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一兆年の夜 第六十四話 烈の闘い 藤原大陸の謎篇(一)

 ICイマジナリーセンチュリー二百五年四月十日午前五時七分六秒。

 場所は真古式神武六影府第一北地区表口。
 そこには既に十五万もの軍者が集まる。彼らは三分の一を主力とし、三分の一を予備戦力として大陸内に待機し、残り三分の一は救助又は補給戦力として船の上で様子を窺う。その編成をするのは齢二十歳に成ったばかりの天同烈闘。彼は四の年より前に戦死した姉のメラリマの戦略を参考に彼女が採っていた四分の三を主力又は予備戦力として投入し、四分の一で補給又は救助に当たらせる方法を少し改良して大陸藤原遠征部隊に取り入れた。
(躯央は六影府で政を勉強する。仁徳島に再び勉学の町を建てたいが、まだ浄化作業が不十分でとても生命が暮らせる所じゃないしな)
「烈闘様、何時マデ待つノですか?」と声を掛けるのは列島の付き者兼副司令を担当する齢二十七にして九の月と八日目に成るルギアスカンガルー族のマンマロート・レヴィルビー。「兵は拙速ヲ好みます。直ぐに出陣ヲ」
「待て、俺が待つのはあいつが来てからだ」
 あいつ--とマンマロートは誰が来るのか思い付かない様子。
「今は子守りで忙しいから直ぐには--」
 と烈闘の予想通り齢十九歳にして九の月と九日目に成る帰化したばかりの神武人族の少女が齢三十にして六の月と五日目に成るエウク馬族の中年真島ギャレイ出の背中に乗って馳せ参じる。
「コラああ、私を呼ばずに勝手に行ってえええ!」
「また勝手ニ来られたんですか、優希様!」とマンマロートは優希の勝手な行動を非難しつつもそれに応じるギャレイ出にも注意する。「それから何度断れト俺ニ言わせるんだ、ギャレイ出!」
「だかああら呼び捨てるなあああん、マンマロートおおん。わいは優希様の足として彼女の我儘に従ったまでだあああん」
「お前は何時まで叶わぬ恋の為ニ命ヲ懸けるんだ、ギャレイ出!」
 恋の何が良くなああい--どうやらこの時代に成ろうとも異種族同士の叶わぬ恋はある模様。
「こら、大人げないわよ」
「はは、ひひいいん」
「全く成長シナイ三十歳児め」
「お前も大概変わらんだろ、マンマロート」
 尚、マンマロートとギャレイ出は只仲良しだからでもなければ雪の付き物だからここに来た訳でもない。実はマンマロートと同じく遠征部隊の副司令を務める。しかも二名共実力では烈闘に引けを取らない兵共。故に参加は必須事項であった……最もギャレイ出の恋さえなければ黙って優希に育児と己が居ない間の真古式神武を任せられる筈だったが。
「ギャレイでは反対しないし、それから今更追い返しても遅いわよ」
「あのなあ、優希。優央やさおは誰が育てるんだ?」
「名付け親の躯央なら大丈夫!」
 御免よ、何時も何時もよお--謝罪相手は躯央である。
「言っておくガ、ギャレイ出。お前は予備戦力ノ指揮ヲ執れ!」
「勝手に決めるなああい、それはお前が執れよおおん!」
「勝手なのはお前らだ。決めるのは俺だからお前らは俺が一人或は俺の身に何か起こった時だけ独自の判断で執れとあれほど言っただろうが!」
 も、申シ訳ありません--と幼い頃から世話をしていたマンマロートは別の意味で烈闘に頭が上がらない模様。
「流石だね、これならメラリマお姉様も想念の海で喜んでるわ」
「だが、お前に関しては悲しんでるかも知れん」
「全く一言多いわね」
 一言多く成ったのは烈闘がメラリマの死をきっかけに勉学を嗜むように成った。それにより筋肉鍛錬では判明しなかった新事実を次々と見つけ、更には同じく筋肉鍛錬を始めた躯央と共に意見を出し合った結果……並とはいかないまでも頭を使った戦いを習得する事に成功。それに依って烈闘は現在真古式神武最強を謳う齢三十二にして四の月と二日目に成る六影鬼族のヤマビコノシデノミチに届くか届かないかの所まで技を高める事が出来た。
「おっとそろそろ集まって来たな……じゃあ出発だ。これから俺が許可を出すまで退却は許さないからな!」
 それは一の月掛けて繰り広げる壮絶な戦いの始まりでもあり、天同烈闘が見せる命の炎を示す物語の始まり……果たしてそれはどのような終局を迎えるのだろうか?
(休憩の合間合間に記録を残しておこう。そうだなあ、どんな記録にしようかな? 俺が生きた証……いやいや、まだ俺が死ぬと決まってない。まだまだ俺にはやりたい事がたくさんある。例えば藤原大陸で……っとそれは我が物にしてからだよな。そこはねーねとの約束でもある。
 にしても思い付かないな。どんな事を書き記そうかな? 優希は毎日、俺に抱き付いて離れてくれない……とか? それか度々シデノミチに挑戦する事を記すとか……いや、待てよ)
『これは藤原大陸を我が物にした天同烈闘の物語。
 俺は遂に大陸藤原に乗り込むぞ。その意気込みを知らせる為に俺は日記を記す事
にした。俺の、いや俺達遠征部隊はまだ見ぬ大陸藤原の全貌を知る為に乗り込み、
そして数多の犠牲の果てにメラリマねーねの悲願だった大陸藤原を我が物にする。
まだまだそこには辿り着いていない。これから辿り着くのが俺達遠征部隊よ。その為
にも達成する事を高らかに宣言する心掛けが必要。出来るか出来ないかを問われれば
正直その二択が来る事を怖がる俺が居る。それでも俺は出来ると答える。
 でないとあの世でメラリマねーねに叱られてしまう。何たって俺は全生命体の希望
だからな。それに成る為には命を惜しむ事も誰かの後ろを走る事もしてはいけない。常に
先頭に立って走らないと誰にもお日様のような生命だと認められない。認められないと
記したか、いかんなあ。墨で書くとやり直しが利かないんだよな。でも仕方ないか、日記
の性質を認めるのならな。そうじゃないな、俺は認められる為に行くんじゃない。
 俺は、俺は闘いたい為にそこへ行くんだ!』

 午後十一時二分七秒。
 仮設民家にて毛布の中で衣服を全て脱ぐ優希を優しく抱きしめる烈闘。
「……それがこの子の名前なの?」
「万が一ではあるが、俺が居ない時に産まれたらそう名付けるんだ」
「生きていたら何にするの?」
「それは二名で考えよう。今度は流石に躯央に任せられない」
「でしょうね。躯央には既に優央の名付け親にしてしまったのよ」
「でも君の名前が入ってるじゃないか」
「それは憧れよ。あの子も本当は--」
「言うな、優希。神様だって全てに等しい組み合わせが出来ない場合もある。ギャレイ出もそれと躯央も。あいつは恋心に目覚めた頃には既に遅過ぎたんだよ」
「それ、言えないわね」
「俺が言ってやる。俺が来れない場合はお前が責任以って言えよ」
「雌に言わせるのは良くない傾向よ」
「お前という雌は」
 二名は互いに抱き締め合う。どれだけ肉体を鍛えようとも心だけは埋まらない。それは何時の世でも変わらない不変の性。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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