FC2ブログ

一兆年の夜 第六十五話 烈の闘い 明かされる星の系図篇(二)

 二十六日午前三時三分十八秒。
 復旧作業を済ませた遠征部隊は進軍を再開。更には峡谷の全ての地質の調査も完了。それを踏まえて烈闘は次のような考えを浮かべる。
(調査の結果はこの先、崩落する危険性は薄い。その情報を信じよう。もしもこの情報が真でないならばそれは銀河連合が都合を使用した事に成る。そうなればこちらは予備戦力を出し惜しみせずに進軍するしかなくなる。出し惜しみしていれば達成出来る物も達成出来なく成る。それだけは避けなければいけないなあ)
 烈闘は考える。銀河連合は絶対にこの大陸を手放す事はしない。中間地点に迫れば自ずと都合を使って阻止しに掛かる事を。そこで己自身が前に出て少しでも都合の効果を止めないと大陸藤原を我が物には出来ない。
 その考えを理解してるのか、マンマロートは声を掛ける。
「烈闘様。くれぐれも自ラヲ大事ニシテ下さい」
「だが、俺が前に出ないと奴らは都合の力で奇跡を起こしてくるからな」
「奇跡……それで思い出しましたが、船ノ話ヲ御存知ですか?」
 いきなり何を話し出す--と烈闘は何故マンマロートがその話をするのかを尋ねる。
 実はマンマロートは思い出した。藤原大陸に足を踏み入れて少し時間が経った時に船の歴史について教わろうとしていた事に。ところが先に歪みが訪れた為に話す瞬間を失い、以来ずっとそれを取っておいた。話す瞬間が来たら改めて説明する為に。
「そう言えばそんな事を聞きに行ってたな。良く覚えてるよな……でもどうして今更それを説明するんだ?」
「奇跡について思イ出シマシタ。船に関する話では常に奇跡トイウ物ガ付き物であります。ある話では船を動かす鯨族の青年が突然襲イ掛カル海豚型銀河連合の群れ。それに依って後一歩デ死ニソウニ成った時に海底地震が彼らを巻き込みました。それは鯨族の青年と彼ガ操縦スル船に乗る生命達を死なせる勢いだったにも拘らず、船が壊れても乗組員ト青年含メテ全員生還を果たしたとの事。どうしてそのような奇跡ガ起コッタノカ? 実は者力式の船ニハ竜骨デ操縦する鯨族の青年を保護する役目を持っていた。偶然にもそれが海底地震に依って発生シタ嵐ノ中で青年を含めて乗組員全てを守る盾と成り、カルネアデス族の板ノ役割モ担った」
「いや、カルネアデス族の板は緊急避難の諺だぞ。そこで使う用法じゃないからな」
 ウグ、俺トシタ事ガ--とマンマロートは烈闘に異なりを指摘されて少し膨れっ面を見せる。
「話の続キヲシマスネ。それに対して今の水力式の船は速度の上昇や船ノ軽量化ヲ促す物の嵐に成った時の安全面では余り頼りがなく、奇跡ダッテ頼リニ成りません。現に新天神武のテオディダクトス大陸ニ於ケル調査隊が銀河連合の襲撃を受けた際には彼らの殆ドガ海デ散ったと聞きます。それだけに今後の船製作ニハ課題ガ付き物ですよ」
「でも水車以外の優れた船なんてある?」
「噂では風力で動かす船ガ開発サレタト聞きますけど……地域差ガ激シイデショウネ、仮に稼働シテモ」
「そんなに風の力は信頼されないのか?」
「風力は安定した地域デナイト発揮サレマセンノデ」
 船を始めとした動力機関はまだまだ課題が山積みである。そんな事を話し合いながら烈闘率いる遠征部隊は僅か十六の時を掛けて無事に峡谷を抜け、未だ未開とされる大中臣地方へと入ってゆく。

(そこは俺が最後に到達した激戦の地方。これから伝えるであろう事は即ち、予備戦力を主力に切り替えてまで押し切らないと突破出来ない数々の困難。そして銀河連合と化した清麻呂の森。そこでどれだけの生命が森に食われたのかは定かじゃない。それだけじゃない。ここであいつが命を賭して俺達を進ませなければ……俺はここで命を落としていたであろう。あいつとはこれから語ってゆく)
『--誰かがここを大中臣地方と名付けたのかは定かじゃない。真正神武の頃に無名の
学者が名付けたのかも知れない。だが、清麻呂の森は同行した無名の学者が名付けた。
如何ゆう基準で名付けるのかは昔も今も謎だ。気が付けば俺達生命は理由もなくそう
名付ける事が多い。
 おっとその話を先にしとこう。脱線するのはどの生命でも良くある筈だ。特に文章作り
も他の生命とお喋りが苦手な生命にはよくある話さ。俺なんかその典型例じゃないか。常
に格好付けた言葉を記したく成ってな。
 それじゃあ先にこの話題から片付けるとある土地や大陸を名付ける時に何故か片仮名
で何か偉そうな名前を付けるのを御存知だろ。どうしてなのかを尋ねられると俺
じゃなくても躯央だって明確な答えが出ない。気が付いたらそうゆう名称を付けてると
いうのが大半の学者及び研究者の総意らしい。ではどうしてここ大陸藤原や蘇我大陸、
それから新天神武領である物部大陸は片仮名じゃないのか? その疑問に誰も
答えられない。答える事が出来たら俺達の名前の謎の解明にも役立つそうだがな。もう
この話題はここまでにしよう。
 話題を戻して清麻呂の森は偵察隊でさえも迂闊に近づくのが難しい森だそうだ。しかも
ここを通らないと陸上種族は危険な崖を綱渡りするくらいに遠回りしてしまうからな。
しかも銀河連合の都合がいつ来るかもわからないというのに遠回りなどすれば余計に
軍者を死なせてしまうからな。なので俺達は真っ直ぐここを通過しないといけない。まだ
見ぬ森の謎を解明する為に』

 二十七日午後一時四分十八秒。
 場所は大中臣地方清麻呂の森第一の霧。後の日記に依ると全部で七つの霧で守られる森。偵察隊さえ遭難してしまうそうなためにまともな調査も果たせずに突入。その霧はまるで七つの罪を表すかのようだと生き残ったある軍者は語る。そして第一の霧は怠け者の霧と呼ばれ、その霧は視覚だけではなく嗅覚で生命に安楽を齎してゆく。だが、その安楽は時として油を断つ事を招いてゆく。そう、銀河連合に依る奇襲を避けられずに多くの軍者達は食われてゆく。
(この匂いは危険だ。まるでまーまに包まれるかのように。優希を連れて来なくて良かったよ。きっと俺はお腹の子も含めて彼女を死なせていただろう)
 と烈闘は思っているが、実は既に優希は戦闘に参加していた……齢三十にして六の月と二十五日目に成るエウク馬族の中年真島ギャレイ出と一緒に。そう、とある人族兵士と馬族兵士と入れ替わるようにしてやって来たのである。
「何だかいい気分に成ってきまアアス!」
「良くないわ、ギャレイ出。これは隙を作る為の匂いよ。だから頑張って抑え込みなさい!」

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR