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一兆年の夜 第六十四話 烈の闘い 藤原大陸の謎篇(二)

 四月十七日午後十時四十二分五十八秒。
 場所は大陸藤原南断崖。
 鯨族が牽引する旧式の船が千二十八隻。水車を使用し、そのエネルギーで動かす新式の船が四百七十二隻。実質上は真古式神武の航海戦力の全てを動員して行われる藤原大陸への遠征。明日の早朝に始まる遠征は果たして成功するのだろうか?
(俺達が乗るのは新式だが、新式は未だに多くの問題点を孕ませる。それが初速の遅さ、そして回り始めるまで凡そ一の時を掛ける。後は速度を上げる為に船の巨大化を強いられる。それ以外は……マンマロートに聞こう)
「何デショウ、烈闘様?」
「そう言えば船に関してお前は詳しいよな?」
「いえ、詳しい訳ではありませんが大体ノ知識ハ所有しております」
「じゃあ聞くけど、水車船の利点とそうでない点を幾つか挙げてくれないか?」
「もう直ぐ仮眠の時間が来るというノニ一斉ニ全く貴方様という生命は……良いでしょう。先ずハ利点カラ紹介しますと……ん?」
 な、何だあああ--マンマロートだけじゃなく、烈闘もそれを目撃!
 空がお日様規模まで歪んだ--その意味する所は即ち、最小十三の年から最大四十二の年までに国家規模の銀河連合が空より押し寄せる事を意味する!
(これから十三の年から四十二の年より後に俺達の国か或は新天神武に奴らは押し寄せる……全く良い気分が来たと思ったら直ぐこれだよ!)
「あ、あのう?」
「あ、話の続きは後にして緊急招集だ!」
 烈闘は空の歪みに依って兵の士気が下がる事を懸念して今起きている軍者達を大陸の上に集めて士気を高める為に演説を行う。その内容は実に簡単で目新しい事は何一つない。しかも専門学的な話が大半な為に聞いている内に眠気が押し寄せる物だった……だが、これが烈闘の狙い。彼は敢えて真夜中という時間帯に眠く成るような演説を始める事で心地良さとそして聞いていて退屈に成るという一聞すると相ぶつかる感覚を融合させる事で演説終了までに彼らを眠らせる事に成功。
「お疲れ様です……が、俺もソロソロ眠りニ入りましょうか?」
「眠れ眠れ。後は深夜班に見張りを任せてお前は早朝に備えろよ」
 わかりました……ですが、船マデガ遠い--だが、眠りを妨げるのが一つ……崖の上である為、縄を渡ってゆかないといけなかった。
(俺もそろそろ眠ろう。でもあいつは早く起きてくれるかな?)
 そんな心配をしながらマンマロートの後ろについていき、新式の船まで一回も落ちないで渡り切った。
『--星の歪みには幾つもの種類がある。えっと先ずは、うん?
 どうやら俺には躯央の様に記憶力が良い方じゃないな。それでも思い出せる所まで
記しておくか。そうだな、地上から見える月の面積に比例して銀河連合は空より降って
来る。
 大体、無月程度なら二の年から五の年までに各個降り注ぐ。新月なら小規模降り注ぐ。
三日月なら集落一つを食ってしまう程の銀河連合が落ちる。半月だと大規模なまでに
降り注ぎ、現在の俺達全生命体の技術では防げない上に最大七の年までに来る。満月
だと最小七の年、最大十三の年までに来る上に旧国家神武の土地なら直ぐに覆って
くれる。
 今回やって来たのはお日様規模の歪み。それも真正神武を滅ぼす程の大きささ。だから
こそどうしようもない。天同七が分けた上に俺の先祖である星央と八弥の系図が一つ
として交わったこの真古式神武を喰らうか、あるいは天同七が興した新天神武を喰らう
か?
 益々、不思議な話に成って来るよなあ。ここまで俺を安心させない心で満たしてくれる
とは。どうやら俺の演説で最もしっかりしないといけないのは兵士達ではなく俺自身だと
はな。
 そろそろ大陸藤原に乗り込んでいきますか。一応、先祖の七弓達に依ってある程度
までは奪還が進み、全貌も明かされて行ってる。後は何処まで開かれて行くか、
だろうな』

 四月二十日午後九時十二分六秒。
 場所は大陸藤原藤原道長地方頼通鳳凰道。
 そこはかつて真正神武の仙者だった天同十刃が命を懸けて切り開いた道。奪還後は暫く、一般生命の立ち入りは禁じられた未浄化地帯の一つ。既に浄化は完了し、徐々に一般生命の入植が進む。
「ううう!」
「まさかとうとう」
「少し休ませてくれる?」
「では袋を用意しまあああうすので優希様はこれに嘔吐を!」
 優希は第二子を妊娠。その存在は後に……いや、まだここで語るべき事柄ではない。
「やはりお腹の子を宿したのなら今直ぐに帰還を」
「いいえ、私は現地の戦力が集まったのを確認してから烈君のお願いを聞くわ」
 また本意ではない事を--優希は常にそう言いながらもその時が来たら直ぐに別の事を言う癖がある困った雌である。
「喜びの報せは届いてるだろうけど、躯央としては育児に葛藤しながら勉学と内政の二本柱に苦心してるだろうな」
「それでも名付け親の躯央ならやれるわよ」
「帰って来たら俺達は躯央に説教されるな」
「まあそうでしょうね。でも説教を聞く前にこの子の事を告げたらあの子もそれをする余裕がなくなるでしょう」
「余裕ねえ……あ、そうだ!」
「どうしたの、烈君?」
 マンマロートに聞かないといけない話があった--と言って烈闘はマンマロートの所まで己の足だけで頼通道南の右手側にある後冷泉集落まで走ってゆく。
「あらあら、ギャレイ出に頼んで向かわせても良かったのに」
「行けませえええん、優希様。俺は優希様専用でえええす!」
 それはそれで困るわね--と優希はギャレイ出の真っ直ぐ過ぎる程の恋心に溜息交じりで呟いた。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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