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一兆年の夜 第六十五話 烈の闘い 明かされる星の系図篇(一)

 ICイマジナリーセンチュリー二百五年四月二十四日午前九時一分三秒。

 場所は真古式神武大陸藤原藤原道長地方中臣峡谷。
 そこで齢二十にして十四日目に成る神武人族の青年天同烈闘は昨日の洞窟調査で死んでしまったコウモラ・リックマンに対する黙祷を捧げた後に進軍の再開を告げる。つまり、烈闘は洞窟で見たあの光景を兵士達に伝えなかった。いや、以下の理由で伝える事を躊躇った。
(神々への思いを打ち砕かれるのはどうしても出来ない。俺は何も知らなくて良い事は知らなくて良いと思ってる。昨日俺達十名があの神々は何の為にそこにあり、そこで何の機能もせずに果てたのかを考えればあれをそのまま真に受けて余計な解釈をされるよりかは伝えずに静かに眠らせる方が余程良いに決まってる)
 進軍中烈闘は己にそう言い聞かせる。そう言い聞かせないとあの光景から目を背ける事が出来ない。己の頭脳でもどうする事も出来なかったあの光景。いや、己よりも遥かに知能が優れる筈の齢十八にして二の月と二日目に成るキュプロ獅子族のソフェラ・レオルマンでさえもそれを上手く解釈が出来ないと主張する程である。
(一歩でも解釈を違えると子孫達に勘が違えた情報を与える事に成ってしまう。そんなのは先祖と呼ばれるであろう俺達のするべき事ではない。俺達先祖に成ってゆく生命が果たすべきなのはそこで子孫に誇れるような生き様を見せるしかないんだな。例えそれが惨めであろうとも)
 そう考えた後に右隣で行進する齢二十七にして九の月と二十二日目に成るルギアスカンガルー族の青年に残り三通の手紙について教える。
「そうデスカ。三通目の手紙は二つノ国ヲ併せ持つ事に依る問題点についてですか」
「ああ、そうだ。あいつに依るとその問題は真正神武の文化財や風習を復元する度に起こったんだ。それも古式神武では余り感心しない事をどうして取り入れようとするのか。それに依って首都タイガーフェスティと六影府の間で意見の対立が巻き起こって大変だとさ……だから遠征が終わったら直ぐ戻るよう躯央くおうは訴えてるんだよ」
「そうデスカ。けれども烈闘様、もう言ッタ後ジャナイデスカ。その発言を今直ぐ撤回して急遽六影府マデ戻ルトイウノハ如何でしょう?」
 それは出来ん相談だ--と烈闘は一度決めた方針を曲げたりしない様子。
「一度決めたら曲ゲナイト決メテシマイマシタネ……メラリマ様ト同じく。では話を手紙に戻しまして四通目ノ方ハ読まれましたか?」
「それは次の通りだよ」
 四通目及び五通目の手紙については次の通り。四通目はいわゆる遠征部隊に出した軍事費は膨大であり、仮に大陸藤原を銀河連合の手から解放してもその土地は暫く浄化作業を行わなければならず、更には維持費だけでも年間に掛かる費用は尋常ではない。故に数十の年で取り返せる物ではないという躯央からの釘が入る。更に問題なのは大陸藤原が何処まで広がるかについての資産が不透明であり、余計に躯央は一度帰還するよう求めて来るのも無理はなかった。
 最後の手紙は簡潔に表される。それは後継ぎの為にも齢十九にして九の月と二十二日目に成る神武人族の少女にして烈闘の妻である優希を六影府に帰還させるようお願いしてるとの事。それについては何度も優希に勧めるも彼女も又、一度宣言した事を絶対に覆さない為に諦めるしかないとの事。
「困リマシタネ。そこまで財政ガ逼迫されていたなんて」
「躯央だって苦しんでるんだ。それでも俺はねーねと同じく全生命体の希望として命を懸けるんだ。なのでここは……おや?」
 烈闘は何かの気配を感じ取る。と同時に左手を上げて足を止め、戦闘態勢に入るよう無言で伝える!
「烈闘様、この峡谷に於イテハ上ノ方ばかり気を摂られますが……その考えこそが銀河連合の付け入る隙ダト俺ハ思います」
 全軍……地面を狙ええええ--マンマロートの言葉に従い、烈闘は上からの気配は囮だと気付きながら本当の狙いだけを叫んだ!
 その叫びもあって十一万の戦力の大多数は其方に目が届き、何とか銀河連合に依る大胆な奇襲を防ぐ事が出来た。だが、この奇襲に依って地盤は大きく崩れ、空中種族でない生命は殆ど崩落に巻き込まれておよそ一割もの生命は命を落とし、二割もの生命が重軽傷及び行方不明と成った。
「峡谷の戦いヲ侮ッテしまいましたね。これだけの生命ガ命ヲ落としてしまうなんて!」
「奴ら端初め科羅対策於採られる事さえ計算似」と悔しそうな言葉を口にするは齢三十二にして四の月と十六日目に成る六影鬼族の中年ヤマビコノシデノミチ。「空乃囮出わしら乃目先於上似向けて地面科羅襲い掛かる事出数於減らす戦法科斗思ったぞ。実端峡谷斗いう環境於利用して予め地盤於弱くした状態出地面似攻撃して。それからわしら乃足場於崩して力乃ある陸上種族於減らす手段だ斗端のう、悔しいぞ!」
「二段仕込みとは中々宜しくない考エヲ思イ付くなあ」
「これで暫くは進軍出来なくなった。ここまでを偵察隊に調べておいたのに……地質調査を怠ったせいでこのような事を招いてしまった」
 と烈闘を始めとする軍者達は悔しさと悲しみで一杯だった。
(行方不明者の捜索は補給戦力に任せ、予備戦力の六割をこちらに回して数を補うとしよう。それから峡谷より先の調査も済ませておこうか。そうしないと今回みたいな惨事を招く。銀河連合は大陸藤原を我が物にしてどれだけの年月を経てるかわからない。進めば進むほど俺達の想像もつかない事態は巻き起こる。調査を幾らした所でどうしようもないと理解しても調査が意味ないと考えたくもない。努力を砕くような考えは先祖達の流した血を意味ない物に変えてしまう。だからこそ俺は基本だけは最後までやらなければ大陸藤原を我が物にするという悲願を達成出来ないんだよ!)
『--とこのように徐々に俺の中で躯央が手紙に記した諫め言葉に耳を傾けたくなる事態
が起こりつつある。恐らく奴らは都合を使い始めたんだろう。あれだけ偵察隊の、いや
情報の重要性を知る俺達がこのような手際の不十分さを招くなんてな。銀河連合にとって
俺達を如何にして苦しませるかを理解した存在は居ない。そうするしか俺達が屈して
大人しく食糧に成る事を願ってる存在は居ない。
 だが俺達は銀河連合の好き勝手な存在に成る事を断る。了承すらしない。それは先祖達
への顔向けをせずにただ生きてないような心で生き抜けと主張するような物だ。それで
よく全生命体の希望と誇れる? それは望みを絶やす心の表れだろう。俺達はその先に
希望があると信じて真っ直ぐ進んでいけるのだよ。先祖達もこれから生まれてくる希望
溢れる子孫達だって前に向かって進むのさ。
 だからこそ俺はたった一名だけに成ろうとも後ろに下がる事をしない。済まないが、
躯央よ。俺はじーじぃとねーねの約束を果たす為に大陸藤原を我が物にするまでは振り
返る事はしない。そもそもこの日記が水の惑星中に送り届けられる頃には既に大陸藤原
を我が物にしてるのさ。そうだろう』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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