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一兆年の夜 第六十四話 烈の闘い 藤原大陸の謎篇(三)

 午後十時二十二分四十一秒。
 場所は後冷泉集落。
 そこで只一名、現地資料を収集する生命が居た。彼の名前はマンマロート。彼は竪穴式物置小屋に入って発掘された様々な石板資料の調査をする。
「益々ワカラナイナ、記録ノ時代は」
「思った通りお前は資料の収集をしていたんだな」
 そこへやって来るのは遠征部隊最高司令官の天同烈闘。彼は船について尋ねるのをすっかり忘れていた模様。それについてマンマロートは呆れた様子でこう語る。
「船から降りてどれだけ経ッテルトオ思いで、烈闘様。まあ付き者トシテオ答えしますけど……ンン?」
 ところが、住居の外が何やら騒ぎ始める。
「また今度ニ成りそうですね、烈闘様」
「銀河連合か!」
 外へ出ると待ち受けていたのは……血塗れの集落。二名以外の全住民が百獣型三体に依って骨だけにされた模様。現地兵も又、既に食べられた様子。彼らは銀河連合への怒りもあるだろうが、それ以上に自分達が如何してそこまで気付く事が出来なかったのかについても憤る!
「俺達とした事ガ……許シテタマルカア!」
「真古式包丁を抜く時が来たな」尚、それは雄略大陸に住む名工に依って完成された切れ味も持続性も従来の包丁に比べて優れる代物。「マンマロートは左手側をやれ!」
「わかったぞ。全く雄略包丁を二回も使用スル羽目ニ成るけど……この怒りで冷ヤヤカニ成レル訳がない!」
 二名は抜いて構えながらも百獣型三体との間合いを詰め、そして雫が落ちると同時に踏み込む。そして、戦闘は僅か一の分も経たない内に終了--二名共専用の絞りで包丁に付着する血を綺麗に拭き取ると早速作業を開始。
 心配で様子を確かめに来た優希が駆け付ける事でその作業の迅速化が始まり、全ての遺体と銀河連合の骸の埋葬は半の時も掛けずに終了。彼らは集落住民に黙祷をする。
(俺達がもっと早く気付いていたら彼らも死なずに済んだのに……彼らの為にも俺は絶対に大陸藤原を我が物にするぞ!)
 黙祷を終えた時、足を踏み入れて二度目の空の歪みを目撃。しかも満月規模だった。
「またこの歪ミガ……銀河連合はカモツ・カーモネーが予言した特大規模ノ準備ヲ着々と進めているなあ」
「特大規模?」
「それは明日話シマスノデ今日ハオ眠り下さい」
 序に船の話もお願いな--と念を押す烈闘だった。
「ねえ、烈君?」
「大丈夫さ、優希。この大陸を我が物にすれば俺達の未来は明るい」
「だと良いけどね」
 と安心しない様子の雪の右肩に己の右手で優しく掴み、彼女の身体を己の方に抱き寄せる烈闘。

(それは俺の物語に一抹の案じえない何かを予言する物だった。優希は直感しても居たんだな。俺が辿る道は様々な犠牲の上で成り立つという事も。そして俺の目指す全生命体の希望はみんなの命を守ってまで果たされる物ではない事も……まだこの時、俺は知らない)
『--明日マンマロートから聞かれた話ではカモツはもう一つの歪みについて言及する。
それが直に目撃した太陽系規模の歪みと生前に残した銀河規模の歪みと空全体を覆う
歪み。
 三つの内、後の二つは説でしかない。でも説明しない訳にはゆかない。では一つ一つ
丁寧に説明するぞ。最初は太陽系規模の歪み。こちらの場合は最小四十二の年、
最大六百六十六の年までに来るであろう三つの国家全体を覆う巨大規模の流れ星。
水の惑星のほぼ全ての大地を埋め尽くし、今の技術では絶対に防げない。それが来たら
生に諦めて何処かの誰かに希望を託すしかない。今はまだその時ではない。まだ四百の
年以上も猶予がある。それでも長引かせる事は困難だろう。それだけにこの歪みは今の
自分達では防ぐ事の出来ない銀河連合による宇宙襲来なのだから。
 次は説として考えられる内の一つである銀河規模の歪み。こちらはまだ確認されて
いないが、これが起こると大体六百六十六の年から九千四百十三の年までに訪れる星
を滅ぼす歪み。これが来ると今度こそ生を諦めてどんな希む望みも叶わないだろう。
想像は付かないが、カモツ・カーモネーは生前これも予言していたんだろうな。
 最後の説が空全てを覆う歪み。これは太陽系の終わりから宇宙の終わりまでを
呑み込んだ歪みでカモツでさえ想像出来ないと断言するそうな。起こる年は最小こそ
見出せず、最大が何と一兆の年より後。なのでどれだけ子孫を残せばそれを体感する
のかわからない。依って俺はこれについては想像するのも諦める。だが、後の世代に
成れば成る程悲しい物はない。でも全てのモノには始まり有れば終わりは必ず訪れる。
終末を想像するのは別に良くない事じゃない。寧ろ週末の無い事象が果たしてあるのか
を俺は聞きたい。ないとすればその事象は始まりすらもない。カモツはそれを信じずに
この説も唱えたのだろうな。
 とまあ三つ全て紹介したさ。船の構造については後程説明するので今回はここまでに
しておくさ。他に聞きたいとすればどうやって流れ星が来るのかを説明すると簡潔には
歪みが発生した数を数えたら大体その年の後に来るとカモツは書物にも記したな。
その書物の名称は忘れたが』

 四月二十一日午前十時零分三秒。
 場所は藤原道長地方頼通道防護提前。それは十八もの防御網が敷かれた真古式神武軍が造りし対銀河連合防護提。けれども建設完了から二の年が経つ上に最奥の第十八関門で暮らす防者さきもり達からの連絡はここ半の年ほど来ない。つまり突破されてる可能性がある。故に遠征部隊主力と現地部隊の合計十二万の兵士達は彼らの救援を既に諦めている模様。
 さて、彼らを招集する烈闘ら首脳陣。仮設台の上に立った烈闘はマンマロート、ギャレイ出、そしてシデノミチや齢二十二にして三十日目に成るゴルギ熊族の青年真鍋ベア道に齢二十一にして九の月と三十日目に成るキュプロ栗鼠族の青年ロージネス・メデリエーコフ、齢十八にして一の月と二十七日目に成るキュプロ獅子族の少女ソフェラ・レオルマンらが守護者を務める中で演説を始める。
「ここに集まったのは藤原大陸を全生命体の物にする為にやって来た軍者達、そして藤原大陸に所縁のある藤原族の者達、そして藤原大陸にこそ記憶の世界の謎と数の謎を解く鍵があると踏む頭脳労働者達、そして全生命体の希望に成ろうとする命知らずの生命達……その全てだ!
 俺達は必ず成し遂げる。何時か必ずじゃない。半端な覚悟でこの大陸に足を踏み入れたりも戦いという恐怖に挑む訳でも誰かを守る為に希望なんて掴もうとする訳でもないのだ。俺達は望みが絶やされるかもしれないという恐怖が先ず、胸を締め付け、それでも己を強くする為にそして誰かの力を借りてまでそれを成し遂げ、未来永劫を勝ち得る為にこの防護網を飛び越えてゆくのだ!
 そこに希望があると信じて、そこに耐える望みを打ち砕く希み望まれる物があると信じてなあ!
 そうだろう、お前達イイイイイイ!」
「「「「「「「「オオオオオオオオオオオオオオオ!」」」」」」」」
「良い返事だ、それなら叶うううううう!」
 可能性ではなく、それが可能と信じて疑いもしない演説。烈闘がここまで前向きな演説が出来るのは次の通り。
(ねーねもこれをやったそうだな。全くねーねらしいな。だから俺もねーねのように……いや、ねーね以上に前向きで強気な演説をしたんだ!)
 四の年より前に大陸藤原で志半ばで想念の海に旅立ったメラリマ以上の心持で烈闘は挑んでゆく……激闘が連続する未開の地を踏みしめて!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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