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一兆年の夜 第六十四話 烈の闘い 藤原大陸の謎篇(四)

『--その戦いは熾烈を極めた。俺達は最初、大陸藤原に居る銀河連合達は百獣型或は
指揮官型が主力でそれ以外は個々の戦力で真っ向からぶつかればやられる可能性は
少ないと思っていた。だが、奴らはその個々の戦力とやらの強い所からそうでない所まで
把握していたなんて。送り込んで来たのは混合蜻蛉型。しかも羽の脆さを鳩型の部位を
付け加える事で事実上突進力特化に貢献させた。しかも命を投げ捨てるような事を平気で
やってのける銀河連合に依って第十八防御網までに凡そ五分の戦力が命を落として
しまった。
 銀河連合というのは真っ直ぐではない戦法を取るのを知ってはいてもまさか俺達が良く
使う捨て身に近い行動も執れるなんて……いや、一緒じゃない。俺達の場合は全生命体
が健やかにそして安定した生活が出来るようにする為に俺達戦う士族が命を使って明日を
切り開いていく。だが、銀河連合の場合はそれがない。常に今しか見てない。自分達の
欲望の為すがままに理由もなく力を振るい、俺達生命の心を平気で踏みつけ、そして
喰らってしまう。そんな奴らが真っすぐを信条とする俺達と一緒な筈がない。混合型を
生み出せるのも全ては奴等が今しか見てない為だ。そんなのは良くない捨て身だ。
 さて、今日はここまでにしよう。死んでいった者達の為にも続きは余裕が持てる時に
記しておこう。藤原大陸はまだまだ広大だからな』

 四月二十三日午前零時四分七秒。
 場所は中臣峡谷。第十八防護網の先にある銀河連合の住処の内の一つ。
 烈闘の姉メラリマは出血多量であろうとも個々の突破を図ろうとした。だが、既に足を踏み出す力は残ってない。気力のみで体を動かそうとするもそれが叶わずに彼女は前のめりするように倒れ、肘まで切断された左手を突き出して想念の海に旅立った。その死にざまを目撃する生命が一名……それは真古式神武大陸藤原の頼通道を担当する現地兵。齢三十九にして六の月と八日目に成る藤原鷲族の老年藤原ワシ男その者。彼は上昇志向さえなく、只ひたすらに産まれて来た大地で暮らす生真面目な生命。現地兵としてここに留まるのも全ては郷土愛溢れる為。出世すれば愛する土地を離れてしまう為に彼は余り活躍せずに常に爪を隠す事で郷土にしがみ付く事が出来た。そんな雄の前に烈闘は背後より声を掛ける。
「何でありますのやら。さては烈闘様にもお考えがあっていやかんがえなくてもわかるはずでしょうかどうか--」
「済まないが、ワシ男。回りくどい訛りのせいで俺でも何を聞かれてるのかわからないな」
「申し訳ありませんと言えば良いのでしょうか、烈闘様。普段からこの回りくどくもそうでないかも知れない訛りにはずっと苦労されて来たのでありますのでどうか御堪忍下さるなら嬉しいかどうかと」
「要するに『申し訳ありません、烈闘様。普段から己の訛りに苦労してます。ですが、どうかご勘弁ください』で良いんだよな?」
 おお、苦労シテマスナア--そこにまんまロートがやって来る。
「良い所に来た、マンマロート。翻訳を頼む」
「そうか、鷲族の回リクドイ訛リニ困っていましたか。良イデショウ」
「有難い事この上なくと思いまするか。どうか宜しくお願いしても満足出来ないなんて事はないかと」
「オホン、ではやるぞ……やるんだからな」
 ここから先はワシ男が言った言葉は全てマンマロートの言葉から発せられるようにする。そうする事で会話の効率化を図ってゆく。
「何々、『この訛りも藤原大陸に留まりたいと強く願わせます』ダトカ」
「他にもあるんだろう。例えばねーね……つまりメラリマねーねの事もあってそれを忘れない為、だったりしてな」
「フムフム……『メラリマ様の死は今でも私の目に焼き付けます。彼女が居たからこそ今回では少ない犠牲で済みました……あ、申し訳ありません。少ないと言えども今までも含めてやはり私達は彼らを死なせて言ってるんですね。メラリマ様も含めて私は何と罪深いか。そんな雄がどうして出世など出来るか!』トナ。気持ちはわかるが、余リ気負うなよ……これは俺ノ意見だ。烈闘様ノ意見ハ如何為さいますか?」
「メラリマねーねが生きていたら『何を格好付けてるのよ。あんたの力くらいで流れが変わるなら今頃は最初の流れ星が落ちた時点であたい達はとっくに解決してるっての。死んでいったみんなは全生命体の希望として命を使ったんだよ。それを言ったら彼らに対してもっと罪深くそしてもっと悔いを感じてしまうんだからさあ』と言いそうだな。多分、言う」
「何々……『言いそうですね。メラリマ様は常に無茶苦茶な程前向きな御方ですから。きっとそんな風に私を励ましてくれるでしょうね。まさかその弟であられる烈闘様に代弁されるとは。やはり兄弟ですね。揃って全生命体の希望として輝いておられますね』ト」
「またねーねと比較されたな。比較される時点で俺はまだまだ彼女に遠く及ばないな」
「それはナイデスネ、烈闘様!」
 オイ、翻訳に専念するんじゃなかったのか--とマンマロートが突然、反論した事に烈闘は驚きを隠せない。
「今は俺が喋ってる時ダカラ藤原殿ハ黙っててくれないか? えっと……今回の戦いで思い知りましたよ。まさか混合蜻蛉型の特攻に対シテ拳一つデ沈黙させるなんて。あれはシデノミチガ出来る芸当ダト思ったらまさか貴方様マデ同様ノ事を為し遂げるなんてね。そのお蔭で士気ハ下がる事ナク凡そ五分とは言え、それだけデ済みました。それだけっていう言葉ハ少シ容赦ヲ知らないと己でも存じておりますが」
「それでもねーねと比較されるんだ。ねーねを越える為にはやはり藤原大陸を我が物にする事が目標さ。その為にも命を使う。それが全生命体の希望の務めだ!」
「えっと……『烈闘様。それは時として銀河連合と同じく制御出来ない存在に成り果てますぞ。力というのは何でも叶えてしまう分、使い道を少しでも違えばそれこそ取り返しがつかなくなります』かあ、俺モ意見ハ同じですよ」
「それでもベアールは戦いでしか銀河連合と分かり合えない事を命を懸けて教えてくれたんだ。それを今更対話に戻そうなんてどうかしてるだろ。ベアールの思いを踏みにじる訳にはゆかない!」
 でしょうね、烈闘様--と烈闘に迷いがない事を知り、少し微笑むマンマロートだった。
 さて、ここで翻訳を止めてワシ男は一礼した後、自分の寝る仮設民家の所まで戻ってゆく。残った二名は早朝をどうするかで話し合った。
「--良し、それで行こう!」
「文献が本当ならばあの峡谷は何としても銀河連合ハ都合ヲ使ってでも守りたい筈ですよ」
 それでも俺達ならその謎を解き明かせる--とメラリマと同じく前向きに宣言する烈闘。

(迷いがない……それは異なるな。迷いがないよう振る舞ってるだけだ。俺はずっと迷ってる。ベアールが命を使って示してきた道は正しくない気がしてな。だってそうだろう。命を捨てさせるような銀河連合と同じように銀河連合の命を捨てさせてきたんだぞ。その先にあるのは終わらない泥沼だろうて。終わりがない事に踏み込んでいくというのはどれだけ辛いのか? まだ日常に忙殺される方が気が安定して済むのに……なのに俺達は戦いを選んだ。戦いは銀河連合を倒せば終わりだろうけど、その銀河連合は何時に成ったら終わる? 都合を支配する銀河連合を倒したら? 俺にはその終着点がとんでもないモノに思えて来るなあ。きっと俺達の想像を遥かに超えたモノだと思えて来るなあ。まあそこまで俺達は生きていないだろうけど)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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