうがあ!」
「どうしてだよ、マンマロート?」
「如何してもこうしてもてめえが背中ヲ見セナイトカ言ってるからだろうが、アア?」
 わかった、十分わかった--と烈闘は後で己の為に貪食に様変わりしたマンマロートに感謝の意を述べる。
「そこで喧嘩してる場合じゃないと言わざる負えないそうだろうな」と烈闘とマンマロートを発見したのは齢三十九にして六の月と十二日目に成る藤原鷲族の藤原ワシ男は二名の間に入った。「こんな時こそ二名は仲良くし、お互いを励まし合い励まし合わせる事にこそ意味が--」
 いかん……俺とした事ガ烈闘様ニ対して碌でもない口を利いてしまった--と我に返ったマンマロートは深く落ち込む。
「いや、お前のお蔭で俺はこの霧を抜ける方法が見つかったぞ」
「で、デモ俺ハ--」
「ごちゃごちゃ言う前に先ずは背中を見ずに勢いだけで行くぞおおお!」
 烈闘は初心に帰る。最初の心掛けはやはり真っ直ぐ迷わず突き進む事。徐々に頭脳の使い方を学ぶとそれが抜けてゆき、気が付けば理屈で行動してる事に気付く。それは確かに重要ではあるが、重要故に本来の己とは何処で始まったのかを抜け落ちてしまう。そこで烈闘は敢えて策も戦い方も覚えない戦法に戻って第二の霧を突破する事を決意する。
「皆の者、勢いのままに突破せよおおお!」
 但し、鼓舞する生命が先頭に立つ事で彼らの道標と成らねば単純な戦法は降下を発揮しない。気が付けば烈闘は自然と誰よりも先に立っていた!
(次が第三の霧か。それは何と呼ぶのか?)

 午後五時十一分六秒。
 場所は第三の霧通称色恋の霧。その香りはまるで進軍する軍者達の足を止める暖かな香り。
 いや異なる。その香りを吸った生命は明らかにその霧より外に出ると表情が豹変して苦しみ出す。これは一体何が起こってるのか?
(範囲は狭いが、これを大量に吸い過ぎると先へ進むのが安心出来ないと思ってしまう。先にマンマロート達を行かせて良かった。あいつらが外から俺達に知らせるお陰でこの霧の突破口も見えて来る……だが、吸わずに突破するには凡そ成人体型二十八を息継ぎせずに進むなんて出来ないな。特に最後の登りは心臓破りも良い所だぞ。その結果、少量でも吸ってしまい次の霧で待ち伏せしていた銀河連合の奇襲に為す術がないからな)
 烈闘は後方より怖がって進めない兵士達を進ませてゆく。その過程で優希とギャレイ出を発見。
「はあはあ、烈君」
「烈君じゃねえだろ。どうしてここまで駆け付けたんだよ!」
「だって私は烈君が心配だったのよ」
「お前という奴は……わかったよ。大陸藤原を我が物にする姿を最後まで見届けろよ、絶対にな!」
 ええ、勿論--第三の霧が放つ香りを大量に吸いながらも愛する夫や子供達の為に耐え抜く優希。
「素晴らしいよおおおう。大好きでええええうすよおお!」
「お前は黙ってろ……と言ってもこの森の中じゃあどうしようもないよなあ」
 と言いつつも烈闘の心の中で何か安心出来ない物が膨らみ出す。
(誰か居ないような気がする。これは何か碌でもない事が起こるぞ。只でさえここまでに凡そ千の兵士が運命を共にしてしまったんだぞ。なのに……いや、何も考えるな。俺は単純なのが取り柄だろう。躯央見たいに賢くないんだから只考えずに体を動かすべきだよ。只考えずに……俺の頭上を--)
 烈闘は振り返る……そこにはサーバル型銀河連合が真っ直ぐ優希の頭部を喰らわんと烈闘の頭上を越えてゆくではないか!
「間に合わ--」
 生かせませんと言ったら行かせま……せえええええあああああわ--ワシ男は上半身右半分をサーバル型に食われながらも優希とギャレイ出を死守!
「ハアハア今がその時だ、と、思い--」
「わかってるわ、ワシ男さん!」
 優希は望遠刀を構えて素早く物部刃を装填すると距離を取りながら僅か二の秒より後に放ち、サーバル型の心臓を貫いた!
「やった……じゃないけど」
「ワシ男オオオオ!」烈闘は駆け付ける。「……深過ぎるぞ!」
「どうですか、と思いまし、てね。ハハ、これが全生命体、の、希望、であったら、うれ、嬉しい、と--」
「だからわし訛りで喋るからすこしはああああん!」と号泣し、何とかサーバル型の死体から離して止血を試みるギャレイ出だったが。「死ぬなああや。幾ら年でもおおおう、死んじゃあああ良くなああい!」
「死なないで、ワシ男さん。死んだら--」
 全て、の、た、め、に、ぃ--と満足げな笑顔を見せながらこうしてワシ男は最後の言葉を告げた
 この世からあの世に旅立つ……この出血量と彼の満足げな笑顔を証明するにはそれ以外の言葉が見つからない。

(これはまだ俺の知ってる三名の内の一名にしか過ぎない。何故ならワシ男だけではないんだよ。ここを突破する為に死んでいった俺達の知る凄腕達ってのは)
『--ワシ男は大陸藤原で生き、軍者の頃からずっと大陸藤原が全生命体の所に戻って
来る事を願い、そして大陸藤原に於ける罪の場所で三十九の短き生涯に幕を閉じた。最後
まで大陸藤原の為に生きた雄の人生を銀河連合に笑う権利はない。彼の人生に報いる為
にも俺は大陸藤原を我が物にしようと心に誓ったんだがな。だがな』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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